「手をあげただけで補助金」――がれきの受け入れを「検討」しただけで復興資金から補助金が支給されている実態が、大手メディアの報道などにより、いま次々と明らかになっている。しかし、「手をあげていない」のにもかかわらず、環境省が、自治体へ一方的に復興補助金を支給した疑いさえ出ている。
6月3日(月)、13時より参議院議員会館で行われた院内集会で、大阪府堺市の復興補助金受け入れをめぐる疑惑が、有志の調査メンバーにより報告された。堺市はがれきの受け入れを検討すらしていないのに、国から復興補助金を受け取ったとして、批判の的となっている。しかし、今回調査メンバーが、堺市への情報開示請求により入手した、堺市と環境省とのメールのやり取りを見ると、実態は全く別の様相を呈していた。
報告によると、堺市は以前から新規の清掃工場の建設について、国に一般の補助金申請をしていた。それに対し、昨年1月から環境省はこの補助金を「通常枠」から「復興予算」に移行するよう、再三にわたり堺市に要請してきたという。「復興予算」とは、つまり震災がれきの受け入れを念頭においた補助金である。
- 13時~ 院内集会
- 15時~ 記者会見
- 16時30分~ 各地の交流
「手をあげていない」のにがれき予算を押し付けられた!?
がれきの受け入れを検討していない堺市は、「通常枠で」と頑なに断っている。しかし、昨年4月6日、環境省は一方的に「復興予算」で内示を出したという。そして、このやり取りはすべて大阪府を経由して行われていた。環境ジャーナリストの青木泰氏は「申請がないのに内示が出ることはまずあり得ない。これが事実であれば、環境省か大阪府の文書偽造だ。維新の会が、中央官僚の利権にあやかろうとしているのではないか」と厳しく批判した。
青木氏は、当初400万トンをかかげていたがれきの広域処理が、現状10~20万トン(約数%)の達成率で終息しつつあることをあげ、「がれきの広域化は、巨額の予算を組み、その消化を目的としたものだったのではないか。これは一体どういう政策だったのか、環境省は全貌を明らかにしてほしい」と訴えた。
院内集会では他に、いまなおがれき受け入れが進む富山県や、受け入れが終了した静岡県などからの報告が行われた。また、環境省主導で、8000ベクレル以上の高濃度放射性廃棄物焼却施設の建設計画が進む福島県の実態も明らかになった。
住民不在で再開された鮫川村の焼却施設建設