「争うよりも愛しなさい」――。
2月26日、沖縄県庁前県民広場で、このようなキャッチコピーを掲げて、平和集会が開催された。主催は「島々を戦場にするな! 沖縄を平和発信の場に! 2.26緊急集会」実行委員会。
スピーチに立った、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松氏は、遺骨と向き合って、いつも「どうしてこの人たちは、殺されなければいけなかったのだろうか? 沖縄が戦争になることを避けることはできなかったのだろうか?」と考えてきたと語った。
具志堅氏によると、沖縄戦の生き残りのお年寄りたちに「沖縄戦に反対することはできなかったのですか?」と尋ねると、みんな、「当時は戦争反対を口にすると、すぐに捕まった。自由にものが言えなかった」と答えるのだとのこと。
「今はどうにかかろうじて(戦争反対が)言える」と述べた具志堅氏は、「私たちが今選択すべきは、避難やシェルターについてではなく、沖縄を戦場にさせないということです」と訴えた。
また、台湾有事の懸念について、具志堅氏は「日米両軍が攻撃しなければ始まらない」と述べ、「自衛隊とアメリカに戦争の引き金を引かせないために、私たちが声を上げなければならない」と呼びかけた。
具志堅氏は「人を殺してはいけない」、「自分が殺されることを認めてはいけない」、「自分で自分を殺してはいけない」という大事な3つのことをあげた上で、「沖縄戦では日本軍から命令され、我々はそれを受け入れてしまった」と指摘し、こうした過ちを、もう絶対に避けなければならないと訴えた。
沖縄平和運動センター元議長の山城博治氏は、「アメリカにバイデン政権が登場してから、あまりにも『戦争、戦争』と、戦争を始める準備の声高な声が届いている。日本政府もそれに巻き込まれるように軍備増強に走っている」と指摘し、「政府が進めている、沖縄を滅亡させるこのような軍事政策を、断じて許すわけにはいかない」と訴えた。
山城氏は、昨年閣議決定された新安保3文書について、「国会での議論も、国民世論も、まして沖縄の話も聞かないで、沖縄が戦場になるということを公言している、恐ろしい閣議決定だ。許せない話だ」と批判し、「(沖縄が)丸ごと食いつぶされる」と訴えた。
山城氏は「怒涛のように襲いかかる日本政府、ウチナーを丸ごと戦場にして恥ともしない、再び沖縄戦を惹起させて恥ともしない日本政府、ヤマト政府に、沖縄は黙ってはいない、私たちは簡単には殺されないと伝えていきたい」と、決意を語った。
その一方で山城氏は、この集会の準備を通じて「怒りと憎しみに満ち溢れている憎悪の世界には入っていけない」という若者世代との議論があったことを明らかにし、「戦場に行くのは我々世代ではなく、まさにそういう若者たちだ」と述べて、世代を超えた団結を呼びかけた。
4年前の2019年2月24日に実施され、7割以上が辺野古埋立に反対した沖縄県民投票で、「辺野古」県民投票の会代表を務めた元山仁士郎氏は、「これで辺野古基地建設が止まるんじゃないか、必ずやこの訴えは日本政府に、日本の方々に届くんじゃないかと信じていたが、今、うるま市や普天間基地、嘉手納基地の問題はもちろん、宮古島、石垣島、与那国島にも自衛隊が配備され、まさに琉球列島、沖縄一帯が再軍事化されていると言う状況だ」と指摘した上で、次のように語った。
「私たちは、友人や知人、家族や親戚と『何で沖縄戦って起きたんだろうね』と言うことを話す必要があるのではないでしょうか。
『やっぱり軍備は必要なんじゃないか』という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、『じゃあ、どこにどの程度の軍備が必要なの? こんなに大きな基地がいっぱいあるのに、どこに、また必要なの?』と。
また、ウクライナのこともよく話題に出されますし、1年が経ちましたけど、基地が狙われるんですよね。じゃあ、基地の周辺に住んでいる私たちって、大丈夫なのかなというふうなことを訴えていかないといけないと思います。
そして、戦争が終わったあとも、女性への暴力、弱者への暴力、孤児の問題。(沖縄戦では)孤児が、一人で生活をしていかないといけない方達もいたわけです。
そういうこともちゃんと考えて、戦争を本当にやった方がいい、軍隊必要だと言っているのかというようなことを、みんなで話していく必要があると思います。
そしてその輪を、台湾だとか中国だとか韓国だとか北朝鮮、アメリカ、日本へと、どんどん広げていく必要があると思いますし、自分自身もその取り組みを続けていきたいと思います」
このほか、会場では、与那国島、石垣島、宮古島の市民団体や、集会に参加した市民らによるリレートークが続いた。