「育鵬社版の教科書は『戦後日本の平和は、自衛隊の存在とともに米軍の抑止力に負うところも大きい』と強調。他社版は憲法9条と平和主義のことが、最初に書かれている」──。
2014年4月8日、沖縄県八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)で、竹富町だけが他地区とは違う中学公民教科書を使っている問題を巡って、市民グループ「命どぅ宝を継承する会」が、沖縄県那覇市の教育福祉会館で勉強会を開いた。
登壇者は山口隆史琉球大准教授、長堂登志子沖縄県民間教育研究所所長の2人。育鵬社版を使う2市町とは異なり、東京書籍の教科書を採択した竹富町教育委員会は、国の是正要求に従っておらず、この件で下村博文文部科学相は、3月25日、「地方自治法で是正要求を受けた市町村は、是正する義務を負っている。これに反する決定は大変遺憾。法治国家として従ってもらいたい」と非難を口にしているが、両講師は「竹富町の教育委に非はない」との考えを強調した。
- 講師 山口隆史氏(琉球大学准教授)、長堂登志子氏(沖縄県民間教育研究所所長)
- 日時 2014年4月8日(火) 19:00~
- 場所 教育福祉会館(沖縄県那覇市)
「竹富町が守ろうとしている教科書ってなあに?」と記された模造紙が貼られている壁をバックに、最初に演壇に立った山口氏は「この問題は、安倍政権による教育改革の流れの中にある」と切り出した。
この問題で文科省は3月、竹富町教委に対し、「無償措置法に違反している」との理由で、フジサンケイグループの教科書会社である「育鵬社」の教科書を使うよう変更を求め、地方自治法に基づく是正要求を実施。だが、竹富町教委は「育鵬社版は保守色が強い」との理由で、これに応じていない——。山口氏は「この問題は、各自治体の義務教育内容に政治が介入し、管理強化を行う流れの中にある」と重ねて強調した。
竹富町の教科書問題と前後して、安倍政権は教育委員会の権限を大幅に狭める教育改革案を発表しており、改革案には、文科大臣の教育委へ「是正要求」の権限強化も盛り込まれている。山口氏は竹富町について、「今の日本で唯一、教育面で政府に抵抗する自治体であり、これは国の側から見れば、竹富町は恫喝に値する存在と映っているに違いない」と話した。
竹富町は論争の罠にハマるな、無視せよ!
山口氏は「竹富町は、教科書問題を放置しておけばいい」との見解を示した。自民党は竹富町に対し、地方自治法に基づいて是正を求めているが、教育行政上の問題であれば、同法ではなく「地方教育行政法」に基づいて行政指導されるのが筋と指摘。「教育現場に著しい混乱や不利益が生じた時に、出番となる行政法が適用されなかったということは、竹富町の教育現場には、東京書籍の教科書を選んだことによる、著しい混乱も不利益も生じていないことを意味する。竹富町は、政府の要求につき合う必要はない」と言い切った。
【沖縄】「政府の要求は無視せよ」教科書問題で竹富町を応援 〜学者ら、背後に見える「安倍圧力」指弾 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/133631 … @iwakamiyasumi
この問題は、安倍政権による教育改革の流れの中にある。竹富町は、政府の要求につき合う必要はない。
https://twitter.com/55kurosuke/status/605638625716346880