【IWJ号外】ミアシャイマー教授が、国際司法裁判所がガザにおける虐殺をめぐる南アフリカとイスラエルの裁判について下した暫定判決に『ICJの命令は、イスラエルの評判に深く永続的な汚点を残すだろう』! 2024.1.29

記事公開日:2024.1.29 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東
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 IWJ代表の岩上安身です。

 昨年12月29日に国際司法裁判所(ICJ)に提出された、南アフリカ共和国によるイスラエルのジェノサイドを告発する提訴を「真に重要な文書」と評価した、シカゴ大学のミアシャイマー教授が、1月26日にICJがイスラエルに対して命じた暫定判決を「ICJの命令は、イスラエルの評判に深く永続的な汚点を残すだろう」と評価しました。

 ミアシャイマー教授は28日、自身の『サブスタック』に、「イスラエルの清算の日」と題する短い論考を発表しました。

 ミアシャイマー教授は、「欧米の主流メディアは、この命令をイスラエルにとって最も有利な形で報道している」と批判しています。

 IWJは1月15日に、ミアシャイマー教授による南アフリカの申請書の解題を号外でお届けました。こちらもあわせて御覧ください。

※【IWJ号外】ミアシャイマー教授、南アフリカが国際司法裁判所に提出したイスラエルのパレスチナ人に対するジェノサイドを告発する申請書を「真に重要な文書」として解題! 2024.1.15

 以下にミアシャイマー教授による「イスラエルの清算の日」の全文仮訳・粗訳をご紹介します。

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 「国際司法裁判所(ICJ)は昨日(2024年1月26日)、ガザにおけるジェのサイドの可能性を含む、イスラエルに対する南アフリカの提訴に関する命令を下した。

 予想通り、欧米の主流メディアは、この命令をイスラエルにとって最も有利な形で報道し、物語を紡ぐことをめざしている。

 つまり、イスラエルを悪者にするような要素を最小限に抑えるか省略し、ICJはイスラエルに対してガザにおけるすべての軍事作戦の停止を命じてはいないことを強調したのだ。

 イスラエルはハマスと戦争状態にあるのだから、ICJはハマスにイスラエルに対する軍事作戦の停止を命じることはできない。イスラエルがガザ地区での軍事作戦をすべて停止しなければならないという判決をICJが下すだろうと予想していた人は、ほとんどいなかった。

 ICJがイスラエルに伝えたのは、攻撃対象をハマスに絞り、民間人を標的にしてはならない、というものである。

 結局、ジェノサイドの罪状は、イスラエルがガザの市民に対して行っていることを中心に展開している。ハマスに対してではなく。

 このICJの命令で本当に重要なのは、イスラエルによるジェノサイドについて書かれていることである。それ以外何がありえるだろうか?

 ジェノサイドはあらゆる犯罪の中の犯罪である。

 ICJの命令は、以下の事柄を明確に述べている。

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1)イスラエルがジェノサイドを犯す意図を持っているという、確からしい証拠があること。

2)イスラエルがジェノサイドを犯しているという確からしい証拠があること。

 この悲惨な状況を受けて、裁判所(ICJ)は、イスラエルに対し、ジェノサイドと思われる行為をやめ、明らかに今後の裁判に備えて、この問題に関わるあらゆる証拠を保全するよう、命じた。

 要するに、ICJはイスラエルに対するジェノサイドの容疑について最終的な判断を下さなかったが、現時点でジェノサイドの『現実的かつ差し迫った危険性』があると信じるに足る十分な証拠があり、イスラエルはガザでの戦争行為を根本的に改めなければならない、と述べたのである。

 特にICJの17人の判事の票決を考えると、これは驚くべき結果だと思われる。

 イスラエルが従うよう指示された6つの暫定措置について、6回にわけて投票が行われた。

 投票のうち4回は15票対2票。

 2回は16票対1票だった。

 驚くべきことに、ネタニヤフ首相によって最近任命されたイスラエルの判事は、2つの措置に賛成票を投じた。

 国際司法裁判所(ICJ)の責任者でもある、米国の判事は、6つの措置すべてに賛成した。

 6つの措置すべてに反対票を投じた唯一の判事は、ウガンダ出身である。

 私は2024年1月11日から12日にかけてICJの審理を傍聴したが、その審理は、プロフェッショナルで公正な態度で行われていた。

 イスラエル側も南アフリカ側も「A」チームを派遣し、それぞれが3時間以上を費やして、体系的かつ包括的に主張を展開した。

 最後に、私はICJの27ページに及ぶ命令書を読んだ。その結論すべてに同意しなければならないとは思わないが、印象的な文書であった。

 これはカンガルー法廷ではない。

 イスラエルにとって昨日(1月26日)が、暗黒の日であったことは明らかである。ICJの命令は、イスラエルの評判に深く永続的な汚点を残すだろうから」。

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