福島第一の汚染水問題、止水できなければ凍土壁対策から撤退する可能性も~第21回 特定原子力施設監視・評価検討会 2014.5.2

記事公開日:2014.5.4取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

 福島第一原発に建設が予定されている凍土遮水壁をめぐり、5月2日(金)、原子力規制委員会は特定原子力施設監視・評価検討会を開き、凍土遮水壁の安全性などについて、事業者である東京電力らと議論した。

 検討会の冒頭、規制委員会の更田豊志委員は、「凍土遮水壁の問題をきっちりとやりたい」と汚染水対策への意気込みを述べた。また、会では事業者側と規制側との認識の不一致が見られ、議論が紛糾する場面も見られた。

■ハイライト

前提条件が不足したシミュレーション

 凍土遮水壁設置による地下水の変異や、水位制御による地下水流入量抑制効果のシミュレーションなどが事業者である東京電力側から報告された。サブドレン等での分析結果と比較したところ、地下水流入抑制効果に加え、地下水汲み上げ量抑制効果も大きいという。しかし、「シミュレーションにおける前提条件が足りない」と、会のメンバーである外部有識者からの指摘があった。

 凍土壁による建屋の支持基盤への影響については、地盤物性の場所的変化の程度は小さく、建屋は多くの構造壁を有する鉄筋コンクリートの一体構造であることから、不等沈下のように場所によって異なる沈下を起こすことは発生しないと事業者側は説明。また、凍土の実績としては、鹿島建設から、「これまでも60、70Mのものを作っている」と説明があった。

 しかし、原子炉建屋とタービン建屋の沈下には大きな差が出る可能性や、海側の凍土壁が機能を失った場合に、建屋が傾いてしまう可能性を更田委員は示唆している。

完全に止水できない時は凍土壁から撤退

 凍土壁の完了要件として、「建屋内の止水処理の完了」を指すと事業者側が示している事に対して、更田委員が「凍土壁で地下水流入を抑制し、時間を稼いでいる間に建屋の止水工事を可能な限り行い、もし完全に止水できなかった場合は、撤退するのか」と質問。これについて事業者側は否定をしなかった。

 地下水の抑制については、重層的な対策を要することから、凍土壁のほか、地下水バイパスとサブドレンの復旧・稼働が挙げられている。事業者側からは、「一つ一つが絶対に大丈夫だという見通しがないので、複数の対策を重層的に打っていく。お互いに保険をかけ合っている」との説明があった。更田委員は、「凍土壁は恒久的ではなく、ある一定期間のもの。使命を終えるところまでの道筋を立てる考察が必要だ」と指摘した。

そもそも何故、凍土壁なのか

 外部有識者の一人、東北大学の阿部弘亨教授からは、「凍土壁を採用した方が良いのか、しなくても良いのか、議論が全然見えない。きちんとロジックを示して欲しい」と、厳しい意見も飛んだ。

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