実質、米国と日本の二国間FTAとも評されているTPPが、「年内妥結」に向けて加速している。交渉が佳境に差し掛かっているのとは裏腹に、米国内での動向は日本ではほとんど報じられていない。
11月7日、超党派の議員や有識者らでつくる「TPPを慎重に考える会」と「TPP阻止国民会議」の勉強会で、国際コンサルタントで米国の議会動向の専門家でもあるトーマス・カトウ氏が、「米国のねらい」をテーマに講演を行った。カトウ氏は、著作「TPP 米国の視点」で、膨大な公開資料をもとに、米国議会の動向やTPPの国際社会に与える影響などを、詳細に解説している。
- 日時 2013年11月7日(木)
- 場所 衆議院第二議員会館(東京都千代田区)
米国議会の動向
カトウ氏は、通商交渉の権限を一時的に大統領に付与するTPA(貿易促進権限)について解説。USTR(米通商代表部)のフロマン代表はこのTPA取得に動いているが、議会の反対派の動きなどもあり難航している。
反対派の動きとしては、2009年2月に議員54名が「米国のTPP参加に反対する」と発表したことがあげられる。当初の反対理由は「国内雇用の悪化」や『「技術流出」などだったが、現在では、「コーポレート利益優先」への批判や「1%の利益で99%は犠牲になる」などの声、「交渉の秘密主義」への批判、またスノーデン事件をきっかけに「インターネットトラフィックへの政府干渉」への批判の声が巻き起こっているという。
「秘密主義」への批判については、オレゴン州のワイデン議員が「これでは審議できない」と訴訟を起こし、結果今年7月からやっと米国議員も閲覧可能になったことを紹介した。
「記念写真」も著作権の侵害に!?