【岩上安身のツイ録】急接近する中露 激変するエネルギー地政学 2014.5.23

記事公開日:2014.5.23 テキスト
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(岩上安身)

特集 IWJが追う ウクライナ危機
※5月23日の岩上安身の連投ツイートを再掲します。

 今日、夕方6時から「シェールガス革命の正体〜ロシアの天然ガスが日本を救う」(PHP新書)、「日露エネルギー同盟」(エネルギーフォーラム新書)の著者である世界平和研究所主任研究員の藤和彦氏にインタビュー。ウクライナ危機は他人事ではない。地政学的危機、エネルギー危機に直結する。

 世界は急速に展開しているのに、主要メディアを通じて得られる情報は極端にバイアスがかかっている。ウクライナ危機の第四幕の開幕は目前に。今月25日に行われる大統領選、そして今月末に迫るロシアへの天然ガスの滞納代金の支払い。支払いが行われない場合、ロシアは供給を止めるという。

 これに対し、米国はロシアへの制裁を強化。それに反発してロシアはEUへのガス供給も止める可能性を示した。欧州はガス供給の3割をロシアに依存している。米国は自国から産出するシェールガスを買うように欧州に求めているが、今日明日、間に合うはずはない。

 欧州へのエネルギー供給に大きな穴があく。その穴を埋めるのは石油しかなく、需給バランスが崩れて世界的な原油高となる恐れが。新たなオイルショック、ガスショック到来の可能性も。ガソリンの値段がじりじり上がっているのは、ウクライナ危機の見通しを悲観した市場の反応の結果。

 他方、経済制裁を食らい、輸出市場まで失うことになりそうなロシアは、新たなお得意さんを西ではなく東に見出した。中国である。5月20日、21日、プーチンは北京を訪問し、習近平と会談。中露はエネルギーと軍事で手を結ぶことを誓いあった。

 ロシアは世界一の天然ガス輸出国。そして世界第二の石油の輸出国である。ロシアほど資源に恵まれた国はどこにもない。中国は資源をがぶ飲みしたいほど、工業生産が伸び、膨大な人口と膨れ上がる消費市場を抱えている。両者のエネルギー同盟は補完関係にある。

 そのエネルギー同盟に、軍事同盟が重なり合い、しかも中露両国の貿易の決済にドルを使わない「非ドル化」政策まで語られ始めた。世界一の軍事力とともに、基軸通貨ドルの覇権こそがグローバル帝国としての米国の覇権を支えてきた富とパワーの源泉だった。その土台の一角が崩れる可能性が。

 原油高は、採掘コストのかかるシェールガス・オイルに希望をつなぐ米国にとっては好都合。しかし、エネルギー自給ができない日本にとってはたまったものではない。

 しかも、現在、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認が強引に進められつつあるが、軍事行動を共にするのは米国に限定されない、などという拡大解釈が登場。さらに、NATOのグローバルパートナーとして日本は名指しされている。つまり自衛隊の行き先はウクライナになるかもしれないのだ。

 こんな未曾有の地政学的変化の時代に、日本を救うのは、シベリアからパイプラインを敷いて天然ガスを輸入することだ、と大胆な提言を行っているのが、藤和彦氏である。その提言の根拠は論理的で説得力がある。立ちはだかる政治と外交の壁はかなり分厚いと思われるが、藤氏は意気軒昂。

 明日、夕方6時からのインタビューを、ぜひ、ご覧いただきたい。ロシアからパイプラインを敷いたら米国が怒るのではないか、中露同盟などとは組めない、そもそも独裁者プーチンと組むなんてとんでもない等々、「ロシアからのパイプライン」という提言に賛成できない、という人こそ、ぜひ。

 「日本はオフショア・バランサーになれ」と藤氏は言う。その結論には賛否があって構わない。しかし、資源の地政学をぜひ、覗いてもらいたい。サウジアラビアが石油輸入国になる近未来など、想像もつかないだろう。一般のメディアでは報じられていないことがたくさんある。

 明後日の告知もここで少しだけ。24日土曜日は、この一ヶ月半、メディアを「占拠」している話題、セウォル号沈没事件と韓国メディアの報道について追跡検証します。ご協力いただくのは、滋賀県立大学講師で、朝鮮近代史がご専門の河かおるさん。韓国メディアウォッチャーとしてご登場いただきます。

■岩上安身による藤和彦氏インタビュー
[日時]5月23日(金)18:00~
[ご視聴]IWJ・Ch1

■IWJ追跡検証レポート セウォル号事故と韓国メディアの報道から考える
[日時]5月24日(土)収録 配信日時未定
[ご視聴]IWJ・Ch1

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