8月13日に岩上安身が、7月30日の菅総理の会見の後に、官邸報道室宛に送っていた質問の回答が菅総理の回答として届く!菅総理の回答を全文掲載!菅総理からの回答は、検査総数が「前年比」で増えたと弁明するだけで、現在の悲惨な感染状況を直視せず! 2021.8.19

記事公開日:2021.8.19 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 7月30日、菅総理は、緊急事態宣言、まん延防止重点措置の適応地域拡大をすることについて記者会見を行った。

 岩上安身は、会見には参加できましたが、指名されなかったため、質問を当日の夜に官邸報道室あてにメールで送った。

 岩上安身が7月30日の総理会見後、官邸報道室に送った質問は以下から御覧いただけます。

 しかし、2日後の8月1日に官邸報道室から質問の文章を短くしてもらいたいとのメールが届いた。

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(前略)
修正後の御質問について、8月2日(月)朝9:30までにお送りいただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。

  官邸報道室 

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 官邸報道室からのご連絡を受け、8月2日の未明に岩上安身は、以下の短縮した質問を再度、官邸報道室に送った。

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 菅総理の説明をお聞きし、今回のデルタ株による感染爆発を止める決め手はワクチンであるとお考えになっていることがわかりました。

 しかし、ワクチン接種が進んでいる米国で、ワクチン2回接種完了者の間で、ウイルスがワクチンの効果を突破(ブレイクスルー)してしまう「ブレイクスルー感染」のケースが増えています。

 米国の疾病対策予防センター(CDC)によると、米国で7月19日、「ブレイクスルー感染」で入院した患者は5601人と、4月26日時点と比べて6.7倍に増加。同じ日の「ブレイクスルー感染」の死亡者は1141人と、4月26日時点の死亡者132人と比べ8.6倍に急増しています。

 こうなると、ワクチン接種が、絶対的な決め手になるかどうか、疑問が生じてきます。

 ワクチン以外では、国民の行動抑制を強化する旨おっしゃいましたが、国民にも受忍限度があります。政府があらゆる手を尽くしているなら、国民もこれ以上の行動制限を受け入れるかもしれませんが、政府は1年半にわたってPCR検査の抑制を続けています。

 東京都の新規感染者数は、五輪が開幕した7月23日の1359人から6日後の29日には3865人と2.8倍に急増しています。

 問題は、陽性率と検査数です。7月28日の陽性率は18.0%で、五輪開幕の23日の12.8%の1.5倍と急上昇しています。これは端的に検査数が足りないことを示しています。

 実際、PCRと抗原検査を合計しても、東京における検査数は7月28日(7日間移動平均)で8980人、7月23日の8082人から、ほとんど増えていません。

 世界を見渡しても、先進国でこんなに検査を抑制している国はどこにもありません。7月29日現在、日本は100万人あたりの検査人数が14万4365人で、世界143位です。

 会見の間、尾身会長は何度か検査の必要性を口にされ、「言葉だけでは足りない。行動が必要」とまで訴えておられましたが、菅総理からは、検査をどこまで増やす、といった具体的な目標などは示されませんでした。

 日本のトップが検査の拡充に消極的では、厚労省の検査抑制の姿勢が変わるわけがありません。国民に行動変容を求める前に、厚労省の官僚の意識と行動の変容を求めるべきではないでしょうか。

 「検査も必要」という尾身会長の「言葉」を、政治力によって「実行」するのは、菅総理であるはずです。ワクチンと国民への行動抑制の強制だけでなく、検査拡充についても具体的な目標数値をあげて、思いきったリーダーシップを政府に対して発揮することはできないのでしょうか?検査の思いきった拡充を行う意思がおありかどうか、その点を総理におうかがいしたいと存じます。

岩上安身拝

※官邸のホームページには、上記記載の参考のURLが割愛されています。これは、岩上安身が官邸から割愛する旨のメールをもらい、了承する旨の返事を送信しています。

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 8月13日、官邸報道室から菅総理の回答として以下のメールが送られてきた。

菅総理からの回答————

 感染拡大を防ぐ上で、検査の拡充は極めて重要であり、まず、全体の検査能力の底上げを図るため、医療機関や民間検査機関も含め検査機器の導入を支援する等、検査体制の整備に取り組んできたところです。

 この結果、我が国の1日当たりのPCR検査の能力は、昨年4月上旬に約1万件であったのが、直近では約30万件となっています。

 また、重症化リスクの高い高齢者施設の従事者等に対する集中的な検査については、本年の2月~3月にかけて約63万件を超える検査を、4月以降からは約364万件の検査を実施してきたところです。

 さらに、感染拡大の予兆をつかむため、無症状者を対象にしたモニタリング検査についても、本年2月から累計で約58万件の実施をしています。

 加えて、専門家の提言を踏まえ、軽い症状がある方が速やかに気軽に検査を受けていただけるよう、短時間で結果が分かる抗原簡易キットの活用を推進しています。

 高齢者施設や医療施設等に対しては、6月以降、約460万回分の抗原簡易キットを、大学等に対しては、7月末から約45万回分の抗原簡易キットを順次無償で配布しています。職場においても、抗原簡易キットを用いた検査を円滑に実施できるよう利用を促進しています。

 引き続き、感染拡大防止に向けて必要な検査が行われるよう、引き続き都道府県等と連携しながら、取り組んでまいります。

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 この回答を見る限り、政府は「前年比」だけで弁明するだけで、現在の感染拡大の惨状に見あった検査の拡充と隔離の徹底をしようとする姿勢は見られない。世界各国との比較をすると、著しく検査体制が劣っていることについても、何も説明がない。政権に本気でこのパンデミックに立ち向かうというやる気がないのだ、ということがはっきりとみてとれる。

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