3月開始の不特定多数へのPCR検査は「まだそこまでは決まっていない」!? PCR「全量検査」は中国で「確かに効果出た」「やったほうがいいのは確か」と大臣!! にも関わらず日本でできない理由は!? ~1.12 田村憲久 厚生労働大臣 定例会見 2021.1.12

記事公開日:2021.1.12取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材、文・木原匡康)

 2021年1月12日、午前10時40分頃より、田村憲久厚生労働大臣の定例会見が厚生労働省で行われ、IWJが生中継するとともに以下の質問を行った。

IWJ記者「PCR検査について、いくつか質問させてください。

 死亡後コロナ感染が判明した羽田参院議員は、37度以上発熱に関わらず、高熱でないから、保健所や病院に迷惑をかけないように、PCR検査を断ったと報じられました。事実かどうかわかりませんが、仮に事実ならば、国会議員さえ遠慮するのは、政府の検査の抑制方針が一因と考えられます。

 菅総理は12月25日の会見で、IWJの岩上安身の質問に答えて、『全国、全員への検査は必要性はない』と断言されました。しかし、昨日、政府が3月にも空港や繁華街、学校などで、不特定多数にPCR検査を無料で始め、無症状者含む全体像を把握すると報じられました。これは、菅総理もお考えを改めた結果で、政策転換であるということで、よろしいでしょうか? 確認させてください。

 他方、結局『全量検査』ではなく、中途半端な感が否めません。全量検査の効果は中国の例などで立証された面があります。そもそも検査を公費で受けることは、国民平等の権利のはずで、企業も従業員が陽性か陰性かわからないと困りますので。必要性がずっと叫ばれているにもかかわらず、国民全員に公費で全量検査を徹底することに、まだ及び腰なのはなぜか、という点をお教えください。

 最後に、この無料PCR検査は、3月では遅すぎないでしょうか? もっと早くして、決められた場所をもっと増やしていくということを検討されないのでしょうか?」

田村憲久厚生労働大臣「羽田議員の件はちょっと私、よく存じ上げておりません。どういう事情なのかっていうのは。マスコミ報道なんかでは、いろいろ報道されてますけれども、真実どういう状況なのかっていうのは直接お聞きいたしておりませんので、よくわからない部分もあるんですが。

 本来ですね、37度5分以上もあるような高熱ならば、診療検査医療機関というもの、全部で2万5000、東京にもたくさんあります。そういうところございますので、最寄りの保健所、もしくは、かかりつけの医療機関があれば、そこにご連絡をいただいてですね、そこがやっていなければ、やってるところを教えていただく。一応そういう風に、各自治体にはお願いいたしておりますので、そういうところをお聞きになられて、行かれると、PCR検査もそうなんですが、それ以外に、抗原検査、抗原検査キットですね、簡易キット、これのほうも用意をされているところも多々ありますので、それでやると簡単に数十分で結果が分かるということになっております。

 ですから、羽田議員が、どういうような状況で遅れられたのかと、私はつぶさには存じ上げておりませんけれども、そういうような対応をしていただければ、検査はやれたはずであろうというふうに思います。国会議員でいろいろお忙しくって、そういう対応ができなかったのかどうなのか、ちょっと我々もよくわかりませんが、一応国民の皆様方には、そういう対応ということで、昨今、検査件数も増えてきておるというふうに、我々としては考えております。ぜひとも高熱の方々は検査をやっていただきたいというふうに思います。PCR検査のみならず、抗原検査等々もやっていただきたいというふうに思います」

田村大臣「それから3月の話、ちょっと私存じ上げてないんで、ちょっとどんな話か、よく分からないんですが、多分内閣官房が、分科会で、年末ですかね、報告された中の、報告というか、要はそういう資料を出された中の一つなんだと思いますが。これは、たとえばSNSだとか、いろんなところで、いわゆる情報がありますよね、そういう情報をAIで分析をして、結果、今の日本の感染状況を分析するための、一つとして、どこかの繁華街で、若い方中心にって話になるのかわかりませんが、PCR検査を一定程度やってみることも、検討課題であるということで。

 ちょっと新聞報道を見て、私もこれはどういう意味なのかって、今日、実は朝からいろいろと状況をお聞きしたんですけれども、どうもその、まだそこまでは決まっていないということでありますし、これはあくまでも研究のためにやる話なので、PCRを無差別にというか、全員にやるという話では、根本的にない、ということだというふうに思います」

 ここで田村大臣の言う「新聞報道」とは、1月12日の日刊IWJガイドでお伝えした日本経済新聞の報道を指すと思われる。日テレニュース24も同趣旨のニュースを報じた。

  • 新型コロナウイルス対策が後手後手の菅政権、ようやく13日に大阪府、京都府、兵庫県の3府県に緊急事態宣言の発令!? また、3月にようやく不特定多数へのPCR検査を始めると表明! 民間の企業のPCR検査乗り込みにようやく重い腰をあげた?(日刊IWJガイド、2021年1月12日)
  •  日経は「政府は3月にも不特定多数を対象にした新型コロナウイルスのPCR検査を始める」とし、日テレニュース24も「不特定多数を対象にしたPCR検査が新たに始まります」と明記した。ところが田村大臣は、「まだそこまでは決まっていない」という。しかし、田村大臣自身も新聞で初めて知ったとすれば、重要な施策に関して、省庁間の連携不足の面はないのだろうか。

     いずれにしても、「あくまでも研究のため」で、「全員にやるという話では、根本的にない」なら、PCR検査抑制政策には何ら変わりがないことになる。

    田村大臣「で、今言われた、武漢の話だと思うんですね、今言われたのは。あそこは確かに効果出たと思います。ただ、それはなぜか。1千万人超える方々に多分数週間でやったと思うんですが、強制できるんですよ、強制が。日本の国、強制できませんから。

     一遍に全員をやれれば、それはそのときに、一度に、その時に感染者を把握できて隔離できますから、一定期間で収束できますけれども、強制力がないとですね、バラバラ、たとえばその中の1割やっていただいても、他の9割やられなければ、当然その後また感染はずーっと続きますので。そういう意味では、日本の国、そこまで強制力を持った対応ができないということがあります。

     でありますから、なかなか費用対効果、これはやったほうが、それはいいと私も思います、無料で。ただ、問題は税金でやらなきゃいけないので、費用対効果というものも考えなければならないということになると思います。

     以前、私はお話したと思いますが、全介護職員、医療従事者、これを10日に1回ぐらいやったらどうだっていうことを言われる方々もおられるんです。ところがそれをやるだけで、今のPCRの費用、まあ、費用といっても、一つは行政検査の費用の金額を、一つ指標で出してやってるわけでありますが。それだけで年間やはり2兆円近くかかるというような状況になってきます。ですから、そういう意味では、やはり税金を使うっていうことは、費用対効果を考えなきゃならないので。

     ちなみにこれはよく言われるんですが、アメリカは、多分2億回近い検査をやっておられると思います。しかし感染は止まっていない。日本よりもひどい感染状況です。ですから、いかに効率的にですね、感染の可能性のある方を見つけて、そしてそういう方々を、療養いただいて、感染拡大から防止につなげていくかっていうことが、非常に大事なんで。

     それはやったほうがいいのは確かなんですけど、費用対効果を考えると、なかなか全国民の皆様方に、無料でっていうのが難しいっていうことは、ご理解をいただきたいというふうに思います」

    IWJ記者「強制力がないがために、費用対効果のパフォーマンスを上げることができないというのが、(PCR検査抑制の)最大の理由だろうと、そういうことでしょうか?」

    田村大臣「強制力がない、要するに武漢のように、一時に全員やって、そして感染者を隔離できれば、それは一定の効果を示せると思います。ただ、それは日本では無理ですよね、事実上。ですから、そういう意味ではなかなか難しい。中国という国家体制の中でやれる、という話だったと思います」

     田村大臣は、日本には強制力がないと言った。しかし、そもそも国民は検査を求めているのである。

     さらに田村大臣は「行政検査の費用」が「2兆円近くかかる」ことを検査抑制の理由の一つにあげた。しかし、感染拡大の要因とみなされる「Go To トラベル事業」の予算は「約2.7兆円」と、蒲生篤実観光庁長官が述べている。なぜ、その予算を検査拡大に回して、感染拡大を抑制しないのだろうか? 経済を立て直すためには、感染拡大の抑制が必須条件のはずである。

     このほか、他社からの質疑応答では、関西3府県対象の緊急事態宣言、感染症法の改正、連休が明けても人流が減らない現状について、積極的疫学調査、変異ウイルスと会食の関係、非正規雇用への休業手当が取り上げられた。

■全編動画

  • 日時 2021年1月12日(火)10:40~
  • 場所 厚生労働省 9F 記者会見室(東京都千代田区)

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です