「日本は裏切り者」TPPでアジアから注がれる厳しい視線 ~岩上安身による首藤信彦氏インタビュー 2013.10.18

記事公開日:2013.10.18取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・平山茂樹)

特集 TPP問題
※サポート会員記事に全文文字起こしを掲載しました(2014年5月1日)

■イントロ

米国の狙いは自動車産業の「サプライチェーン」

 4月12日に合意したTPP日米事前協議は、米国が自動車にかけている関税の撤廃期間を、TPP交渉で認められる最大限にまで後ろ倒しすることを認めるなど、日本が米国に対して大幅に譲歩した内容となった。他にも、日本の軽自動車規格が、米国から「不公平な非関税障壁」だと指摘され、TPP交渉のなかで撤廃を求められていると言われている。

 こうしたTPP交渉における米国側の狙いの一つに、日本の「サプライチェーン」を奪うことがあると首藤氏は指摘する。

 「サプライチェーン」とは、原料が製品として加工され、消費者の手元に届くまでの一連のつながりのこと。複数の企業がそれぞれ役割を分担しながら物流システムに関与することで、最終的に一つの完成品を消費者に届ける。日本では、多くの中小企業がこの「サプライチェーン」を支えている。

 首藤氏によれば、米国は日本の「サプライチェーン」に手を入れることで、米国内の中小企業に需要を作り出そうとしているのだと説明した。

 「日本の中小企業が担ってきた自動車の部品の製造を、米国の企業にやらせようというのです。TPPは、完成品の関税を撤廃する経済連携だと思われていますが、それだけではありません。中小企業が作っている部品の生産を奪うことで、『サプライチェーン』を奪ってしまう。これがTPPの本質です」。

TPPと安全保障、米国側「まったく関係ない」

 日本では、自民党を中心に、日米安保とのかねあいからTPPに参加すべきだという議論がある。しかし、首藤氏が今年4月に訪米した際、米国の外交・安全保障政策に詳しい議員に質問したところ、「TPPと安全保障は何の関係もない」と語ったという。

 「知日派」としてしられるリチャード・アーミテージ元国務副長官や戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン日本部長などは、これまで日本政府に対してTPP交渉への参加を強く求めてきた。しかし、このような「知日派」はすでに米国内では求心力がなく、日本の外務省や首相官邸に対してだけ発言力を行使しているのだと首藤氏は説明した。

アジアから孤立する日本

 東南アジア諸国、特にマレーシアではTPPに反対する声が強まっている。マハティール元首相は講演で「TPPはマレーシアのような小国を植民地化する米国の企てだ」と米国を痛烈に批判。10月1日に行われた「TPPを考える国際会議」にも参加したマレーシア人民正義党のヌルル・イッザー・アンワル議員は、「マレーシアでは、野党とNGOが、twitterやfacebookなどのSNSを使って緊密に協力し合い、やがて与党議員の中にも耳を貸す者が現れ始め、大きな力に発展した」と語った。

 そのような中、米国とともにTPPを推進する現在の日本は、東南アジアから「アジアの裏切り者」と強く批判されているのだという。

 「今の日本は、TPPを米国の代わりに主導する役割を果たしてしまっています。しかし、世界の流れは、TPPをなんとか回避しようというものです。そもそも、米国の議会すらTPPを批准しないかもしれません。そのような中、米国に依存することしか考えていない今の日本は、悲劇的だという他ありません」。

 他にも、郵便局でがん保険の販売を始まる米大手保険会社Aflac(アメリカンファミリー生命)とTPPの関係や、TPPとあわせて行われている日米並行協議の実態など、幅広く話を聞いた。

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