日刊IWJガイド・非会員版「財務省が10月に発表した『日本の財政関係資料』から『世界最高の債務残高対GDP比水準を抱える我が国』との文言を削除!」2025.11.7号~No.4650


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗政権のもと、財務省が10月に発表した「日本の財政関係資料」から「世界最高の債務残高対GDP比水準を抱える我が国」の文言削除! 片山さつき財務大臣は「債務には純債務と粗債務があり、取り方もいろいろある」と弁明し、高市総理は、IMFの統計と比べて一般的ではないOECDの統計を持ち出して、「純債務対GDP比86.7%」「G7の中で見ると、アメリカとかイタリアの方が上で、日本が突出して高いということにはなっていない」と強弁! 日本の深刻な政府債務残高を改善するより、高市政権が統計基準を恣意的に使い分け、財政実態を覆い隠すのは、「統計偽装」ではないか!?

■11月になり、IWJの第16期は4ヶ月目となりました! 10月は1日から31日までで、月間目標額の33%に相当する、59件、114万1500円のご寄付・カンパをいただきました。しかし、月間目標額の67%、235万8500円が不足することになりました。これで3ヶ月連続の未達です! 11月は1日から4日までで、月間目標額の32%に相当する、5件、110万2140円のご寄付・カンパをいただいています。ありがとうございます! 財政的にはとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていく活動の困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!

■【中継番組表】

■【本日のニュースの一撃!】

■【第1弾! EUのお膝元であるベルギーが、ロシアの凍結資産を用いたウクライナへの資金援助に抵抗!】(『ポリティコ』10月24日、11月3日)ベルギーの抵抗によってIMFによるウクライナ融資に赤信号! ベルギーのデウェーフェル首相は、ロシア凍結資産のほとんどがベルギーにあり、その流用の違法性が問われた場合、ベルギーの納税者が最終的にその負担を強いられるとして、「まったく正気ではない」と明言!

■日本にも、パレスチナ人を虐殺して、土地を奪い取るイスラエルを熱烈に支持するシオニストが存在する!(その5)自身もユダヤ人である、『グレイゾーン』のマックス・ブルーメンタール記者が、全米最大の親イスラエル組織「イスラエルのために団結したキリスト者達(CUFI)」の年次総会に突撃取材! そこで明らかになったのは、ハルマゲドンと『空中携挙』を待ち望む福音派の信徒達の狂信的な信仰だった!
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■はじめに~「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗政権のもと、財務省が10月に発表した「日本の財政関係資料」から「世界最高の債務残高対GDP比水準を抱える我が国」の文言削除! 片山さつき財務大臣は「債務には純債務と粗債務があり、取り方もいろいろある」と弁明し、高市総理は、IMFの統計と比べて一般的ではないOECDの統計を持ち出して、「純債務対GDP比86.7%」「G7の中で見ると、アメリカとかイタリアの方が上で、日本が突出して高いということにはなっていない」と強弁! 日本の深刻な政府債務残高を改善するより、高市政権が統計基準を恣意的に使い分け、財政実態を覆い隠すのは、「統計偽装」ではないか!?

 おはようございます。IWJ編集部です。

 高市早苗総理の「サナエノミクス」、片山さつき財務大臣の「サツキノミクス」の本質は、世界最悪の現在の日本の政府債務残高を、経済政策によって改善することではなく、言葉と数字をもてあそんで国民の目から隠すことのようです。

 11月4日、財務省の定例記者会見で、片山さつき財務大臣は、記者から「高市内閣が打ち出す責任ある『積極財政』を省内に浸透させるために、職員に対し、どのような指示や説明をされていますでしょうか?」と質問され、以下のように答えました。

 「(前略)例えば、多くのところで報道していただいたように、10月になってから、財政事情のパンフレットというか、公表をやったわけですね。

 つまり、私が大臣になってからやって、その中で今までも存在していた統計ではありますけれども、諸外国と比べて日本がギリシャ並みに極端に悪いというようなことではなくて、例えば単年度赤字であれば、日本はG7の中で4番目だとか、これは端的に言って事実なんですけれども、今までは書いていなかったことも客観的に書くようになったということとか、説明においても、債務残高については、純債務、粗債務もあるし、その取り方もいろいろあるというふうにここで何回も申し上げているような、そういうものの考え方をするようになったので、これは財務省のリサーチや、あるいは現状把握の能力への評価を上げると思うんですね。(後略)」。

※片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年11月4日)(財務省)
https://www.mof.go.jp/public_relations/conference/my20251104.html

 片山財務大臣が述べた「純債務」と「粗債務(総債務)」については、後段で説明します。

 ここで注目すべき点は、世界最悪の日本の債務残高が改善されたわけでもないのに、片山財務大臣は「単年度赤字であれば、日本はG7の中で4番目」だとか、「債務残高については、純債務、粗債務もあるし、その(データの)取り方もいろいろある」と、データの切り取り方次第では、日本の政府債務残高は世界最悪ではないと言っている点です。

 しかも、片山財務大臣は、「これは端的に言って事実」であるとか、これに続く回答では「科学的でなくてはいけないし、冷静・客観的でなければいけないし、360度の目線がなければいけない」とまで語っています。

 そして、この片山財務大臣の回答の通り、財務省が今年10月に発表した「日本の財政関係資料」からは、2019年以来記されていた「世界最高の債務残高対GDP比水準を抱える我が国」との文言が削除され、「諸外国と比べても突出した水準」と書き換えられました。

※日本の財政関係資料(令和7年10月)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202510.html

 10月24日、高市早苗総理は、衆参両院での所信表明演説で、「『強い経済』を構築するため、『責任ある積極財政』の考え方のもと、戦略的に財政出動を行います」と表明しました。

※第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説(首相官邸、2025年10月24日)
https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2025/1024shoshinhyomei.html

 しかし、財政出動を行うためには、そのための財源が必要です。増税を避けるならば、赤字国債の発行しか手がありません。

 高市総理は、自民党総裁選期間中だった今年9月23日、総裁候補の共同記者会見で、物価高対策の減税や交付金の財源について、「税収の余剰分を当然使うが、どうしてもというときは国債の発行もやむを得ない」と、5人中ただ一人、赤字国債の増発を容認する考えを表明しました。赤字国債の増発とは、政府債務がさらに増えることを意味します。

※自民・高市氏、物価対策で赤字国債増発「やむを得ず」 4候補は慎重(日本経済新聞、2025年9月23日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA230Q90T20C25A9000000/

 その一方で、10月24日の、総理としての所信表明演説では、「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます」と、まるで正反対の、あたかも財政規律を重んじるかのような発言もしています。しかも、政府債務のGDP比を減らさないと、「マーケットからの信認」を得られないことを理解しているのです。

 赤字国債を増発しながら、「債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていく」などということが、はたして可能なのでしょうか?

 この点について、高市総理は、総理に選出される前の10月9日、テレビ東京の夜の経済番組『ワールドビジネスサテライト』にオンラインで生出演し、資産運用会社・ピクテジャパンの市川眞一シニア・フェローの質問に、次のように語っていました。

市川眞一氏(以下、市川氏と略す)「(前略)『政府純債務残高対GDP比率を緩やかに引き下げていく』ということですが、今、OECD加盟国の中で、日本は最もこの比率が、134%と高い状況ですが、これをどの程度まで、どういうタイミングで下げていくといっためどは、お持ちなのでしょうか?」

高市早苗・自民党総裁(以下、高市総裁と略す)「あの、純債務残高対GDP比ということで言いますと、今、だいたい、86.7%。

 これは、G7の中で見ると、アメリカとかイタリアの方が上で、日本が突出して高いということにはなっていないと考えますよ」

市川氏「私が申し上げたのは、IMFが出している、政府純債務残高対GDP比率なんですけども。

 じゃあ、仮にですね、その80数%だとして、これをどういうタイミングで、どの程度の比率まで下げていくのか。そういっためどというのは、お持ちなのでしょうか?」

高市総裁「これは、徐々に、緩やかに引き下げていくということになると思います。(後略)」

 結局、IMFの統計を、OECDの統計数値に置きかえただけで、市川氏の質問した、「どのようなタイミングで、どの程度の比率まで下げていくのか、そのめどはあるのか」という問いには、高市総裁は答えませんでした。

※どうなる?“積極財政” 自民・高市総裁に問う経済政策【WBS】(2025年10月10日)
https://youtu.be/HV_Yyg9XEJE

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■11月になり、IWJの第16期は4ヶ月目となりました! 10月は1日から31日までで、月間目標額の33%に相当する、59件、114万1500円のご寄付・カンパをいただきました。しかし、月間目標額の67%、235万8500円が不足することになりました。これで3ヶ月連続の未達です! 11月は1日から4日までで、月間目標額の32%に相当する、5件、110万2140円のご寄付・カンパをいただいています。ありがとうございます! 財政的にはとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていく活動の困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!

 第16期がスタートした8月は、ご寄付・カンパによるご支援は、月間目標額の16%、9月は14%にとどまりました。10月は、1日から31日までの31日間で、59件、114万1500円のご寄付・カンパをいただいています。これは、月間目標額350万円の33%にあたります。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。しかし、67%、235万8500円が不足することになりました。これで3ヶ月連続未達です。厳しい状況に変わりはありません。

 また、11月は1日から4日までで、月間目標額の32%に相当する、5件、110万2140円のご寄付・カンパをいただいています。ありがとうございます。あと68%、239万7860円のご寄付・カンパをたまわれば、今月は月間目標額に達することになります! どうぞよろしくお願いいたします!

 IWJを2010年にスタートさせてからのこの15年間、あるいはそれ以前から、私、岩上安身は、機会があるごとに米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に、絶えず警鐘を鳴らしてきました。

 自民党の新総裁、そして第104代の内閣総理大臣に高市早苗氏が就任することが決まりました。

 中国との戦争の話を絶えず繰り返し、「米軍が中国軍の矢面に立つのではなく、まず日本が正面に立つ」などということまで、テレビの地上波で発言してきた高市早苗氏が総理に決まって、いよいよ日本が「代理戦争」の捨て駒となる懸念が、今、まさに現実化しつつあるのを痛感しています。

 また、外交・安全保障分野で、まったく政治家としてのキャリアを積んでいない高市氏が、トランプ大統領との初会談で、報道陣の前で腕を組んだり、はしゃいだり、米国に頼りきった媚びへつらう態度に終始したことも、強い懸念と落胆を覚えます。

 東西冷戦の終わりによって、世界大戦の危機、とりわけ核戦争の危機は遠ざかったと安堵して、約35年が経ちますが、現在、冷戦後で最も戦争の危機が近づいていると感じられます。

 軍事力を支える、肝心の工業力が空洞化してしまっている米国にのみ、頼り、米国の戦略に従って、対中国との戦争の矢面に立て、と言われて、「代理戦争」の駒とされる、そんな危機に直面しているのに、政府も、与野党も、メディアも、いつまでも、現実を否認しているように感じられます。

 今、日本に必要な指導者は、米国に依存し、虎の威を借りる好戦的な指導者ではなく、戦争回避能力に長けている、外交力のある指導者です。核保有国に対して戦争で挑もうとするような、勇ましい言葉を吐く指導者ではありません! 日本を第2のウクライナに、日本の首相を第2のゼレンスキーにしてはいけないのです!

 国難は避けられない、としても、大難を小難にとどめることはできるはずです。日本が対米自立を果たし、「敵国」ばかりになっている周辺国と和解して、各国と平和条約を結び、「敵」と戦うのではなく、「敵」と和解して、「敵」を消し去ることができるかどうか。

 対米自立と、周辺国との自力での平和構築に失敗すれば、日本は、大きな試練に直面します。平和の上にしか、国家としての繁栄も、国民としての日々の穏やかな暮らしも、築くことができません。

 間に合うでしょうか。懸念は尽きません。

 肝心なことは、リアルな現実をまず直視することです。大小問わず、ほとんどのメディアが、現実直視を避けています。

 IWJは現実を直視し、お伝えし続けています。しかし、現実は苦いものです。苦い現実を直視したくない心理が働くからこそ、甘い嘘をつくプロパガンダに人は飛びつき、騙されてしまうのです。

 ウクライナ紛争以降は、特に、西側諸国はプロパガンダの洪水が続いているような状態です。

 我々はプロパガンダの波にのまれることなく、ジャーナリズムの本道を歩み、リアルを伝えるという、当然のことを、貫いていきます!

 そうやって、苦いリアルな現実を直視した上で、なお、前向きな希望を信じる力が残っているかどうかが問われています。

 IWJは、厳しい経営が続いています。そのIWJの行方は、リアルと対峙してなお希望をもてるかどうかだと思います。

 市民メディアであるIWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。特定のスポンサーをつけず、スポンサーの意向に左右されることもありません。

 困難は、迫ってきています。向こう数年以内が、東アジアにおいて、日本が、「代理戦争」の駒として使われてしまうかどうかの正念場です! そうした事態は、絶対に回避しなければなりません!

 そのリスクは、高市氏が総理大臣となり、小泉進次郎氏が防衛大臣となったことで加速する可能性があります!

 今期16期もIWJは、日本だけでなく、西側に広がるプロパガンダにのみこまれず、真実をお伝えしていきたいと思います!

 どうぞ、緊急のご支援のほど、よろしくお願いいたします!

 岩上安身 拝

※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル

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◆中継番組表◆

**2025.11.7 Fri.**

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**2025.11.8 Sat.**

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「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 貿易政策と安全保障政策の融合!? 逆に米国と同盟国に、経済破綻と社会崩壊の危機が迫る!? 岩上安身によるインタビュー第1188回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第1弾 2025.5.2
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40年間続いた米国債の価格上昇が、下落へ! 世界一米国債を保有する日本には、巨大な含み損が発生! 米国債務は対GDP比100%を超え、利払い費だけで、米防衛費を超過!「アメリカの、世界に対する覇権を支えている財政システムが、大変動を起こしている」! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 前編 2025.6.8
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フォン・デア・ライエン委員長は「我々が知っていた西側は、もはや存在しない」と宣言!「日本人がもっと真面目に考えないと。日本の立ち位置って何ですか?『西側の一員です』と。でも、その『西側』はないんです」! 米国債がクラッシュしてしまえば、最大保有国である日本は、最大の被害国に! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 後編 2025.6.8
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ヒンドゥー至上主義のインド・モディ政権によって酷い差別を受けているカシミールは、ユダヤ人至上主義によって民族浄化を受けるガザと共通性がある! パレスチナ問題とカシミール問題はともに大英帝国支配の負の遺産! しかし、英国は責任を果たさない! 岩上安身によるインタビュー第1194回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏 第1回 2025.5.30
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527633

イスラエルは、トランプ米大統領のリゾート開発構想のために、ガザ戦争を再開! 毎日100人単位でパレスチナ人を殺害しているのに、主要メディアではほとんど報じられず、批判もされない! ユダヤ教の極右政党と連立するネタニヤフ政権は、UNRWA施設を破壊し、職員も殺害! 人道援助を妨害し、ガザは「国際法の墓場」に! 岩上安身によるインタビュー第1194回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏 第2回 2025.6.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527726

「トランプは戦争をしない」は嘘! 米大統領がバイデンでもトランプでも、イスラエルのやることは全部支持! キリスト教に妥協したユダヤ教徒と、キリスト教シオニストの福音派の猛烈な支持を抜きには考えられず、イスラエルの利益を最大限に追求!~岩上安身によるインタビュー第1176回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/526058

「戦争をやめさせる」はずのトランプ内閣が、ウクライナ紛争を剛腕で停戦させようとしているのに対し、イスラエルのジェノサイドはなぜ野放し!? その謎に迫る!!【ガザ戦争とハマス】15ヶ月に及ぶ戦争は中東地域に何をもたらしたか? トランプ政権によってパレスチナはどうなるのか? 岩上安身によるインタビュー第1184回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏 2025.2.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/526531

2024年を振り返る! そして1ヶ月後に始まる第2次トランプ政権で、米国は、そして世界はどう変わる!?~岩上安身によるインタビュー第1175回 ゲスト 元外務省国際情報局長・孫崎享氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/525988

ハミッド・ダバシ氏が指摘「ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した」!「ガザ攻撃における植民地主義の視点」~岩上安身によるインタビュー第1145回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2024.2.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/521575

「イスラエルがどんな戦争犯罪、人道に対する罪を行っても一度も裁かれなかった。こういう国際社会の『伝統』がジェノサイドを可能にしている」!!~岩上安身によるインタビュー第1144回 ゲスト 早稲田大学文学学術院教授・京都大学名誉教授・岡真理氏 2024.2.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/521515

イスラエルがパレスチナ・ガザ地区に対して行なっているのは「民族浄化」! イスラエルによる「報復」でもなければ、ハマスとの戦争でもない!~岩上安身によるインタビュー第1138回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2023.11.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519713

「絶望」に突き動かされたハマスがイスラエルを急襲! イスラエルは、「報復」の名のもとに「民族浄化」を開始! パレスチナ人の「完全追放」まで至るのか!?「第2のナクバ」に~岩上安身によるインタビュー第1137回 ゲスト 放送大学名誉教授 高橋和夫氏 2023.11.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519653

対等な者同士の「ハマス・イスラエル戦争」ではない!「植民地主義とそれへの抵抗であるという基本的な視点が必要」~岩上安身によるインタビュー第1136回 ゲスト 東京大学名誉教授 板垣雄三氏 2023.11.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519527

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■【本日のニュースの一撃!】

■【第1弾! EUのお膝元であるベルギーが、ロシアの凍結資産を用いたウクライナへの資金援助に抵抗!】(『ポリティコ』10月24日、11月3日)ベルギーの抵抗によってIMFによるウクライナ融資に赤信号! ベルギーのデウェーフェル首相は、ロシア凍結資産のほとんどがベルギーにあり、その流用の違法性が問われた場合、ベルギーの納税者が最終的にその負担を強いられるとして、「まったく正気ではない」と明言!

 狂気渦巻くEUの中で、ベルギーが、「正気」に返りました。ウクライナに対するEUの融資に抵抗し始めたのです。

 ウクライナは、融資の返済に、EUで凍結されているロシア国有資産を流用することを主張しており、ベルギーは自国が被ることになる責任と、国際法違反となる危険性、EUに対する国際的な信頼の低減などの懸念を提示し、賛成していません。

 ベルギーといえば、その首都ブリュッセルに、欧州委員会の本部や欧州理事会など欧州連合(EU)の主要機関が置かれており、「EUの首都」とも呼ばれています。

 EUの前身である欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の時代から、ベルギーはコアメンバーであり、EU創設6ヶ国のひとつです。さらに、英・仏・独からも近く、中立的であるという理由で、EUの首都として選ばれました。

 ベルギーのバルト・デウェーフェル首相は、先月24日に開催されたEU首脳会合で、ロシア凍結資産の大半がベルギーに保管されているために、ベルギーがその流用の責任を背負うリスクについて指摘しました。10月24日付の『ポリティコ』が報じています。

デウェーフェル首相「もし、ロシアが何らかの理由で、実際にその金銭を請求できるなら、現金は直ちにロシアに提供される必要がある」

 ロシアの欧州における固定資産の大半は、ベルギーに登録されている金融会社「ユーロクリア」によって保有されています。デウェーフェル首相は、ロシア凍結資産を流用する法的な問題をロシア側が指摘し、賠償を求めた場合、ベルギーがその支払いの責任を負うのはリスクが大きすぎると主張したのです。

デウェーフェル首相「誰がその保証を与えるのか。私は同僚達に、『あなた達なのか? 加盟国なのか?』と尋ねた。…この質問は、テーブルを囲む全員の熱意が押し寄せるような答えにはならなかった」

 首脳会合の席で、デウェーフェル首相の懸念を払拭するような議論がなかったことがうかがえます。

 デウェーフェル首相は、ベルギーの納税者が最終的にその負担を強いられるという考えは「まったく正気ではない」と述べ、「今になって、我々が不本意な国として非難されるのは、少し不快だ」と記者団に語りました。

 デウェーフェル首相は、ロシアの凍結資産を流用することで、「欧州の金融システム全体への信頼」が危うくなる、とも指摘しました。

 EU首脳は、デウェーフェル首相の懸念を否定できず、決着は次回の首脳会合に持ち越されました。

※How Belgium’s De Wever derailed the EU’s ‘insane’ Euro 140B Ukraine loan plan(Politico、2025年10月24日)
https://www.politico.eu/article/ukraine-loan-plan-eu-summit-bart-de-wever-russian-assets-finance-brussels/

 11月3日付『ポリティコ』によると、ベルギーがウクライナへの融資に賛同しないため、キエフへの新たな融資を国際通貨基金(IMF)に認めさせる時間がなくなりつつあると報じています。

 IMFは、12月にIMF総会を開催するとみられており、それまでにEUが合意をまとめられない懸念が出てきているのです。

※IMF support for Ukraine hinges on Russian assets loan, EU warns(Politico、2025年11月3日)
https://www.politico.eu/article/imf-ukraine-russia-loan-eu-financial-support-war-economy/

 EUおよびG7によって凍結されているロシア資産は、約2600億ユーロ、EU内だけで約2100億ユーロとみられています。EUでは、ウクライナ支援のために、ロシアの凍結資産を担保とし、約1400億ユーロ規模の融資を行う計画を進めています。

※Confiscation of immobilised Russian sovereign assets State of play, arguments and scenarios(European Parliament、2025年9月)
https://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/BRIE/2025/775908/EPRS_BRI%282025%29775908_EN.pdf

 ベルギーは、今年8月の『ユーロ・ニュース』によると1830億ユーロ、今年2月のOCCRP(組織犯罪・汚職報道プロジェクト)によると1930億ユーロの、ロシアの凍結資産を押収しているとされています。ロシアの凍結資産のほとんどが、ベルギーに集中していることは一目瞭然です。

※Kallas: EU can’t give back frozen assets to Russia, unless they pay reparations to Ukraine(Euro news、2025年8月30日)
https://www.euronews.com/my-europe/2025/08/30/kallas-eu-cant-give-back-frozen-assets-to-russia-unless-they-pay-reparations-to-ukraine

※Belgium Blocked $270B Due To Russian Sanctions. Much of It Belongs to Unsanctioned Investors.(OCCRP、2025年2月19日)
https://www.occrp.org/en/scoop/belgium-blocked-270b-due-to-russian-sanctions-much-of-it-belongs-to-unsanctioned-investors

 巨額の予算不足に直面するウクライナは、IMFからの資金援助を切実に必要としています。

 IMFは今後3年間で、キエフに80億ドルの融資を行うことを検討しています。しかし、IMFの財政支援を確保できるかどうかは、ロシア凍結資産を流用するウクライナへの1400億ユーロの融資にベルギーも合意し、EUとして確定できるかどうかにかかっています。

 EUは、次回のEU首脳会合を12月18日と19日に前倒しする予定ですが、それまでにベルギーの懸念を払拭し、合意をまとめられるという見通しは立っていません。

 上記『ポリティコ』は、あるEU当局者が、「ウクライナが自ら資金を調達する必要など全くない」「ウクライナはロシアから資金を受け取るか、返還しないかのどちらかだ。ウクライナにとっては、これは無償援助と同じだ」などと語ったと報じています。無責任きわまりない話であり、メチャクチャな暴論です。

 このようなスタンスでは、凍結したロシアの資産を流用することの違法性やリスクについて目覚めた、ベルギーの懸念を払拭し、説得することは難しいと思われます。

★「EUの首都」で反乱がおきました。

 しかし、この反乱は唐突に起きたのではなく、昨年から予兆があったといってもよさそうです。

 ベルギーでは、2024年6月に総選挙が行われましたが、与党であったフラマン自由民主党(オープンVLD、アレクサンダー・デ・クロー首相)が大敗し、どの政党も過半数を獲得できませんでした。半年以上の時間をかけて、1月31日に、5つの政党による連立政権が誕生しました。

 ベルギーは、EUの財政規則である「GDP3%以下」を超える4.4%(2023年時点)に達する財政赤字を抱えています。ベルギーの国家財政の安定化を目的とした予算削減、増税、年金改革をめぐる困難な交渉を経て、連立政権が樹立されました。

 最多議席を獲得した保守系の新フラマン同盟(N-VA)がこの連立政権を率い、N-VAの党首バルト・デウェーフェル氏が首相に就任しました。デウェーフェル氏は、アントワープ市長時代に、財政赤字削減のために、社会保障の削減や年金制度の改革を進めてきた実績があります。

※Belgium to form government after seven months of negotiations(The Guardian、2025年1月31日)
https://www.theguardian.com/world/2025/jan/31/belgium-to-form-government-after-seven-months-of-negotiations

 米国メディア『ニュー・ラインズ・マガジン』は今年3月、バルト・デウェーフェル首相の誕生について、「ベルギー史上初めて、フラマン民族主義者が首相に就任した」と報じました。ベルギーでは、オランダ語圏(ゲルマン系のオランダ語話者のフラマン人を中心とする)とフランス語圏(フランス語話者のワロン人を中心とする)とで構成されており、フラマン民族主義者であるウェーバー首相の誕生によって、2つに分裂するのではないか、と分析しています。

 これはまさに、国内にロシア語話者を大量に抱えているウクライナにおける民族問題を彷彿とさせます。

 「ベルギー史上初めて、フラマン民族主義者が首相に就任した。

 バルト・デウェーフェル氏は、オランダ語圏のベルギー人(フラマン人)が、フランス語圏のワロン人から分離し、独自の国家を樹立することを望んでいる。同氏は、昨年の選挙でナショナリストと右派感情の高まりの波に乗り、2月に首相に就任した。

 選挙結果は、伝統的に左派の牙城であるワロン地方でさえ、ベルギーが右傾化していることを示している。ワロン地方では、反移民感情の高まりとともに、右派ポピュリストや権威主義への支持が急増している。フラマン民族主義者の思惑が通れば、デウェーフェル氏は、ベルギー最後の首相となるだろう。(中略)

 デウェーフェル氏は、ベルギーを解体し、フランドルとワロンの二つの独立国家に置き換えることを決意しているが、彼の使命は、憲法的に引き裂くことができるまでベルギーをまとめることだ」

 デウェーフェル氏が率いる新フラマン同盟(N-VA)は、中道右派とされており、極右政党とされるフラームス・べランが連立政権に参加しなかったため、フラマン民族主義者が率いる右傾化した連立政権といえそうですが、「極右政権」とまではいえません。『ニュー・ラインズ・マガジン』は、複数民族・複数言語国家であるベルギーにとっては、これまでで「最右派政権」であると指摘しています。

※How Belgium Elected Its Most Right-Wing Government(New Lines Magazine、2025年3月15日)
https://newlinesmag.com/argument/how-belgium-elected-a-far-right-government/

 ベルギーもまた、財政赤字が膨らみ、政治が不安定化しています。ロシア凍結資産の流用は国際法に抵触し、EU全体の信頼を損ないます。しかもベルギーがロシア凍結資産の流用の責任を負うことはできない、というデウェーフェル首相の指摘はその通りです。

 デウェーフェル首相の主張が、EUのお膝元であるブリュッセルで顕在化してきた背景には、自国の財政も厳しい中、「負け戦」が決定的になっているウクライナへ無駄金をこれ以上注ぎ込むわけにはいかない、その責任も問われることになる、という懸念が浮上してきていることは間違いないと思われます。(IWJ)

■日本にも、パレスチナ人を虐殺して、土地を奪い取るイスラエルを熱烈に支持するシオニストが存在する!(その5)自身もユダヤ人である、『グレイゾーン』のマックス・ブルーメンタール記者が、全米最大の親イスラエル組織「イスラエルのために団結したキリスト者達(CUFI)」の年次総会に突撃取材! そこで明らかになったのは、ハルマゲドンと『空中携挙』を待ち望む福音派の信徒達の狂信的な信仰だった!

 「日本にも、米国のキリスト教原理主義の福音派と同様に、パレスチナ人を虐殺して、土地を奪い取っているイスラエルを支持するキリスト教シオニストは存在する!」の(その1)から(その3)では、ジェノサイド国家イスラエルを支持する会に、日本のクリスチャン・シオニスト達やユダヤ教以外の異教徒(ジェンタイル)のシオニスト達が多数含まれていることをお伝えしました。

 特に(その2)(その3)では、クリスチャン・シオニスト達が、『エゼキエル書』の「預言」に書かれている「北方のゴグ」とはロシアのことであり、ロシア軍がイラン軍とともにイスラエルに攻め込む「預言」と解釈している点に焦点をあてました。

 (その4)では、「カルバリーチャペル・ロゴス東京」による、『エゼキエル書』第39章の解説の続きをお届けしました。

※日本にも、パレスチナ人を虐殺して土地を奪い取るイスラエルを熱烈に支持するシオニストが存在する! 日本のジェンタイル(ユダヤ教徒ではない異教徒の)・シオニストの筆頭は、中谷元防衛大臣! 参政党の神谷宗幣代表も、強固なイスラエル支持者! キリスト教シオニストの筆頭である新宗教団体「キリストの幕屋」に、「日本会議」などの極右団体や、「統一教会」など反日カルトまでも結びつき、ドブ板選挙に動員されている! そして、これらは、イスラエルによる62ヶ国以上の政治家1500人を結ぶ、イスラエルの同盟ネットワークを作るという、イスラエルと米国の世界戦略の枠組みの中に組み込まれて利用されつつある!(その1)
(日刊IWJガイド、2025年10月15日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251015#idx-6
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55164#idx-6

※日本にも、パレスチナ人を虐殺して、土地を奪い取るイスラエルを熱烈に支持するシオニストが存在する! 日本のジェンタイル(ユダヤ教徒ではない異教徒の)・シオニストの筆頭は、中谷元防衛大臣! 参政党の神谷宗幣代表も、強固なイスラエル支持者! キリスト教シオニストの筆頭である新宗教団体「キリストの幕屋」に、「日本会議」などの極右団体や、「統一教会」など反日カルトまでも結びつき、ドブ板選挙に動員されている! そして、これらは、イスラエルによる62ヶ国以上の政治家1500人を結ぶ、イスラエルの同盟ネットワークを作るという、イスラエルと米国の世界戦略の枠組みの中に組み込まれて利用されつつある!(その2)
(日刊IWJガイド、2025年10月16日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251016#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55167#idx-4

※日本にも、パレスチナ人を虐殺して、土地を奪い取るイスラエルを熱烈に支持するシオニストが存在する!(その3)キリスト教シオニストは、現代は「終わりの日」「最後の審判」「イエスの再臨」の前に起きる「エゼキエル戦争」の直前だと煽る! キリスト教シオニストによる『エゼキエル書』第39章の解釈を検証!(日刊IWJガイド、2025年10月17日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251017#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55171#idx-4

※日本にも、パレスチナ人を虐殺して、土地を奪い取るイスラエルを熱烈に支持するシオニストが存在する!(その4)「ロシアとイスラムの連合体(ゴグ)がイスラエルを雲で取り囲むように攻めるが、主が彼らを一気に滅ぼす」「ゴグの侵入によってイスラエルは覚醒するが、その後多くのユダヤ人が、反キリストと契約を結ぶ。3年半後、ユダヤにいる人々が絶滅の危機に瀕する時、イエスが天から来て、反キリストの軍隊と戦う」! キリスト教シオニストによる『エゼキエル書』第39章の解釈を検証!(日刊IWJガイド、2025年10月20日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251020#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55173#idx-4

 本稿(その5)では、現在、ロシア、イラン、トルコなどが、イスラエルに攻め入るが、神の力でイスラエルが勝利するエゼキエル戦争が起こる、という預言の解釈が世界中であふれている中で、異なる解釈もあること、そして、再び、9月16日の「日本イスラエル・クリスチャン交流会」発足式に参加した日本のクリスチャン・シオニスト達を含む、非ユダヤ教シオニスト(ジェンタイル・シオニスト)達の動向に焦点を合わせます。

 まず、ここまで述べたクリスチャン・シオニズムは、すべて、プロテスタントを源流にしています。カトリックではないのです。

 なぜ、シオニズムとプロテスタントが結びつくのか? これは、重要な点です。

 モントリオール大学のヤコブ・ラブキン名誉教授は、この結びつきは、プロテスタントが聖書を各国語に翻訳したことと関連があると述べています。

 伝統的に、カトリックでは、聖書の解釈は教皇庁と聖職者が独占してきました。その独占による弊害は、散々に批判され、カトリックは時代にあわせて、聖書解釈を修正してきました。

 ユダヤ教の場合も、ラビ共同体が、タハナ(トーラー:モーセ五書(律法)、ネビイーム:預言書、ケトゥビーム:諸書(詩篇、箴言、ヨブ記、歴史書など)=旧約聖書)の日常生活への適用のための解釈集(タルムード)を発展させてきました。

 プロテスタントの場合、聖書を信者が直接読み、個々の読者がそれぞれに解釈したのです。自由に聖書を読んだ結果、極端な解釈をして、信者を集める宗派も出てきました。そのため、聖書を一言一句正しいものとするキリスト教原理主義も、プロテスタントの中から誕生してきたのです。

 ラブキン名誉教授は、19世紀の英国で、聖書を直接読み、文字通り解釈する行為の中から、「プロテスタントの一部が、ヘブライ人を聖地に集めることで、キリストの再臨を早めることができる」という考え方を発展させてきたと述べています。シオニズムの思想の誕生です。

 そして、シオニズムが登場した当初は、ユダヤ人の大多数は、これを拒否しました。

 ユダヤ教の側では、『創世記』において、聖地とユダヤ民族との関係が、非常に厳格に考えられていたからです。

 戒律を守り正しく生きれば、聖地にいることができるが、戒律を破れば、聖地から追放されるとされたのです。

※教授が暴く!イスラエル計画の秘密の起源(Neutrality Studies Japanese、2025年10月18日)
https://youtu.be/ZQURCNVvO_M

 そのため、古代ユダヤ人や中世のラビ達は、「聖地への帰還」や「国家再建」は、人間の政治的意志によってではなく、メシア(救済者)と神の時(アト・ハシェム)によってのみ成就すると考えました。

 19世紀末の政治運動であるシオニズムが「人間の手で」聖地に帰ろうとしたとき、伝統派・超正統派の多く(特にナトゥレイ・カルタ派など)は、これを神への冒涜として拒絶しました。

 ラブキン名誉教授は、米国だけでもクリスチャン・シオニストは5000万人以上いるという、福音派のジョン・ヘイギー牧師の評価を紹介しています。

 世界中のユダヤ人を合計しても1500万人です。ヘイギー牧師は、テレビ伝道者・政治活動家であり、米国最大の親イスラエル組織「イスラエルのために団結したキリスト者達」(CUFI=Christians United for Israel)創設者・会長です。

 2006年に設立されたCUFIは、2023年時点で、会員数1000万人超と主張しています。

 CUFIのクリスチャン・シオニスト達は、一様に、キリスト教徒に対して、イスラエル支持を強く訴えてきました。

 たとえば、CUFI初代事務局長デイヴィッド・ブローグ氏は、2006年に『イスラエルと共に立つ―なぜキリスト者はユダヤ国家を支持するのか』を出版し、ヘイギー牧師が序文を寄せたこの書で、キリスト教徒によるイスラエル支持の神学的根拠を説明し、ユダヤ人コミュニティがその支援を受け入れるよう、うながしているのです。

 つまり、米国のプロテスタントの方が、自国のユダヤ人コミュニティに対し、熱心にシオニズム運動へと働きかけているのです。

 2007年には、ヘイギー牧師が『イスラエル擁護―ユダヤ国家支持の聖書的根拠』を刊行し、キリスト教徒に向けてイスラエル支持への批判に反論しました。

 同年、ヘイギー牧師はアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の年次総会で基調講演を行い、キリスト者によるイスラエル支援と、イランの核開発に対する懸念について語りました。

 2007年には、「CUFI・オン・キャンパス(CUFI on Campus)」が学生部門として設立されました。

 ヘイギー牧師ら米国の福音派のキリスト教徒達は、「旧約聖書で神がイスラエルに与えた契約と祝福は、ユダヤ人の不信仰によって失われ、その約束は新約の教会(イエス・キリストを信じる共同体)に置き換えられた」とする置換神学を否定しています。

 教会史をひもとくと、「イスラエル=神に拒絶された」「キリスト教会=新しい神の民」という、置換神学の理解が次第に支配的になっていったことがわかります。

 西ローマ帝国時代に、キリスト教神学の確立に寄与した教父アウグスティヌスなどもこの立場に立ち、「旧イスラエルは霊的に完成した新イスラエル(=教会)によって置き換えられた」と解釈しました。

 しかし、中世から近代にかけて、これがユダヤ人迫害や反ユダヤ主義の神学的根拠の一つとなりました。

 福音派のヘイギー牧師は、この置換神学を否定し、こう述べています。

 「私達は創世記12章3節にあるユダヤの民とイスラエルの国に対する神の約束を信じている。これはアブラハムの子孫と神との永遠の契約であり、神はこの約束に忠実である」。

 さらに、福音派の指導者パット・ロバートソン牧師も、イスラエル訪問中にこれに呼応して次のように述べています。

 「ユダヤの民は神に選ばれた民であり、イスラエルは神の心に特別な場所を占める国家である。神はこの国を守られる。ゆえに福音派キリスト者はイスラエルと共に立つ。それが私がここにいる理由の一つだ」。

 CUFIは、毎年ワシントンD.C.で、年次サミットを開催しており、政治家が福音派の聴衆に向けて親イスラエル姿勢を示すための恒例イベントとなっています。

 そのイベントは、全国的な「ナイト・トゥ・オナー・イスラエル」集会、学生部門、テレビ番組『ザ・ウォッチマン』など、複数のメディアを通じて発信、多大な影響力をもっています。

 2017年には教育プログラム「CUFI U」が設立され、他にも祈祷会グループ「シオンのための娘達」や、米国のキリスト教徒にイスラエルのニュースを発信する「イスラエル・コレクティブ」などの活動を展開しています。

 2020年には、中東外交政策に重点を置く政治部門「CUFI行動基金」が設置されました。

 このように、米国のクリスチャン・シオニズムが急激に活発化するのは、2006年のCUFI設立以降であり、クリスチャン・シオニズムは、米国において、21世紀になって顕著になってきた新しい宗教現象と言えるのです。

 ※Christians United for Israel (CUFI) By Or Shaked(AICE、2025年11月6日閲覧)
https://www.jewishvirtuallibrary.org/christians-united-for-israel-cufi

 ユダヤ人であり、独立メディア『グレイゾーン』の創設者、マックス・ブルーメンタール記者は、2007年のCUFIのワシントンD.C.での年次サミットに突撃取材しました。

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