桜島は序章に過ぎない!? 「充電」された姶良カルデラの脅威! 日本全土を襲う巨大噴火と川内原発再稼働の「愚」~IWJ×FFTV第2弾!(前編) 2015.8.16

記事公開日:2015.8.26取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根)

特集 3.11から11年!『ウクライナ侵攻危機』で、IWJが警告し続けてきた『原発×戦争リスク』が明らかに!
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 「国は、火山爆発による原発事故があった場合を想定していない。また、火山爆発の避難計画はあるが、原発にまで及ぶ巨大噴火の想定はしていません」──。フクロウの会の阪上武氏はこう述べて、顔を曇らせた。

 2015年8月16日、東京・六本木のIWJ事務所にて、IWJとFFTVとのコラボ企画第2弾「桜島は序章に過ぎない!? 『充電』された姶良カルデラの脅威! 日本全土を襲う巨大噴火と川内原発再稼働の『愚』」が行われた。

 8月11日に鹿児島県の川内原発が再稼働した。その直後から、桜島の噴火レベルが上がり、避難勧告が出ている。そこで急遽、川内原発の危険性を訴え、地元市民と連動して自治体との交渉などを行ってきた、FoE Japanの満田夏花氏、フクロウの会の阪上武氏、原子力市民委員会事務局の水藤(すいとう)周三氏を迎えて、岩上安身を交えた4人で「原発x火山リスク」についての緊急特番を行った。

 5時間にわたった番組の中では、桜島と巨大噴火の可能性がある姶良カルデラの危険性、噴火で想定される被害と避難体制、川内原発の再稼働審査と原子力規制委員会が認可を下すまでの経緯と内実、鹿児島市民と自治体の対応などについて語り合った。

 満田氏は、「事故の際の、放射線拡散シミュレーションはまったくやっていない」と述べ、SPEEDIも使わずに、モニタリングで500マイクロシーベルト毎時になったら即時避難の指示をするなど、住民の被曝を前提とした避難計画だと指摘した。

 もっとも懸念されるのは、活発化している桜島、姶良カルデラの巨大噴火などでの複合災害である。岩上安身は、「多くの火山学者たちが、噴火は予測不能と言う中で、再稼働が進められる構図は、憲法学者たちが違憲だという安保法制と同じ。火山学者が『噴火は予測できない』と言うのに、規制委員会は『予測します』と言っているわけで、ムチャクチャだ」と批判した。

記事目次

■ハイライト

  • ゲスト 満田夏花氏(FoE Japan)/阪上武氏(フクロウの会)/水藤周三氏(原子力市民委員会事務局)
  • 日時 2015年8月16日(日)17:00〜19:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

原発事故は倫理正義に反することだ

岩上安身(以下、岩上)「お盆休みまっただ中、大変なことになりました。川内原発の再稼働をしたとたん、桜島の噴火レベルがグッと上がり、避難勧告が出ました。いったい何が起こっているのか。IWJとFFTVのコラボ企画の第2弾は、緊急特番を、FoE Japanの満田夏花氏、フクロウの会の阪上武氏、IWJ初登場の、原子力市民委員会事務局の水藤周三氏と共にお送りします。まず、満田さんからFFTVの紹介を」

満田夏花氏(以下、敬称略・満田)「FoEとフクロウの会が、2012年、原子力規制委員会発足前の人事問題を、多くの人に知ってもらうためにネット番組を始めました。原発を中心に、安保法案や憲法、途上国の問題なども伝えています」

阪上武氏(以下、敬称略・阪上)「フクロウの会は、福島老朽原発を考える会、の略称です。1995年から東電の原発の安全上の問題を、市民の立場から監視していく活動をしています。福島の原発事故以降、FoEと共同で避難者の支援活動をしたり、原子力規制委員会の人事問題を追求したり。規制そのものに関しては、『原子力規制を監視する市民の会』とも一緒に活動をしています」

水藤周三氏(以下、敬称略・水藤)「原子力市民委員会は、2013年4月、脱原発のための政策作りを提言するシンクタンクとして、約60名の有識者、技術者、弁護士らで発足しました。座長は九州大学の吉岡斉さん、座長代理は満田さんです。立命館大学の大島堅一さん、上智大学の島薗進さん、弁護士の会、原発技術者では小倉志郎さん、後藤政志さんなどにご参加いただいています。

 私は設立時から事務局を務めています。東日本大震災当時は大学院生で、その後、1年ほど宮城などでボランティアをしました。2012年4月、南相馬に入り、飯舘村も訪れて、原子力災害は津波災害と質が違うことに驚き、原子力の問題に関心を持つようになりました」

岩上「3.11以降、原子力に関心を持ったんですね。3.11がきっかけという人は多いですが、それからの行動力がすごい。どうやって食べているんですか。大学院は? ご専門は何だったんですか」

水藤「NPO法人高木仁三郎基金に勤めています。こういう状況を目の当たりにして、行動しようと決め、大学院(哲学倫理学専攻)はやめました。津波災害を見て、倫理学に携わる者がこの事態で何もしないのは嘘になる、と。原発事故も倫理正義に反することだ、と突き動かされました」

「SPEEDI情報は公開しない」──被曝が前提の避難計画

岩上「8月15日、桜島が噴火警戒レベル4になりました。安倍談話、天皇陛下の談話、靖国取材などの中で、このニュースが飛び込んできて、終戦特集から企画を変えました。桜島から川内原発まで50キロ。桜島は今年早々、山体膨張が確認されています。

 2009年以降、爆発的噴火が急増し、2011年には1955年からの観測以来、最多の996回を、今年は8月14日まで691回もの噴火を観測。川内原発1号機は、8月11日、新規制基準の下、初めての再稼働。原発ゼロが1年11ヵ月で終わりました。今年も猛暑ですが、電気が足りないとは誰も言わなくなった。今日、川内原発から白煙が出ているとの情報もあります。政府の反応は、菅官房長官は、自分たちが決めたんじゃないと言う。しかし、再稼働は進めています。

 宮沢経産相は『バランスのとれた電源構成。安定供給の重要な一歩』と評価した。8月9日、川内原発再稼働反対集会には菅直人元総理、鎌田慧氏、広瀬隆氏など2000人が参加。IWJも取材しましたが、規定通りの再稼働なのでしょうね。現在、新規制基準に合格したのは、川内原発1、2号機。高浜原発3、4号機。伊方原発3、4号機の5基。ただし、高浜原発は福井地裁の運転差し止め処分のため、当分、再開はないでしょう。

 原発30キロ圏内の医療機関や社会福祉施設は避難計画を策定しなければならないが、川内原発の場合、計画ができているのは、医療機関85施設のうち2施設のみ。薩摩川内市で安定ヨウ素剤の配布済みは3割だけ。まだ、1300人に配布できていない状況です」

満田「安定ヨウ素剤は5キロ圏内にしか配布しないんです。受け取り拒否もあるとか。3歳時以下の乳幼児には配っていません。乳幼児に摂取させるにはシロップに溶かさないとならず、その溶剤用シロップの保存が効かないからです。そのため、避難先で配布することになっています。ところが、5キロ圏内の人が30キロ圏まで避難するのに、最後の人は10数時間かかる。交通は鉄道と協定という話もありますが、バス会社との協定は運転手の安全面から難しいといいます。

 薩摩川内市は川内原発の風下ですが、放射線拡散シミュレーションはやっていません。原子力規制委員会が初期段階でやったものは大雑把で使い物にならず、SPEEDIも使わない。モニタリングで毎時500マイクロシーベルトになったら、即時避難の指示を出す、と言っています。つまり、被曝が前提の避難なのです。『SPEEDIは福島では役に立たなかった。実測してからの方が現実的だ』と、原子力規制委員会の田中俊一委員長は言いますが、両方あればいいと思う。でも、住民の不安を煽るとして、SPEEDI情報は絶対に公開しないそうです」

姶良カルデラ規模の噴火では火砕流だけで300万人が死亡

岩上「原発施設のみの事故ではなく、火山噴火と重なったら、どうなっちゃうんですか」

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「桜島は序章に過ぎない!? 「充電」された姶良カルデラの脅威! 日本全土を襲う巨大噴火と川内原発再稼働の「愚」~IWJ×FFTV第2弾!(前編)」への1件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     安定的な電力供給の立場からすると原発は、放射能漏れ事故などで継続運転に対する信頼性が一段下がる発電所なので、本来は他の発電所と同列に扱うべき発電所ではない。経営する観点からすれば、経営のお荷物以外のナニモノでもない実験や開発段階にある代物でしかない。ただの電力料金引き上げ要因の無駄なコストに過ぎない。
     ダイジェスト版の地図を見ると100km地点までの同心円が描かれている。電力供給のプロの意見ではマトモに電力供給できるのは30km迄だそうである。現在は超長距離送電をしているが、相当無理なことをしており電力ロスが馬鹿にならないそうだ。誰でも知っている高電圧送電だが、当然ながらオームの法則に支配される。距離が伸びれば距離に比例して電力ロスが増え、変電所でも電力ロスが発生する。何も良いことが無く、超長距離送電を前提にしている原発の存在意義は全く無い。元東北大学の西沢潤一氏の意見によれば、日本の電力は水力発電所の電力だけで充分に足りるそうです。但し、これは電力ロスが無い場内の話だそうです。
     超長距離や長距離送電を止めて積算電力保障型給電方式に変えれば発電所はかなりの数が廃止できると思う。電池や電気二十層キャパシタを使って、必要かつ充分な電力を家庭で蓄電し必要量だけ発電所から供給するようにしてゆけば、電力問題の多くは解決すると思う。それを実際にやっているのは自動車です。明日の日本のための、日本の自動車産業からの電力供給提案を期待する。

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