ウクライナ調査を終えた弁護団報告「事故前はガン患者の70%が高齢者だったのが、事故後、患者の70%が高齢者以外に」 〜ウクライナ現地調査報告会 ~チェルノブイリ原子力発電所事故の被害実態に学ぶ、事故被害対策~ 2013.8.7

記事公開日:2013.8.7取材地: テキスト動画
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 「事故前はガン患者の70%が高齢者だったのが、事故後、70%が高齢者以外になった」――。

 日弁連は今年5月、チェルノブイリ原発事故の被害実態を調べるためウクライナの現地調査を行い、8月7日、日本弁護士会館で調査報告会を開催した。現地調査にあたった中川亮弁護士は、ウクライナのコロステン市において、原発事故後、若年層のガンが増加しているなどの実態を報告した。

■ハイライト

  • 第1部:ウクライナの現状について
    1. ウクライナにおける法制度及び実施状況
    2. ウクライナ調査の概要(低線量被ばくによる健康被害の問題など)
    3. 今中哲二氏(京都大学原子炉実験所助教)による調査結果報告(感想)
    4. 調査参加者からの感想
  • 第2部:日本で求められる法制度について
    1. 福島からの報告
    2. 原発事故子ども・被災者支援法と大会決議案について

 コロステンの学校では、全705名の生徒のうち、通常の体育の授業に参加できているのは、わずか210名。内容は同じだが、運動量を軽減した授業に参加しているのが377名。内容そのものを減らした授業に参加しているのが110名。8人が体育に不参加。大半が通常の授業に参加できないでいるという。

 コロステンの住民は、森に自生するきのこやベリーを食べる習慣が強いと中川氏は報告する。自宅の庭などでも家庭菜園が行われており、家畜の山羊の乳から作ったチーズなども日常的に食べているという。こうした食品は、放射性物質が蓄積しやすいことで知られる。こうした自給自足には、ウクライナの平均月収が日本円で3万円程度と、低所得であることも影響しているという。

 「『食べ物に含まれる放射性物質は心配ではないのか?』と聞くと、『心配ではある』との答えが返ってくる。しかし、特に頓着もない様子で、普通にきのこやベリーを食べている」

 健康被害が増加していながら、習慣を変えずに生活せざるを得ない現地の実態を語った。

 ゲストスピーカーとして招かれた京都大学原子炉実験所の今中哲二助教は、被曝と人体の因果関係については、未だに科学ではわからないことが多く残されていると指摘。しかしながら、映画「チェルノブイリ・ハート」で描かれている健康被害は「ありそうもない例だ」と断言。

 「(チェルノブイリ・ハートでは)ベラルーシの子どもの8割に、重度の障害が出ているとされているが、障害と放射能汚染の関係は映画では示されていない。事故後、先天性障害は増えているが、多くても0.9%の増加だ」と、自身の研究結果を紹介。

 現在、原発事故後、ウクライナの首都キエフや福島の出生数低下が指摘する声がある。これについて今中氏は、「3.11の地震、津波、原発事故によるインパクトは大きい。キエフでは事故後、100万人が避難した」とし、こうした社会的影響も、出生数の低下の原因となっている可能性を示唆。

 今中氏は、健康被害と被曝の因果関係は簡単には証明できないと述べつつも、国は、科学的に明らかになっていない病気も含めた被災者支援をすべきだとの見解を示した。

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