小学館の週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」に掲載された漫画「美味しんぼ」で、登場人物が福島第一原発を訪問後に鼻血を出すなどの描写があった問題は、安倍政権の閣僚が「風評被害につながる」などと揃って批判する事態に発展した。
この問題について、チェルノブイリを長年にわたり取材し、福島県内でも放射能の測定など取材活動を行っている、ジャーナリストで雑誌「DAYS JAPAN」編集長の広河隆一氏は、「『復興』という名目のもとで、政府や企業、IAEAなどによる安全キャンペーンが行われているのではないか」と指摘。ベラルーシやウクライナで2万5564人から回答を得たアンケート調査の結果を示し、「チェルノブイリでは、避難民の5人に1人が鼻血を訴えた」と語った。
- 日時 2014年5月17日(土)
- 場所 DAYS JAPAN オフィス
「関連はない」とは絶対に言い切れない
広河氏らによるアンケート調査は、チェルノブイリ現地のNGOの協力のもと、1993年8月から1996年4月まで、原発事故の避難者を対象に行われた。原発から約3キロの地点にあるプリピャチ市では、回答した9501人のうち、19.3%にあたる1838人が「鼻血が出た」と回答したという。他にも、56.3%にあたる5346人が「異常な疲労感を覚えた」と回答するなど、体調不良を訴える回答が続出した。
原発から約17キロ離れたチェルノブイリ市でも21.6%、原発から6キロ離れたノヴォシュペリ市でも18.5%の避難民が「鼻血が出た」とそれぞれ回答している。
広河氏はこういった結果について、「鼻血が出ていることは事実であり、今回の『美味しんぼ』の件でも、放射能による被曝と『関連はない』と言い切ることは絶対にできない」と語った。
日本の秘密主義は旧ソ連以下