2023年8月10日、午後2時より、東京都千代田区の衆議院第一議員会館にて、日中平和友好条約締結45周年記念大集会実行委員会の主催により、「日中平和友好条約締結45周年記念大集会『中国を仮想敵国に仕立て上げて、着々と戦争準備に突き進んで良いのか。中国は敵ではない。日中友好こそ、日本の最大の安全保障の一つだ』」が開催された。
集会では、鳩山友紀夫氏(元内閣総理大臣)、そして、呉江浩(ごこうこう、Wu Jianghao)氏(中華人民共和国駐日本国特命全権大使)を来賓に迎え、浅井基文氏(元広島平和研究所所長)氏が記念講演を行った。
また、古賀茂明氏(元経産官僚)、奥谷禮子氏(人材派遣会社 ザ・アール創業者)、乗松聡子氏(ピース・フィロソフィー・センター代表)、泉川友樹氏(沖縄大学地域研究所特別研究員)、そして、大野芳一氏(日中一帯一路促進会代表)らが登壇し、それぞれの分野から、日中関係・日中友好について発言した。
来賓あいさつの中で、鳩山友紀夫氏は、次のように述べた。
鳩山氏「今から45年前の(1978年)8月12日に、日中両国は平和友好条約に署名したことを心からお祝いしたいと思うのであります。
主権及び領土保全の相互尊重・相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵、並びに、平和共存の諸原則をうたい、全ての紛争を平和的な手段により解決をすることを確認した『平和友好条約』の意義と有効性は今日に至るまでいささかも失われていません。
しかし、この条約が主として、どうも、日本側から空洞化しつつあるという危機感を抱いているのも、また偽らざる事実でございます。45年前と比べて日中両国の力関係は絶対的にも相対的にも大きく逆転をいたしました。中米関係を初め、両国を取り巻く国際環境も大きく変化をしているのでございます。
日中両国が細心の注意を払って、二国間関係を制御しようとしない限り、日中関係がどうもおかしな方向にどんどんと向かってしまうのではないかととても心配をしております(後略)」。
同じく来賓あいさつとして、呉江浩氏は以下のとおり発言した。
呉氏「45年前の中日平和友好条約の締結は、両国関係の歴史における重要な一里塚でありました。条約は両国間の恒久的な平和友好関係を発展させることを、『双方共通の義務』として法的に定めました。
そして、内政に対する相互不干渉、すべての紛争の平和的手段による解決、覇権を確立しようとするいかなる国による試みへの反対など、一連の基本原則を規定しております。これらは両国関係を取り扱う上で遵守すべき指針であるだけではなく、今日の世界における、多くの紛争を解決する上においてにおいても大きな現実的意義を持っているのではないでしょうか。
45周年を記念するに当たり、締約の初心に立ち戻るとともに、より重要なのは条約の義務を誠実に履行しなければならないことであります。
『平和・友好・協力』という正しい方向性をしっかりと把握し、新しい時代の要請にふさわしい中日関係を構築することが求められております。我々は平和を断固として守らなければなりません。なぜ、中日両国は平和友好というタイトルの条約を締結したのか。それは、日本軍国主義が深刻な災いをもたらした戦争の歴史を経験した両国民が、末永い友好を厳粛に誓い合うためであります。
しかし、45年後の今日、日本では、歴史の教訓を一部の人が忘れたかのように、中国脅威論を騒ぎ立て、台湾有事をあおり、強い抑止力、戦う覚悟とまで言い出す人が出てきております。危険な言論であります。そのような方向に導かれていけば、日本は再び誤った歴史の道に突入しかねません。我々は友好の旗を高く掲げなければならないと思います。
世界が変わり、時代も変わり、なぜ友好という言葉を堅持するのでしょうか。それは友好こそ両国の根本的利益に合致するものであり、歴史と現実が繰り返し示してきた、唯一の正しい選択であるからです。両国関係がいかに困難と疎外に遭遇し、一部の勢力がいかに中日の対立をあおり立てようとも初心を揺るがすことなく堂々と友好の旗を高く掲げ、中日の間の4つの政治文書(※)の原則に従い、両国関係の大局を守るべきではないでしょうか。
※日中共同声明(1972)、日中平和友好条約(1978)、平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言(1998)、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明(2008)の4つの文書。
我々はウィンウィンの協力を堅持しなければなりません。中日はこれからも協力するのか、協力できるのか。本来、迷う余地もないことではありますが、両国関係を悩ませる疑問となっているのが今の現実であります。中日の経済活動が深く絡み合っており、互恵・ウィンウィンの協力が両国民に大きな利益をもたらしてきています。(中略)
今日(8月10日)付で、中国人観光客の日本団体旅行が全面的に再開されることになります(※)。そして、より多くの日本人の皆さんが中国を訪れ、コロナ後の中国を体験し、ありのままの立体的な中国を見ていただきたいと思います。渡航ビザの緩和策をさらに改善しているところでありまして、『ノービザ』が回復されるまで頑張っていきたいと思います。
- 中国 日本への団体旅行きょうから解禁 およそ3年半ぶり再開(NHK NEWS WEB 2023年8月10日)
中日関係が深刻な試練に直面している中、両国の有識者たちが、この関係の健全かつ安定的な運行のために一層努力をし、ともに協力を守り、ともに友好を継続し、ともに発展を図っていくことを祈念申し上げ、また、本日の大集会の成功をお祈りしまして、私の挨拶といたします」。
集会の詳細については、ぜひ全編動画にてご確認ください。