市民と連帯して米サンオノフレ原子力発電所を廃炉へ追い込んだカルフォルニア在住のトーガン・ジョンソン氏と元NRC(米原子力規制員会)委員長のグレゴリー・ヤツコ氏を招き23日、連合会館で講演会が行われた。
(IWJ・松井信篤)
市民と連帯して米サンオノフレ原子力発電所を廃炉へ追い込んだカルフォルニア在住のトーガン・ジョンソン氏と元NRC(米原子力規制員会)委員長のグレゴリー・ヤツコ氏を招き23日、連合会館で講演会が行われた。
■ハイライト
サンオノフレ原発は福島第一原発に立地状況が似通っており、複数の活断層の間にあることが判明。また、米国の原発事故での賠償上限額が126億ドルなのに対し、原発から48km圏内の都市住宅価格は約4355億ドルと、賠償額を大幅に上回る試算が出た。こうした数々の問題が浮上したことで市民が立ち上がり、地元、州、連邦政府レベルからNRCや電力会社に対して圧力をかけた結果、カルフォルニア州最大の原子力発電所の閉鎖が決まった。ジョンソン氏は「声を上げてきちんと懸念を表明していく事が大事である」と聴衆に訴えた。
また、ヤツコ前委員長は日本の原子力行政について、「米国は、スリーマイル島事故から『避難の経路が非常に脆弱であった』という重要な教訓を学んだが、日本の原子力における安全システムの中で、その教訓は学ばれなかった」と指摘した。
質疑では、「事故原因の究明ができていないにも関わらず、再稼働審査が行われている日本の原子力行政の現状についてどう思うか?」という質問が記者からあがった。これに対しヤツコ前委員長は、「考え方を根本的に変える必要があると思う」と前置きしたうえで、「事故の原因に重きを置くのではなく、事故の結果、どういうことが引き起こされるかに焦点を当て、どうしたらそれが起きないかを考えるべきではないでしょうか」と提起した。