2021年7月21日(水)午後1時より、東京・参議院議員会館にて、社会民主党 福島瑞穂党首の定例会見が開催された。
冒頭、福島党首は、7月23日に開会を控えた東京オリンピックについて、「オリンピック・パラリンピックを開催して、本当に大丈夫か? と強く思っています。やはり、今の段階ですが、中止を強く求めたいと考えています。コロナ感染が拡大することは間違いなく、抑制になるというのは考えられない。というのが、最大の理由です」と述べた。
また、選手村について、「何万人という人がいる選手村で、クラスターが発生したりという危険性が本当にあると思っています」とし、「実際に、日本に来られてから陽性がわかるという方もいらっしゃいます。(中略)オリンピック・パラリンピックのそもそもの問題点は、通常一般であれば、日本に入国して、14日間は待機、人に会っちゃいけない、という状況なのに、選手も関係者も、それからメディアの人たちも、その例外で、人に会わない、とか、外出ができないという状況になっていない」と指摘し、「蓋を開けてみれば、(選手・関係者の行動に)何の規制もありません。ルールブックすら徹底されていない。(中略)『バブルに穴がある』というよりも、『バブルなど始めから無かったと言うべきです」と痛烈に批判した。
福島党首の冒頭の発言に続いて、各社記者と福島党首との質疑応答となった。IWJ記者は2つの質問をし、福島党首との間で以下のようなやりとりがあった。
IWJ記者「先程から、福島さんもおっしゃっているとおり、東京オリンピックの本番が近づくにつれて、あらゆる問題が吹き出している状況だと思います。オリンピックの運営が、これほど酷い状態になっている背景には、もちろん、オリンピックとコロナの感染拡大とが重なっているということもあるのはあると思うのですが、何か、日本の政治というか、社会が、壊滅的なくらいに『ダメさ加減』が露呈しているような気がします。
その理由というか、今の状態を、福島さんがどのような視点で見ているのか、ということをうかがえればと思います」
福島党首「そうですね。ですから、政治が、国民の『命と暮らし』、でも、今となったら、全世界と言ってもいいほど広がっていると思いますが、『命と暮らし』を守るために何をすべきか、というふうにまったく考えないで政治をやってきたために、東京オリンピック・パラリンピックをシンボリックに、まさに『利権』や『面子』や、そういうことしか考えない。
『大企業』や『利権』、そういうことしか考えない政治である、ということが、本当に問題点を非常に拡大させていると思います。
始めからバブル、膜などなかったのに、あたかもあるかのように、『守らせます!』とか言っておきながら、まあ、それが出来ないわけなんですよね。出来ないことを出来ると言いつのり、無理やり強行しているために、とんでもなくなっていると思います。
で、『オリンピックでメダルを取る人がいれば、国民も考えを変えるよ』というふうに思っているのだとしたら、やっぱり、甘いんじゃないでしょうか?アベノマスク、去年、500億円かけて、小ちゃなマスクを配りました。検品までお金をかけて、保健所にやらせ、その後、10億かけて、民間に委託しました。
『マスクを配れば、みんなが本当に変わるよ』と思ったのかもしれませんが、それが本当に甘かった、というか、酷かったように、今回のオリンピック・パラリンピック強行や、それから、みんなに支援をせずに、一方では、もうズルズルの東京オリンピック・パラリンピック。対策をきちんととらずに強行する。東京オリンピック・パラリンピックを強行するためには、ある程度無理をしなくてはいけないところもある。
しかも、『学校連携観戦プログラム』にしても、全面的中止まで行っていないんですよ。たとえば、鹿嶋市が、子どもたちを観戦連携させますが、テロの恐れということもあるのか、マイボトルもだめなんですね。ですから、ペットボトルを一個配るだけで、熱中症などを心配した学校側が、追加の飲料水を求めたら、それが却下されるという状況です。
私自身は、学校連携観戦プログラムは、子どもに対して心配なので、これは、オリンピック・パラリンピックで、全国で中止するべきだと思っていますが、これも強行するっていうのも、理解が出来ません。子どもたちが、飲料水などを制限されながら、なぜそこまで集団プログラムで行かされるのか、理解が出来ません。
『無理が通って道理が引っ込む』ではないけれど、国民の『命と暮らし』なんて、まったく考えずに、強行しようとしているということが、本当に、支持率の低下の現れだと考えています。これから、もっと下がると思います」
IWJ記者「もう一点、先程、先生もおっしゃいましたが、酒類提供を自粛しない飲食業者への酒取引停止と金融機関による働きかけ、および『要請撤回』について、ひとつ質問です。
7月16日の西村大臣の会見で、IWJも出席したのですが、この件に関して、いくつか大臣に質問があったんですが、その中には結構鋭い、西村大臣の責任を問うような、鋭い質問もあったのですが、先日の7月20日の会見では、この件に関する質問はまったく出なかったんですね。
IWJはこの両方の会見に出席していたのですが、指名されず、質問はできなかったんですけども、その日に用意していた質問というのが、西村大臣が『すべて自分の責任で行なった』とおっしゃっているんですけども、菅総理、および麻生副総理の『監督責任』が問われるべきではないか、という点と、要請発出の決定に到るまでの議論がわかる議事録があれば公開すべきではないか、という質問をする予定だったのですが、これについて、福島さんのご意見をお聞かせいただきたいのですが」
福島党首「まず、菅総理には『任命責任』もありますが、西村大臣は、関係閣僚会議があったときに、『この提案をした』というふうに言っています。ということは、菅総理は、このようなことが発出されるということを知っていたということです。ですから、やっぱり、西村大臣の責任も大きいですけれども、菅総理の責任も甚大だと思います。
(責任は)2点についてです。事前に知っていたということ。それから、西村大臣の任命責任。この2点です。ですから、菅総理の責任も極めて大きいですし、そのことについて、菅総理は説明をすべきだというふうに考えています。
だからこそ、菅総理は、閉会中審査の内閣委員会、厚生労働委員会に出席しておりません。ですから、『国会を開け』というのがとても大事で、東京オリンピック・パラリンピックを、開催の直前で、今もたくさんのことが吹き上がっています。国会を開いて、国会の中で、総理が説明をすべきである、そう思います。
ですから、私たちは、社民党も含めて、4分の1の賛成で、憲法52条にもとづく、『臨時国会の招集』を要求しています。これは、憲法上は、臨時国会を開かなければならない、としておりますので、憲法に則って、臨時国会を開くべきだと思います。この憲法すら守らない自民党・公明党が、『憲法改悪』の提案をするのは、笑止千万だと思います」
福島党首の報告、ならびに各社記者と福島党首の質疑応答については、全編動画にてご確認いただきたい。