「今のところmRNAワクチン接種者由来の血液製剤による副作用の報告はない」献血・輸血時にワクチン接種・未接種の区別を行っていないのに、なぜワクチン接種者由来の血液製剤を特定できるのか? そもそもなぜ区別を行わないのか? IWJ記者が追及!~9.6 武見敬三 厚生労働大臣 定例会見 2024.9.6

記事公開日:2024.9.6取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2024年9月6日午前11時15分頃より、東京都千代田区の厚生労働省にて、武見敬三厚生労働大臣の定例会見が行われた。

 冒頭、武見大臣より、9月5日に公表された「毎月勤労統計調査令和6年7月分の速報値(※)」と、「令和6年版労働経済の分析(※)」についての報告が行われた。

 大臣からの冒頭報告に続いて、各社記者との質疑応答となった。

 「都道府県別の男女の賃金格差」、「長崎の被爆体験者を巡る県・市との協議」、「新型コロナワクチン接種による突然死」についての質問が行われた。

 IWJ記者は前回に引き続き、「mRNAワクチン接種と輸血の問題」について、以下の通り質問をした。

IWJ記者「mRNAワクチン接種と輸血の問題について質問します。8月30日の定例会見にて、武見大臣の『今のところmRNAワクチン接種者由来の血液製剤による副作用の報告はない』という答弁に対し、『接種者・未接種者の区別が行われていない現状で、接種者・未接種者いずれかに特定した報告は、そもそも不可能ではないか』と質問をしました。

 厚生労働省のウェブサイト上で『血液製剤の安全対策について』という冊子が閲覧可能となっていますが、その中に『感染症等の検査』という項目があります。

 そこには『問診と採血基準の検査を経て採血された血液は、血液製剤としての安全性を確保するため、感染症等のための検査が行われます。ここで不適とされた血液は、製剤として用いることはありません』とされており、その検査法として、体内に侵入した病原体(抗原)や病原体を攻撃するために作られたタンパク質(抗体)を検出する『抗原・抗体検査』というプロセスが紹介されています。

 厚生労働省が現在、『献血・輸血時のワクチン接種・未接種の区別を行っていない』理由は、この『抗原・抗体検査』が、接種・未接種の区別と同様の役割を果たしているからではないかと推察しますが、これは正しい認識でしょうか? ご教示ください。

武見大臣「ご指摘の血液製剤の製造工程における『抗原・抗体検査』、これは献血者が血液を介して感染する病原体に感染している可能性がないかを確認するために行うものです。この検査を経て適切とされた血液だけを血液製剤の原料として使用しています。

 コロナは血液を媒介とした感染ではありませんので、この対象にはなっていません。

 また、我が国では、審議会における新型コロナウイルス感染症に関する知見等を踏まえて、ワクチン接種後の一定の時間を経過していない方に採血制限を設けていますが、これは接種後の採血によって体調不良を引き起こすリスクなど、献血者の安全を確保することを目的としたものです。

 いずれにしても、厚生労働省では『「抗原・抗体検査」というものが接種・未接種の区別と同様の役割を果たしている』とは考えていません」

IWJ記者「mRNAワクチン接種後の輸血による健康被害というリスクが、少なからず色々な識者の方から発表されています。そういった現状で、接種者・未接種者を区別しないまま輸血のための血液製剤を使うということはやはりリスクがある話だと思いますが、それにもとづいて、接種者の血液由来の健康被害の報告がないと言われても、にわかには安心できないところがありますが、その点はいかがでしょうか」

武見大臣「血液製剤の安全性というものについては、私どもは常に極めて慎重に考えています。医薬品医療機器等法にもとづいて、医師や製造販売業者から常に国内外の情報はまず収集しているところです。

 これまで新型コロナワクチンの接種者の献血血液由来を原因として、血液製剤の副作用が生じたという報告は、私ども承知していません。したがって、今後とも引き続き血液製剤の安全性については、しっかりと確保することに努めたいと思います」

IWJ記者「献血という行為は国民の善意にもとづく制度です。そして、輸血は国民が人生の危機的状況において必要とするものです。

 この国民の福利厚生を根幹から支える制度がリスクにさらされ、そのことについては少なからず国民が不安を抱いている現在、政府並びに厚労省はより主体的かつ、よりきめ細やかに国民の不安払拭に取り組むべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください」

武見大臣「厚生労働省は常にこうした献血等に関わる健康被害が起きないように、その安全性の確保については、その時点における科学的な根拠にもとづいて万全を期するということを行ってきています。

 この基本姿勢は引き続き堅持されるべきもので、実際に私もその通りしっかりと指示を出し、安全性の確保に努めていきたいと思います」

 武見大臣は、IWJ記者がどのように質問のしかたを変えても、mRNAワクチン接種者由来の血液製剤の輸血による健康被害は「報告されていない」から、献血の際にワクチン接種者と未接種者を区別していない、区別する考えもない、と繰り返している。

 武見大臣は、「献血等に関わる健康被害が起きないように、その安全性の確保については、その時点における科学的な根拠にもとづいて万全を期する」と言うのであれば、「mRNAワクチン接種後の輸血による健康被害というリスク」はないのだという科学的な根拠を示すべきであり、その議論の結果が出るまでは、ワクチン接種者からの献血は中止する、もしくは接種者と非接種者の血液は分ける等の対策を行うべきではないだろうか。

 会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2024年9月6日(金)10:35~
  • 場所 厚生労働省内9階 会見室(東京都千代田区)

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