「放射線被ばくによる健康影響を科学的に究明し、対策を実現するために」〜都内で『第3回市民科学者国際会議』開催 2013.10.13

記事公開日:2013.10.13取材地: テキスト動画
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(IWJ・古田)

 13日、渋谷区の青少年オリンピックセンターにて、「第3回 市民科学者国際会議」が開催された。

 この国際会議は、福島第一原発事故による被害と被ばくの最小化のため、国内外の市民と科学者が放射線による健康影響と、その対策について議論を深め、かつ国際的なネットワークを広げることを目指し、同会議実行委員会により、3年連続で開催されている。

 2日間の会議の初日であるこの日は、計10人のスピーカーが登壇した。

 セッション1の「生物影響とそのメカニズム」では、チェルノブイリでの継続した動植物の変化の調査、特にツバメの変異の研究で知られ、現在は福島での調査を行っているティモシー・ムソー氏が登壇。福島の高濃度汚染地域でもツバメの部分白化が発見されているという調査結果を報告した。

 また、セッション2「疫学と線量評価」では、疫学を専門とする岡山大学の津田敏秀氏が、福島県内で行われている大規模な甲状腺検査の結果を分析。「『今から2年後くらいに甲状腺がんが多発するかもしれない』という前提のもと、建設的な議論をして準備すべき」と提言した。

 福島県飯舘村で初期のヨウ素被ばくに関する調査を長期にわたり続けている、京都大学原子炉実験所の今中哲二氏も登壇。事故直後の2011年の3月15日、当時把握していた情報さえ開示せず、住民に不要な被ばくを強いた政府を痛烈に批判した。

 こうした専門的な内容のレクチャー形式の講演のほか、「健康に関する法と権利」と銘打たれたセッション3では、11日に基本方針が閣議決定された「子ども・被災者支援法」について、この法案を実のあるものにしていくことの重要性が訴えられた。

■ハイライト

  • 10:00~ 開会式
  • 10:10~ セッション1 生物影響とそのメカニズム(モデレーター 上田昌文氏)
    キース・ベーヴァーストック (Keith Baverstock) 氏/崎山比早子氏/ティモシー・ムソー (Timothy Mousseau) 氏/大瀧丈二氏
  • 13:40~ セッション2 疫学と線量評価(モデレーター 丸森あや氏)
    ウォルフガング・ホフマン (Wolfgang Hoffmann) 氏/津田敏秀氏/今中哲二氏
  • 15:30~ セッション3 健康に関する法と権利(モデレーター 瀬川嘉之氏)
    伊藤和子氏/福田健治氏/河崎健一郎氏/伊藤恵美子氏
  • 日時 2013年10月13日(日)
  • 場所 国立オリンピック記念青少年総合センター (東京都渋谷区)
  • 主催 市民科学者国際会議実行委員会 (CSRP)

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「「放射線被ばくによる健康影響を科学的に究明し、対策を実現するために」〜都内で『第3回市民科学者国際会議』開催」への2件のフィードバック

  1. 荒井信一 より:

     ティモシー A ムソー氏の鳥の被曝観察、大瀧丈二氏のヤマトシジミ(蝶)の汚染地帯の低汚染食物給与による突然変異や早期の死亡の発現などの観察結果「放射線の人体への影響は細胞のゲノム遺伝子が放射線により損傷を受け、それが現世代に症状として現れ生き残って増幅して起こる(←当該に現れた変化が後世に伝わる)」という従来の説に加え、キース ベーヴァーストック氏のゲノムの不安定性epigenetic「放射能により、ゲノム遺伝子だけでなくサーカリアンリズムによってDNAがない赤血球などのタンパク質にも変化が起こり、その影響が当該世代だけでなく後世代に変異が突然発現する。プロフィールという状態が変異しそれが遺伝する。DNAだけが後世に遺伝する仕組みではない」という仮説は、それが現実にあると福島や東日本の人間にとってより恐ろしい現実だ。
     ICRPの説に対抗する、この様な第一次現象観察や実験による真摯な研究と学説の研究者がより研究機会を与えられ深化、社会に認知されることを願う。
     間違いなく福島の対応を行っている行政側には、不都合な説ではある。私は不都合な説の方が後世に定説になると思っている。

  2. 瀬川嘉之 より:

    荒井さんのご意見にほぼ全面的に同意します。
    ICRPは「ポリシー」、UNSCEARは「サイエンス」ということになっています。
    それこと自体の検討が必要だとしても、
    今後、この種の議論の時は「UNSCEARの説」としたほうが、
    何かと混乱ないでしょう。
    また、細胞の後世代と個体の後世代をはっきり意識して
    議論するのも大切です。
    崎山さんの放射線老化論も、ほぼがんだけを問題にして対応しようとする
    UNSCEARやICRP、ひいては行政にとってきわめて不都合な説となります。
    「老化」と言えば成人をイメージしがちですが、子どもが深刻なのです。

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