ジャーナリストで『DAYS JAPAN』編集長の広河隆一氏は10日、岩上安身のインタビューに応え、『DAYS JAPAN』のこれからや、ジャーナリズムのあり方、中東、チェルノブイリ、福島での取材などを振り返りながら、これまでの自身の半生を語った。
(IWJ・安斎さや香)
ジャーナリストで『DAYS JAPAN』編集長の広河隆一氏は10日、岩上安身のインタビューに応え、『DAYS JAPAN』のこれからや、ジャーナリズムのあり方、中東、チェルノブイリ、福島での取材などを振り返りながら、これまでの自身の半生を語った。
■イントロ
来年で10周年を迎える『DAYS JAPAN』は、編集長の広河氏がそれに合わせて引退、次期編集長を募集している。「本当に才能のある人だったら、誰でもいい」と語る広河氏は、世界を視る目があり、必要とされるものを作れる人なら、学生でも外国人でも編集長に抜擢する可能性があることを明かした。それを決めるのは、DAYSをコアに支えてくれている定期購読者だという。
広河氏は引退の理由について、健康状態の悪化を挙げたが、「最後まで取材するジャーナリストでありたい。動けなくなる前に取材がしたい」と、余生はジャーナリストとしての仕事をまっとうしたいという心中を語った。編集長引退後はチェルノブイリやパレスチナの取材へ向かうという。
世界がどうなっていくのか、関心を持たなくなっている人が増えている現状を危惧する広河氏は、「陰湿になって隠され、いろいろなものが見えなくなっている今の世の中で、人々の心に届く言葉は、僕らの言葉ではないのかもしれない。自分にはできなかったことをやってくれる人に引き継いで欲しい」と、ジャーナリストという人間の命の側に立った報道は継承しつつ、読者の求める雑誌を作り続けて欲しいと、若い世代への期待をよせた。
さらに、広河氏は今まで数多くの写真を見てきたエピソードを紹介し、「写真だけでヒューマニズムは判断できない。どちらにヒューマニズムがあるのか。どちらが被害者で加害者なのか、ジャーナリズムはそこに責任を持たなければならない」とジャーナリズムのあり方について、自身の経験にもとづいた持論を展開。
また、チェルノブイリで子どもたちに語ったジャーナリストとしてのあるべき姿を、自分にも言い聞かせているとして、こう語った。
「自分たちがその国がどの方向に行こうとしているのか、何を隠そうとしているのかを知らなきゃいけない。知らなきゃ自分たちの権利さえ守られない社会にある。しかし、誰もが知る権利を行使できるわけではない。それを職業的にやる人をジャーナリストと呼ぶ。人々の生きる権利の背中を押しているのがジャーナリスト。それを忘れると、国のための都合のいい情報だけを流したりするようになってしまう。ましてや人の権利を奪ってしまうようなことも。そうならないように、その場に足を置いて仕事をしてほしい」
チェルノブイリ原発事故から、その救援活動に20年以上関わり続け、放射能の危険性を肌身で感じてきた広河氏は、福島原発事故の日本政府の対応について、「本当にこの国はチェルノブイリの頃の旧ソ連よりも悪い。ここまでひどい国だとは思わなかった。法律の骨抜きだけじゃなしに、『なんでもない』と言い、心配だと言う人に圧力をかけている」と、政府の姿勢を厳しく批判した。
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■実況ツイートまとめ
広河隆一さんは派手なパフォーマンスも声を荒げることもなく、実に淡々と話される方。でもその一言一言は、シビアで確実で真に強くてやさしい。スーッと心に浸透していつまでも響いているのは、その言葉に一切のごまかしがないから。広河さん自身が、そういう生き方をしてきたからだと思う。想像もできないくらい過酷な現場で広河さんの眼は、常にブレることなく命にフォーカスされてきたとわかる。生き方はまさに言葉に現れる。またインタビュアーである岩上さんもジャーナリズムをしっかり見据えて実践している方だから、お互いの信頼感も垣間見えて和ましかった。日本を代表するジャーナリスト二人の対談は保存版だと思います。
「本当にこの国はチェルノブイリの頃の旧ソ連よりも悪い。ここまでひどい国だとは思わなかった。法律の骨抜きだけじゃなしに、『なんでもない』と言い、心配だと言う人に圧力をかけている」広川隆一氏
「最後まで取材するジャーナリストでありたい」~岩上安身によるDAYS JAPAN編集長広河隆一氏インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/105954 … @iwakamiyasumi
「報道」のあるべき姿とは?人間味溢れる広河氏の言葉に胸が熱くなります。
https://twitter.com/55kurosuke/status/622369508418715648
広河氏「誰もが知る権利を行使できるわけではない。それを職業的にやる人をジャーナリストと呼ぶ。人々の生きる権利の背中を押しているのがジャーナリスト。それを忘れると、国のための都合のいい情報だけを流したりするようになってしまう」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/105954 … @iwakamiyasumiさんから
https://twitter.com/55kurosuke/status/1063943761326043136