「福島原発事故・吉田調書」報道で「記事全体を取り消した朝日新聞の判断を追認したPRC(人権委員会)見解こそ誤報」 2014.11.17

記事公開日:2014.11.21取材地: テキスト動画
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(IWJ・薊一郎)

※テキストを追加しました(2014年11月21日)

 「真実にたどり着いていない者に、真実を明らかにしようとする者を批判する資格はない」

 「福島原発事故・吉田調書」に関する朝日新聞報道と人権委員会(PRC)見解に対する記者会見が、11月17日、原発事故情報公開弁護団主催により開催された。

 同弁護団の海渡雄一弁護士は、「朝日新聞の当初の『命令違反による撤退』とする報道の方が正確なものであって、誤報とされるようなものではなく、記事全体を取り消した朝日新聞の判断は誤りで、これを追認したPRC見解こそが誤報である」と主張した。

 吉田所長の1F構内待機指示は、柏崎刈羽メモに明確に記載されていたし、15 日朝8時30分の東電本店記者会見で配布された資料にも明記されていた。

 そして、東電は、この会見時には、650名の2Fへの移動の事実が判明していたにもかかわらず、この事実を明らかにせず、退避した社員は1F近くに待機していると発表していた。

 650名の2Fへの移動は所長の指示命令に明らかに反しており、だからこそ、東電は記者会見においてこの事実を隠蔽したのだと考えられる。

 吉田所長の1F内待機の指示の存在を認めながら、この指示があいまいなものであったかのように分析するPRC見解は、これらの客観的資料やこれと符合する吉 田調書をあえて無視し、推測にもとづいて議論を組み立てている。

 事実と推測を混同しているのは吉田調書報道ではなく、このPRC見解の方である。

 真実にたどり着いていない者に、真実を明らかにしようとする者を批判する資格はない。

 朝日新聞社も含めて、すべてのジャーナリストには、3月15日朝の福島第一原 発の真実を明らかにするという責任が残されている。

■ハイライト

  • 出席 海渡雄一氏(脱原発弁護団全国連絡会共同代表、原発事故情報公開弁護団)、河合弘之氏(脱原発弁護団全国連絡会共同代表、映画「日本と原発」監督)、海渡双葉氏(原発事故情報公開弁護団)、小川隆太郎氏(原発事故情報公開弁護団)
  • 日時 2014年11月17日(月) 12:00~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
  • 主催 原発事故情報公開弁護団

【資料】

【資料】 ■2011年03月15日午前8時30分東京電力記者会見

【資料】

【資料】 東電時系列表

「吉田所長は、近くに退避して次の指示を待てと明確に指示していた」

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所の所員が、テレビ会談を見ながら発言を分単位で記録した時系列メモ(柏崎刈羽メモ)では、「構内の線量の低いエリアで退避すること。その後本部で異常でないことを確認できたら戻ってきてもらう」との吉田氏の2011年3月15日午前6時42分時点の発言が記録されている。

 さらに、同日3月15日午前8時30分の東電記者会見でも、東電が「同発電所内の安全な場所等へ移動を開始しました」と発表しており、吉田氏の指示の存在を認めている。

 にも関わらず、PRCは、「構内の線量の低いエリアで退避する」という3月15日午前6時42分時点の吉田氏の指示があったことを認めていながら、「実質的には、『命令』と評する指示があったと認めることはできず、所員らの9割が第二原発に移動したことをとらえて『命令違反』と言うことはできない」とし、朝日新聞の記事を誤報と結論付けている。

(…会員ページにつづく)

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「「福島原発事故・吉田調書」報道で「記事全体を取り消した朝日新聞の判断を追認したPRC(人権委員会)見解こそ誤報」」への2件のフィードバック

  1. nishitani より:

    おそらく、既存メディアでもこの問題を扱ってくれるはずですから、iwj以外のメディアでも語ってください。

    これに対する反論がある場でも主張してください。言論の自由とはそういうことでしょうし。いくつか質問したいことがあります。公の場で。

  2. nishitani より:

    もう一つ付け加えると、福島第一原発から署長の命令に反して逃げたといわれる600人にものぼる方たちの職務遵守(法律用語は避けます。論戦にのっていただきたいので)について、「違反」行為があったと訴えられたらどうしますか? リスクをある程度認識して職場に就いているはずの人たちが逃げたのです。緊急避難ですか?

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