1986年のチェルノブイリ原発事故に見舞われた国々では、様々な施策がとられている。被曝の中心地となったウクライナでも、子どもの健康被害への対策が積極的に行われている。
インターネット放送局OurPlanetTV代表の白石草氏がウクライナに飛び、低線量汚染地域においてどのような被曝防護策が取られ、子どもたちはどのような暮らしをしているかを取材した。そして、12月11日(水)FoEJapanと共同で主催した報告会が、参議院議員会館で行われた。ゲストに東京学芸大学准教授の大森直樹氏を迎え、国会議員からは小宮山泰子衆議院議員、川田龍平参議院議員が参加した。
- 報告 白石草氏(OurPlanetTV)
コメント 大森直樹氏(東京学芸大学准教授、『東日本大震災と教育界』『福島から問う教育と命』等を執筆)
給食は汚染地域では無汚染の食材が提供される
白石氏はウクライナの原発から140キロ離れたコロステン市を訪れた。コロステン市はウクライナ政府報告書によるとチェルノブイリ事故後は毎年10μSv/h超、現在0.06~0.1μSv/hで、25年間の積算被曝量は平均15~25mSvである。
ウクライナでは、チェルノブイリ法や1997年の閣議決定により、汚染地域の学校を対象とした様々な支援プログラムが実施されている。コロステン市でも、卒業試験の免除、大学入試の優遇措置、奨学金制度が行われ、給食は無汚染の食材が提供されている。
複数の慢性疾患を患う子供が多い
白石氏は校医であるノンナ・センチェンコ医師を取材。センチェンコ医師によると、事故直後、甲状腺がん、白血病が増えた。今はだいぶよくなり、がんのように死亡するような病気は少なくなったが、疾病率は上がり、慢性疾患が増えているという。「原因のよくわからない複数の慢性疾患を患う子供が多い」と、白石氏は報告した。
保養プログラムが27年間休まず行われている
コロステン市ではそうした健康被害に対して、学校を軸とした健康管理が行われており、教育委員会や診断センターなどとも連携し、1~2ヶ月間保養所に滞在して体内の汚染物質を低減させる「保養プログラム」が、27年間休まず行われているという。