安全規制のノウハウのない日本が原発を輸出するのか ~外国特派員協会主催 元米NRC委員ピーター・ブラッドフォード氏 記者会見 2014.2.25

記事公開日:2014.3.3取材地: テキスト動画
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(取材:IWJ・松井信篤、記事:IWJ・野村佳男)

 「原子力安全規制の蓄積や情報の透明性のない日本が、原発を輸出するのか」

 米国の原子力規制委員会(NRC)の元委員で、現在米バーモンド法科大学院教授を務めるピーター・ブラッドフォード氏の記者会見が、2月25日に日本外国特派員協会で行われた。

 ブラッドフォード氏は、原子力エネルギーや公共政策の専門家で、米国で1979年に起こったスリーマイル島原子力発電事故当時の委員の一人である。本会見では、米国の原子力安全規制の変遷について、知見を披露した。

■ハイライト

情報公開における日米の大きな違い

 米国では、スリーマイル事故を起こした原発と同サイトにあるすべての原発を5年間閉鎖、同型の他の原発を6ヶ月間閉鎖する一方で、他の原発は稼働し続けた。同時に、NRCは、新規原発の建設許可を2年間差し止めにした。

 情報公開に関して、スリーマイル事故のケースでは、事故の報告書はもちろん、電力会社から提供された放射能のデータ、地域行政の避難計画、インタビューなどの情報もすべて公開された。

 ブラッドフォード氏は、「米国では、委員会メンバーが3人以上集まれば、それは公式な会合として記録を取り、情報公開されなければならない」と解説。情報開示は、時に委員の無知をさらすなど恥ずかしい側面もあるが、「状況を隠すことなく、国民と同様に不確定な事態に取り組んでいることを見せるのが重要だった」と語った。

 そのうえで、日本では「透明性」というのは難しい問題であり、東電による同様の情報公開の可能性は低いだろうとしながらも、情報開示には大きなメリットがあることを提案したいと語った。

安全規制の共有なき原発輸出の危険性

 一方、福島原発事故の処理に国際機関が関与することに、ブラッドフォード氏は「外国の専門家が、現場をよく知る日本の業者よりも上手く処理できるとは思わない」と、否定的な見解を示した。

 また、日本政府が進める原発輸出について、「原発の安全性は、原発の輸出国がどの国かよりも、原発を輸入する国の規制基準や安全文化、規制当局の経験によるものが大きい」と説明。原子力安全規制におけるノウハウの移転や、情報の透明性確保のないまま、原発だけを海外に輸出することのリスクを訴えた。

新技術へのバッシングを超えて

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