「この裁判の真の目的は、抗議行動そのものを潰すこと」 〜上関原発スラップ訴訟被告 岡田和樹氏 講演 2014.2.15

記事公開日:2014.2.15取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 「原発政策の下では、国も司法も弱者には手を差し伸べない」──。

 2014年2月15日、広島県福山市の福山市民参画センターで、勉強会「STOP スラップ! とめよう原発 守ろう表現の自由」が開かれ、上関原発反対運動に関わり、中国電力からスラップ訴訟(企業や政府が威圧の目的で個人を相手に起こす訴訟)を起こされている、岡田和樹氏が講演を行った。

■全編動画 ※録画が断片的なものとなっております。ご了承ください。

  • 語り手 岡田和樹氏(上関原発阻止被告団、中国電力スラップ訴訟止めよう会、ハチの干潟調査隊)
  • 日時 2014年2月15日(土)19:00~
  • 場所 福山市民参画センター(広島県福山市)
  • 主催 原発のーてもえーじゃないBINGO!実行委員会

一貫した強行姿勢で埋め立て作業を進める中電

 はじめに、岡田氏は、自身の地元である広島県三原市有竜島に生息するナメクジウオ(天然記念物指定)との出会いによって、地域の自然に目が向くようになり、瀬戸内や地元の自然環境に関心を持ち、自然保護活動に取り組むに至った経緯を語った。

 次に、ハチの干潟(広島県竹原市)埋め立て計画の反対活動に関わり、この計画の中止が決まった直後に、上関原発建設の埋め立て工事が始まる話を聞き、カヤック隊として抗議行動に加わった当時を振り返った。岡田氏は、非暴力で埋め立て反対を訴える市民たちの抗議行動と、中電が、その市民らを羽交い締めにして抗議行動を阻止し、その間に作業を強行する映像などを紹介した。

 当時の様子を解説しながら、「原発が建設されるということは、命に関わる問題である。干潟と同じように、現地を実際に見て、残さなければいけないものであると感じた。規約を守らず、コンクリートブロックを海に投入する中電に対して、非暴力で抗議を続けてきたが、中電側は一貫して強硬姿勢で作業を進めてきた」と述べた。

国や大企業による、いやがらせ訴訟

 中電側から「(抗議行動によって)2009年11月5日から11日の間に損害が生じた」として、約4800万円の損害賠償を請求するスラップ訴訟を起こされた岡田氏は、この訴訟が、企業や国が個人に対して行う、いやがらせ目的の訴訟であり、被告の生活を圧迫し、疲弊させ、周囲の市民の運動をも萎縮させる効果がある点を解説した。

 また、3.11以降も、海域の埋め立ては中断されたものの、陸域での作業を続ける中電と国について、「彼らは、地元民に対して、情報公開も説明もせずに、30年間、原発建設を推進し続けてきた。3.11を受けて、上関原発の計画は絶対に取り下げになるだろうと思っていたが、山口県も埋め立て免許を失効させることなく、先延ばしになっているにすぎない状況である。原発の下では、国も司法も、弱者には手を差し伸べない」と述べた。

中電のずさんな訴状が簡単に受け入れられる司法の実態

 現在も続く裁判について、中電が作成したずさんな訴状が、いとも簡単に受け入れられる司法の実態を問題視した岡田氏は、これまで、中電の訴状を一から見直す作業を続け、最近になって、ようやく裁判の本筋が始まった現状を説明した。

 「現在、被告(岡田氏を含めて4人)に対して、中電が和解の提示を求めている状況である。この裁判は賠償金目的ではなく、抗議行動そのものを潰すことが、真の目的であることは明らかである。僕は、本当の自然の姿を、次の世代に引き継いでいきたいし、裁判の善し悪しを問うこともできないまま終わることだけは、絶対に避けたい。司法の場できちんと勝って、こういう裁判を二度と起こさせないよう、被告や支援者の枠を超えて闘いたい」と語った。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です