がれきの広域処理は官僚とゼネコンと広告代理店の「腐敗の絆」だった ~岩上安身による青木泰氏(環境ジャーナリスト)インタビュー 2013.9.20

記事公開日:2013.9.20取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・佐々木隼也)

 2012年、全国各地で住民による反対運動を巻き起こした、震災がれきの広域処理。「がれきの処理なくして被災地の復興はない」として、一丸となった政府と広告代理店は、新聞紙面などで大々的に「絆キャンペーン」と銘打ち、その必要性を訴えた。あれから1年足らず、予定された処理量400万トンのがれきは、わずか12万トンが処理されたところで、行政はひっそりと終息宣言を出した。

 「がれきの広域処理」とは、一体何だったのだろうか。そして、400万トンのがれきと復興予算1兆円はどこへ行ったのか――。

 9月20日、この問題を追及し続けている環境ジャーナリストの青木泰氏は、岩上安身のインタビューに応え、この不可解な謎のからくりを暴露した。青木氏は、被災地のがれきは当初から過大に見積もられ、環境省は予算の獲得、自治体は国(復興予算)からの補助金、そしてゼネコンとの癒着が絡み合った壮大な「振り込め詐欺だった」と断ずる。(▼ページ後半に続く)

■イントロ

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広域処理はなぜ「破たん」したか

 2013年1月10日、広域化の9割を占めていた宮城県が、予定された処理量の数%の実施率にもかかわらず、ひっそりと終息を発表した。しかし、昨年散々「絆」キャンペーンを張っていた全国紙・大手メディアは、この事実を一切報じていない。7月17日には、「今後も広域化は必要だ」と強硬に受け入れ表明をしてきた大阪府、富山県などが、大幅に前倒しして終息することを発表した。こうして、がれきの広域処理は全面的に終わった。

 青木氏は、「広域処理の実施率は当初予定のわずか3%。『完了した』というよりは、『破たんした』と言ってよい事実だ」と語る。

 当初被災3県(福島・宮城・岩手)でのがれきの発生量は2,250万トンと発表されていた。政府は、「線量の高い」福島県を除く、宮城県と岩手県のがれき400万トンを全国自治体の焼却施設で処理すると発表し、その処理費として1兆700億円が「復興予算」として予算化された。ところが、宮城県や岩手県が再調査を行った結果、がれきの発生量自体が、被災3県で1,800万トンに下方修正され、2割5分もの見積もり誤差があったことが発覚した。広域処置が必要ながれきはそもそも「無かった」のだ。

政府と自治体が「意図的にがれきの総量をかさ上げ」

 しかし青木氏は、この過大な見積もりがそもそも「仕組まれたもの」だと分析する。当初のがれきの総量試算では、本来広域化の必要のない「土砂」なども組み込まれ、かさ上げされていた。

 また、富山県のローカル放送局であるチューリップテレビが、がれき搬入元である岩手県山田町に現地取材したところ、広域処理が必要ながれきは800トンしか残っていないことが判明した。800トンは、岩手県の一日の処理能力である936トンすらも下回る。岩手県は国に「800トン」と申告したものが、なんと環境省を通して「8000トン」となっていたのだという。青木氏は「環境省によるデータの捏造、犯罪行為が行われていた」と批判する。

 さらに、宮城県ががれきの総量685万トンを315万トンに下方修正した時、広域予定の木くず100万トンは、なんと「0トン」となった。青木氏は宮城県の担当者に問い合わせたところ、「腐ってなくなったんじゃないですか」と呆れるような答えを返してきたという。

 地方メディアや市民団体が、こうした事実を明るみ出したことにより、広域化が必要ながれきが実際は「無い」ことが全国的に広まり、広域処理は破たんした。では、がれきの広域処理に充てられた1兆700億円は、一体どこに行ったのか。

復興予算2000億円が流用されていた

 青木氏は一つの事例を紹介する。大阪府堺市の「手をあげていないのにがれき補助金問題」である。堺市は新規の焼却施設建設について、環境省からがれき補助金の打診を受けた。しかし、がれきの処理をする予定のない堺市は受取りを再三拒否。しかし、2012年4月6日、環境省はは一方的に「復興予算86億円の補助金が決まりました」と内示を出した。

 堺市は、環境省に「受取りを取り消せるのか?」と問い合わせると、「取り消しはできません」と回答。さらに「がれきの受入れをしなくてもよい」とまで言ってきたという。この堺市と環境省のやり取りは、市民による情報開示請求で堺市が公開したもの。青木氏は、「環境省は、がれき広域処理で得た復興予算を大量に余らしてしまった。この余り金を、自分たちの権限の及ぶ予算に流用しようと考えたのではないか」と分析する。

 全国で2000億円の復興予算の流用があったと報道されているが、その4分の1が環境省主導であったことが明らかになっているという。青木氏によれば、「官僚たちは余った金を基金化し、ファンドを作っていることが判明している」という。

 復興予算は、所得税が今後25年間2.5%増、住民税が10年間1000円増という形で、全国民が負担するものである。青木氏は「本来環境省は『規制庁』としての役割を果たすはずが、除染やがれき処理などの『事業』を持ってしまい、腐敗してしまった」と語る。

 今後の活動について、青木氏は「復興資金の返還運動をしていきたい」と意気込む。「自治体に『その焼却所は本来被災地に使われるお金で建てられた。それを知らん顔して受け取ったら、末代までの恥ですよ』と訴えていきたい」という。

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「がれきの広域処理は官僚とゼネコンと広告代理店の「腐敗の絆」だった ~岩上安身による青木泰氏(環境ジャーナリスト)インタビュー」への1件のフィードバック

  1. @kogurenobさん(ツイッターのご意見より) より:

    本当に火事場泥棒は国策だったんだなあとつくづく

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