2023年5月27日、東京都世田谷区のペーパーバックスタジオにて、「インボイス制度を考える演劇人の会」により、「緊急リーディング公演『演劇大変! どうなるインボイス?』」が開催された。
「インボイス制度を考える演劇人の会」は、作家・俳優・演出家の丸尾聡氏を世話人として、2022年10月に活動を開始した。演劇界に大きな影響を及ぼすと思われる「インボイス制度」にどのように対応すべきかを考え、演劇に関わるすべての人々に制度を認知してもらうための活動を行っている。
この日、IWJ記者は、午前11時からのゲネプロ(最終リハーサル)と、昼の公演後に行われた、税理士の青野友信氏、俳優の西山水木氏らによるアフタートークを収録した。また、「インボイス制度を考える演劇人の会」の世話人・丸尾聡氏と、実行委員のひろせあや氏、城戸啓佑氏の3人にインタビューを行った。
この劇は、架空の老舗劇団「下層階級」の第160回目の劇団総会において、劇団として「インボイス制度に登録する」ことが団員たちに告げられる場面から始まる。
そして、二人の「インボイス・アドバイザー」を巻き込んでの喧々諤々の話し合い、謎に包まれた悪の5人組「インボイスマン&ウーマン」との「インボイス登録の是非」をめぐる激しいせめぎ合いを経て、ある日の稽古場における3人の劇団員の間で交わされる印象的な会話により、これから始まる「インボイス制度」との闘いがほのめかされるという内容。
公演の映像と台本は今後、「インボイス制度を考える演劇人の会」のホームページ(https://note.com/tit_for202310/)上で公開される予定となっている。
世話人の丸尾聡氏は、インタビューの中で、インボイス制度について、次のように訴えた。
丸尾氏「結局ね、困ったり、損したりするのは俺たちなんだよ、という。だから、あなたなんですよ! ということだと思うんですよ。
さっきも、ほとんどこれ(インボイス制度)に賛成している国会議員は、実はいない、みたいな中で、みんな、変だし、誰も得しない制度だなって思っているんだけど、何となくそういう方向に流れているわけですよね、今。
これで、結局、損をするの、困るのは僕たちなんですよ。あなたたちなんですよということです。個人事業者だけでなく、さっきのように、劇団も困るところがあるし、あるいは、芝居好きで、自分の『推しメン』がいるという人も、その人が芝居をやめなきゃいけなくなっちゃうかもしれないし、芝居のチケット代だってそのせいで上がるかもしれない。
誰も得しないんですよ、結局。全員が全員、何かをしてくれということじゃないんですけど、ほんと、『損するのは自分だよ』ということを、この制度に関しては特に、そうだと思います。そのことをもう一回考えてもらいたいなって、考えてくれればいいなというふうに思っています」。
ゲネプロ、アフタートーク、そしてインタビューの詳細については、ぜひ全編動画を御覧ください。