2021年12月2日(木)午後3時半より、日本共産党志位和夫委員長の定例会見が開催された。
冒頭、志位委員長は、11月30日に米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が燃料タンク二つを投棄し、そのうち一つが同県深浦町の役場近くに落ちた事件について言及し、以下のように懸念を表明した。
「18年に小河原湖に燃料タンク2個投下。19年に六ケ所村に模擬弾落下、そして今回のタンク投棄と、空からの落下物が多発する異常事態だ。
日米地位協定の壁があって、こういう事件が起こっても日本の警察の捜査が及ばない。今回の燃料タンクの投棄についても、緊急着陸したF16、この機体に日本の警察が一切触れられない。
日米地位協定が異常な、従属的な、植民地的な従属下に日本を置いている。それがこの種の事故の度に露わになる。日米地位協定の抜本改定は待ったなしである」。
その後の質疑応答において、IWJ記者は、以下のように質問した。
「11月12日、自民党の茂木幹事長は、読売新聞のインタビューに対し、緊急時に政府の権限を強化する『緊急事態条項』の創設を優先的に目指す方針を示したと、報じられています。
自民党は、先の衆議院選挙で改憲勢力である自・公+維新、国民民主で3分の2議席を超える議席数を獲得することができたため、念願だった緊急事態条項を、本気で憲法に書き加えようとしています。
緊急事態条項に明確に反対している党は、共産党とれいわ新選組だけです。立憲民主党の枝野前代表は、11月12日の代表辞任改憲で、弊社の緊急事態条項に関する質問への回答を拒みつつ、改憲は今回の選挙の争点ではなかったと述べました。
立憲民主党の支持母体である連合は、立憲民主党を改憲勢力に引きずり寄せ、国民民主党と立憲民主党で共闘を組ませ、共産党を蚊帳の外に置きたい思惑があるように思われます。事実、連合の芳野友子会長は、そのように述べています。
今後、立憲民主党と共産党の野党共闘を分断する、この連合に対して、どのように対応していくおつもりでしょうか」。
志位委員長はこれに対し、次のように回答した。
「連合の皆さんとは、私達は協力を願っています。
事実の問題として申し上げますと、連合と共産党がずっと対立関係にあったというのは事実ではない。私は2001年、鷲尾悦也会長・笹森清事務局長の時代に、蔵王町で行われた連合主催の夏季セミナーに講師として招待していただき、一時間の講演とその後一時間質疑を行いました。そういう交流や連携をやってきたということもあるんです。
それから、今度の総選挙でも、地域によっては連合の皆さんと協力して戦ったところもあります。ですから私たちとしては協力を願っている、というところです。
それから、緊急事態条項について、これは私たち断固反対なんです。これは緊急事態の名を借りて国民の基本的人権を停止してしまおうというものですから、特に、公の秩序の名のもとに人権を停止するというものですから、極めて危険な独裁への道になります。だから私たちは断固反対です。
茂木さんの発言というのは確か、コロナの対応との関係で出されたと思うんですが、コロナ対応を自公政権が失敗したのは、憲法に緊急事態条項がないからではないんですよ。政府がですね、科学にもとづいたまともな対応をやらなかった、自らの失政なんです。
それを憲法の責任に押しつけて、改憲に使うというのは本当に卑劣なやりかただと思います。今焦点となってくるのは、憲法9条の改定、そして緊急事態条項、これらが(自民党改憲案の)4項目の中でもとりわけ危険な内容になってきますけれど、私たちは断固そうした憲法改悪には反対、と。
そして、憲法を活かした政治こそ必要だと強く訴え、運動も起こしていきたいと思います。そういう新しい憲法擁護署名も始まっておりますが、我が党としては、5月3日までに1000万の署名を集める取り組みも始めていこうと、この前の第4回中央委員会総会で確認したところです」。
他社からの質問は、立憲民主党の新代表に泉健太氏が就任し、これまでの泉新代表の発言に今後の日本共産党との共闘体制の見直しを匂わせるものが多いことから、そのことへの日本共産党の受け止め、対応を問うものが多かった。
志位委員長はこれらの問いに対し、次のように答えた。
「野党共通政策と、共産・立憲の党首会談で合意した政権協力の合意は公党間で結んだ公的な合意であり、これを掲げて総選挙をたたかったわけですから、国民への公約である。
これは選挙後も、選挙後こそ実現され継続していくべきもの。我が党としてはその合意と公約を誠実に遵守していく。そういう立場で次の参院選にものぞみたい」。
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。