2014年5月21日14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。東京電力福島第一原発吉田昌郎元所長の調書について、田中委員長は、「今の段階で見る、見ないということを決めていることはない」とコメントし、「まず事務方がよく整理していただくということでお願いしたい」との見解を示した。
2014年5月21日14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。東京電力福島第一原発吉田昌郎元所長の調書について、田中委員長は、「今の段階で見る、見ないということを決めていることはない」とコメントし、「まず事務方がよく整理していただくということでお願いしたい」との見解を示した。
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国会で議員が火山噴火の前兆について質問したところ、「前兆をとらえられるかどうかは分からない」との回答があったという。一方、九州電力川内原発の地震火山の審査に関して、田中委員長は10年以上前から噴火の兆候が見えると答えている。 この違いについて、記者から質問を受けた、田中委員長は、「噴火もいろいろな噴火がある」と答え、片山長官官房審議官は、「巨大な噴火の前兆を捉えることが可能な場合もある」と回答した。 規制委は九電等の事業者に火山噴火のモニタリングを要求しているが、田中委員長は「モニタリングすることを前提に許可しているわけではない」と述べている。モニタリングは念のために行っているのであって、モニタリングに依存して安全だと言っているわけではないという見解だ。
東京電力福島第一原発の汚染水対策として、地下水バイパスの運用が始まり、最初の海洋排水が実施された。田中委員長は、従前から排水基準以下なら排水せざるを得ないとの考えを示しており、今回の海洋排水について「一歩前進だ」と所見を述べた。
午前中の委員会で各発電所の審査状況の説明があり、関電高浜原発が第二の優先審査入りをするかが注目を集めたが、そうはならなかった。審査体制、力量から、今のところその余裕はないという認識だ。
吉田昌郎元福島第一原発所長の調書内容につい田中委員長は、「規制の基本的なところに影響するとは考えていない」とコメントした。 吉田元所長の調書には、これまでの事故の調査等では明らかにされていない事故後の状況が含まれている可能性がある。そこから得られる教訓は、新しい規制に反映させるべきではないかと、記者から質問受けた田中委員長は、「細かい原因判明は、これからもいろいろあるだろうが、規制の基本的なところには影響しない」との考えを示した。 一方、吉田調書そのものについては、「今の段階で見る、見ないということを決めてはいない」という。物理的時間制限があることから、「まず事務方がよく整理していただくということでお願いしたい」との見解を示した。
大飯原発3、4号機における、住民が運転差し止めを要請した訴訟について、福井地裁は、運転再開を認めないという判決を出した。これを受けて田中委員長は、「司法の判断について、私の方から申し上げることはない」と答えた。ただし、大飯については従来どおり、規制委は科学技術的な知見に基づいて、適合性審査をしていくと述べた。