2013年3月13日(水)15時から、山口県山口市の山口県労働者福祉文化中央会館で、「『止めよう上関原発!守ろう命の海!』上関原発現状報告とミーティング」が行われた。弁護団の堀弁護士は、これまでの裁判の経緯を説明し、埋め立て許可を1年間延長する県の対応については、「行政手続法違反である」と指摘した。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年3月13日(水)15時から、山口県山口市の山口県労働者福祉文化中央会館で、「『止めよう上関原発!守ろう命の海!』上関原発現状報告とミーティング」が行われた。弁護団の堀弁護士は、これまでの裁判の経緯を説明し、埋め立て許可を1年間延長する県の対応については、「行政手続法違反である」と指摘した。
■全編動画
※基調講演途中からの映像となっております。何卒ご了承ください。
はじめに、みらい山口ネットワーク特別顧問の飯田てつなり氏が基調講演を行い、ゼネラル・エレクトリックCEOのジェフ・イメルト氏が、原発に対して、「コストが高く、経済的に正当化するのは難しい」と発言した例を挙げ、「先見性のある企業は、自然エネルギー発電に切り替えている」と説明した。その上で、「自然エネルギー発電は、農業、産業、ITに続く第4の革命である。地球レベルでエネルギーシフトが起こっている。ポイントは、大規模集中型から小規模分散型への転換である。私たち自身の力で、地域自立型のエネルギーネットワークを築いていくべきである」と述べた。続いて、映像ジャーナリストの東條雅之氏が、祝島と福島の海に生きる人々を追ったドキュメンタリー「祝福の海」のダイジェスト版を公開し、「東日本大震災、福島第一原発事故によって、あらゆるものがゴミと化してしまった。命も、そのひとつ。命を活かし合う社会にしたい」と語った。
上関原発を建てさせない祝島島民の会の代表、清水敏保氏は「なぜ、私たちが訴えられたのか、根拠が未だにわからない。埋め立て許可の延長を認めないことが、県知事の選挙公約だったはずだが、1年延長され、非常に残念である。私たちは31年間、この問題と闘ってきた。高齢化が進み、厳しい部分もあるが、皆さんの支援を受けながら、頑張っていきたい」と語った。
祝島漁協組合員である橋本久男氏は、中国電力による漁業補償金に関する報告をする中で、「県漁協は、補償金受け取り議案について、正当な手続きが行われていて有効、としているが、祝島の漁師は、何年も前から補償金の受け取りを拒否しており、受け取り拒否の文書も提出した。仲間と共に最後まで補償金を拒否し、県漁協を国に対して訴えていくつもりである」と述べた。
堀弁護士は裁判の経緯を語り、この裁判が、提訴することだけを目的としたSLAPP訴訟だとし、「中国電力側は、妨害違法行為であったとする根拠を持っていない。現在、山口県で行われている裁判では、違法行為とする裏付け資料の提出を求めているが、十分な資料が出てきていない。埋め立て許可の延長に関しても、1年間という延長期間を申請していることは、行政手続き法に照らしても違法である」と指摘した。
上関原発阻止被告団の原康司氏は、「たくさんの人が、この裁判に注目していることは勇気になるし、判決にも必ず影響を与える」と述べた。続いて、岡田和樹氏が、抗議行動の最中、中国電力作業員4名から暴行を受けた事実に対する告訴の現状を報告した。岡田氏は「中国電力は、言論の自由だけでなく、身柄を拘束して強行に建設を押し進めようとする方向である。3.11の直後に、不起訴の結果が出たが、不服として再審査を申請している。おかしいことは、おかしいと、訴えていきたい」と語った。
山口県議会議員の佐々木明美氏は、安倍政権の追随路線を執る山口県知事を問題視し、「中国電力に対し、埋め立て免許の延長をしたことは、県民への裏切りである。おかしな政治の仕組みに怒りの声を上げていこう」と語りかけた。菅波完氏は、原発を止めようとする訴訟が全国規模で起こっている状況を説明した。そして、相対的安全性が認められれば良いとして、大事故の際には、放射能を放出するベントを正当化しようとしている、電力会社と政府の開き直りを問題視した。最後に、「原発から身を守るためには、原発を建てさせないことが一番である。祝島の方たちは、正しい選択をしたと思うし、身体を張って頑張ってきた皆さんに、敬意を表したい」と述べた。