5月の広島のG7サミットに集まるG7首脳に「ウクライナ紛争の即時停戦」を呼び掛けるための記者会見が、2023年4月24日、衆議院第二議員会館で行われた。主催は株式会社サステナ。
この日行われたのは、4月5日の会見に続く第2回で、第1回では、停戦を呼び掛ける宣言文発表と、新聞への意見広告掲載のクラウドファンディング、賛同署名の呼びかけが行われた。その模様はIWJの下記記事で、支援方法を含め紹介している。
今回はその進捗報告で、サステナ代表のマエキタミヤコ氏が司会、登壇は伊勢崎賢治氏(東京外国語大学名誉教授・元アフガン武装解除日本政府特別代表)、和田春樹氏(東京大学名誉教授)、羽場久美子氏(青山学院大学名誉教授)、鈴木国夫氏(「市民と野党をつなぐ会@東京」共同代表)の各氏。
冒頭でマエキタ氏が、クラウドファンディングは目標の264万円に対して、123万1500円、支援者数122人と報告(期限5月7日)した。また、鈴木氏が署名の進捗を2820筆と報告した。
和田氏は、ドイツでの戦車供与反対と停戦を求める署名が77万筆に上ることや、宣言は東アジアへの紛争拡大にも反対する旨を述べた。
伊勢崎氏は、停戦アピールを「G7でなくロシアに行うべき」との批判があることに対し、アピールメンバー多数が重複する「憂慮する歴史家の会」が、韓国の研究者100人と共に、「ロシアの侵略行為を糾弾」し、「停戦のための対話の仲介を要請する声明文」を国連事務総長に送ったと紹介した。
これについて伊勢崎氏は、唯一の対話装置としての国連の機能を喚起させるためだと説明した。
また、この戦争は「ミンスク合意などが試行錯誤されたドンバス戦争の延長」であり、「停戦工作は時期尚早とは言えない」と訴えた。
さらに、G7に対して即時停戦を訴える理由について、「この戦争が、G7、特にアメリカの代理戦争だから」だと指摘。アフガニスタンでの米ソ「代理戦争」と同様にもかかわらず、ムジャヒディン(イスラムの聖戦士)の戦いを「代理戦争」と呼び、ウクライナ戦争を「代理戦争」と呼ばないことについて、「肌に色がある人々の祖国への忠誠心は、そうでない人種のそれより劣るというのか?」と批判した。
また、G7は「ウクライナ国民の戦う総意への支援」と言うが、「戦いたくない」と思っても口に出せない「戦時の熱狂」「同調圧力」について、かつてそれを経験した日本人だからこそ、その「末路」である広島に集まるG7リーダーに訴えるべきと指摘した。
羽場氏は「3つの危険な言い換え」を見抜くべきだと訴えた。最も危険なのは、英国がウクライナに劣化ウラン弾を供与し、ロシアがベラルーシに戦術核兵器配備を命じたことだと指摘。英国は「劣化ウラン弾は核兵器でない」と言うが、人体と地球を汚染する核兵器であり、英国は供与を停止、双方が核兵器を使わないと確約すべきだと訴えた。
次に羽場氏は、「今停戦すれば、ロシアが東部ウクライナに残るので、国境からロシア軍が撤退するまで、戦争を継続すべき」だというG7の論理について、国民の犠牲を考えず「勝つまで戦う」とした第二次大戦末期の日本軍部の論理と同じだとして、「被爆二世」の立場から批判した。
最後に羽場氏は、国連総会のロシア・ウクライナ戦争に関する決議に棄権、反対、欠席した国はほぼ50か国で、世界人口の3分の2を占め、彼らG20、グローバルサウスは停戦と交渉を求めていると指摘した。
羽場氏は、ロシアは停戦に応じないと言うが、実は何度も停戦を要求しており、停戦を認めないのはウクライナと背後の米国、NATOだと批判。どちらにも武器を送ってないグローバルサウスで構成する国連中立軍による緩衝地帯を設け、戦争を止めることが望まれていると語った。
詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。
岩上安身は2022年8月16日と9月23日に、ウクライナ紛争に関して羽場久美子氏へインタビューを行っている。こちらもぜひあわせて御覧いただきたい。
- 「ウクライナ紛争のエスカレーションの背景にあるのは米国によるウクライナへの武器供与!」 ~岩上安身によるインタビュー第1090回 ゲスト 国際政治学者・神奈川大学教授 羽場久美子氏 2022.8.16
岩上安身による羽場久美子氏へのインタビューは、テキスト化して詳細な注釈を付け、『岩上安身のIWJ特報』として発行している。こちらもぜひあわせて御覧いただきたい。