日刊IWJガイド・非会員版「26年続いた自公連立が瓦解! エコノミスト・田代秀敏氏は『日経平均先物も下落。火曜日に「早苗暴落」が起きそうな気配』と指摘!」2025.10.13号~No.4632


┏━━【目次】━━━━
■26年続いた自公連立が瓦解! エコノミスト・田代秀敏氏「円安が止まり、円高に少し動いています。自公連立崩壊を市場は歓迎しています」!

■第16期に入り、3ヶ月目の10月になりました! しかし8月のご寄付・カンパは、月間目標額の16%、 9月のご寄付・カンパは、月間目標額の14%にとどまり、財政的にとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていくことの困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!

■【中継番組表】

■<号外を出します!>『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第5回・最終回)バイデン政権は、政権交代目前のタイミングで、エイタクムス、ストームシャドウなどの長距離ミサイルによるロシア領への攻撃を許可!「第3次世界大戦になる」と反対していたにもかかわらず!

■公明党と連立を解消した自民党が、改憲勢力の維新や国民民主、参政党と連立を組めば、改憲による緊急事態条項の導入が、実現に向かう! 自民党改憲案の緊急事態条項が導入され、発令されれば、議会制民主主義はフリーズし、内閣独裁が可能に!! IWJでは、岩上安身が梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士とともに、この緊急事態条項の危険性を訴えた、『増補改訂版・前夜』を販売しています! 今こそ、お求めを!
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■はじめに〜26年続いた自公連立が瓦解! エコノミスト・田代秀敏氏「円安が止まり、円高に少し動いています。自公連立崩壊を市場は歓迎しています」!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 1999年10月5日に発足した 小渕恵三内閣(第2次改造内閣) から、26年間続いた自公連立政権が終わろうとしています。

 民主党政権時代も、野党となった自民党と公明党は、与党法案を阻止するために「自公共同歩調」を取るなど、一定の協力関係が維持されてきました。

※写真で読む公明党の55年 自公連立政権が発足(1999年~)(公明党)
https://www.komei.or.jp/campaign/komei55/page/23/

 10日の自公党首会談、すなわち、高市早苗自民党新総裁と公明党の斉藤鉄夫代表の会談で、斉藤代表が連立離脱の方針を伝えた、と報じられました。

斉藤代表「自公連立政権はいったん白紙とし、これまでの関係に区切りを付けることとしたいと思います。従って首班指名では、公明党代表である斉藤鉄夫で票を投じます」

 斉藤代表は、「政治とカネ・裏金問題」にけじめをつける改革を強く求め、「改革が実現不可能なのであれば、首班指名で『高市早苗』と書くことはできない」と、記者に連立解消の理由を説明しています。

 確かに、高市早苗氏は、どのメディアに出ても、「裏金問題」という言葉が出るたびに、「不記載」です、とくどいほど訂正してきました。高市氏は、自民党が、組織的・長期的に行ってきた「裏金作り」に、故意性はなく、あくまで過失であるとシラを切って来た筆頭でした。

 一方、高市総裁は、「一方的に、連立政権からの離脱を伝えられました。我が党としては、丁寧に説明もすべく、一つ一つ真摯に対応してまいりました」と説明し、「大変残念だ」とコメントしました。

 「対応してきた」「残念だ」と、言葉が「過去形」であり、何が何でもこれからも説得にあたって、翻意させたい、という意欲が感じられないコメントでした。

※公明、連立離脱へ 党首会談、自民と決裂―首相指名、不透明に(時事通信、2025年10月10日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025101000748

※【公明党】自公連立離脱 斉藤代表「いったん白紙」 高市総裁「一方的に…」(日テレNEWS、2025年10月10日)
https://youtu.be/zKXuX-hmF9E

※“初手で間違えた”自公連立崩壊の背景は?「政治とカネ」以外にも決裂の理由が…【サンデーモーニング】(TBS NEWS DIG、2025年10月12日)
https://youtu.be/TjCIP8W2uHU

 自公政権はすでに少数与党(衆議院の過半数233には届かない220議席)でしたが、自公連立が解消されれば、自民党は最多議席(196議席)を持つとはいえ、過半数には大きく届かない状況になります。

 9月29日時点の衆議院の議席数をみると、自公の220議席(無所属を含む)は、過半数に13議席不足しています。公明党が抜ければ、自民党は過半数まで37議席が必要になります。

 改憲と積極財政を目指す点で、高市政権と、日本維新の会、国民民主党には、政策上共通点が多い、とされています。

 ただし、維新35議席、国民民主は27議席で、自民党はどちらかと組んでも、過半数には届きません。

 しかし、そうなると、参政党の3議席、日本保守党と袂をわかった河村たかし議員と竹上裕子議員の2議席が、にわかに存在感を持ち始めます。

 自民党が、維新と組むことを考えると、わずかではあっても、この5議席を加えれば、過半数を超えることが可能となるので、泡沫政党のようで、重要となるのです。

 参政党の神谷宗幣代表は、公明党の連立離脱を歓迎し、にわかに自民との連立に前向きな発言をし始めたのは、自身の存在価値が高まったという自負があるのでしょう。

 もちろん、自民党が、維新と国民民主の両方と連立を組むことができれば、より簡単に過半数を超えることができます。

 しかし、国民民主の連立入りには、支持母体である連合が、強力に反対を表明しています。

※国民民主党、自民党との連立協議にハードル 連合会長「容認せず」(日本経済新聞、2025年10月9日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA081PC0Y5A001C2000000/

 しかし、先述した通り、参政党の3議席や河村たかし氏ら減税日本の2議席と維新の38議席があれば、自・維・参・減の連立政権で、過半数を獲得することができます。

 ただ、参政党の神谷代表と、維新のファウンダー(創立者)である橋下徹氏は、沖縄戦の歴史認識をはじめ、論戦で火花を散らしてきました。

 また、神谷代表は、「自分達は反グローバリズム政党だ」と公言してはばかりませんが、自民党のバックとなる経済界の大手企業は、トヨタのような自動車産業であれ、多くがグローバル企業ということができます。

 「反グローバリズム」という時の、「グローバリズム」の定義を曖昧にしたままでいると、支持者の混乱を招くこととなります。

 また、ここで、自民の数合わせのために、維新も、参政党も、ともに、議論を棚上げにして、合流することは、「反自民・反体制的な保守層」という近年、興隆してきた支持層にそっぽを向かれる懸念もあります。

 自公連立の崩壊で、政局は一挙に流動性を増しています。

※会派名及び会派別所属議員数 令和7年9月29日現在(衆議院)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm

 参議院では、合計248議席のうち、自民党は100議席、過半数まであと25議席が必要です。

 国民民主党・新緑風会は25議席で、自民党はここと連立をすれば、過半数に届きます。維新は19議席で、自・維だけでは過半数に届きません。

 しかし、参政党は15議席もあり、自・維・参が連立をすれば、過半数に届きます。ここでも、参政党の動向が鍵を握りそうです。

※会派別所属議員数一覧 令和7年10月4日現在(参議院)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/218/giinsu.htm

 麻生太郎副総裁が総裁選に決定的な影響力を及ぼし、新人事でも麻生氏の義理の弟である鈴木俊一氏が幹事長に就任するなど、高市新総裁とその人事をめぐって「第2次麻生政権」だ、などという声も上がっています。

 その麻生副総裁は「公明党嫌い」として知られ、2023年9月には、地元福岡の会合で、安保法制に慎重な姿勢を示した公明党執行部を「今の公明党の一番動かなかった『がん』だった、いわゆる山口(那津男氏)、石井(啓一氏)、北側(一雄氏)等々の一番上の人達」と、呼び捨てで非難しています。

※“初手で間違えた”自公連立崩壊の背景は?「政治とカネ」以外にも決裂の理由が…【サンデーモーニング】(TBS NEWS DIG、2025年10月12日)
https://youtu.be/TjCIP8W2uHU

 麻生副総裁の意向が強く反映されたとみられる人事では、「裏金議員」のひとりである、萩生田光一氏が幹事長代行に抜擢されました。

 これも、「改革」を求める公明党の、神経を逆撫でした人事だったと推測されます。

 先述したように、高市総裁は、「一方的に連立政権からの離脱を伝えられました」と、公明党側に話し合おうとしない頑なさがあると言わんばかりの物言いをしました。

 しかし、麻生氏の「公明党嫌い」を考えると、かつては、「福祉政党」とか、「リベラル寄り」で、「反自民的」でもあった、公明党切り離しのための、タカ派・高市総裁推しだったとも見えてきます。

 かつて最盛期には500万人を超えた自民党員は、今や91万人まで減少しています。

 党勢を大きく落としている自民党が、生き延びる道を模索して、やはり支持母体の創価学会が高齢化し、党勢が衰えており、さすがに戦争となると、立党の理念に鑑みて、反戦の立場を取らざるを得ない公明党よりも、保守化する若い世代の支持を集めて党勢を伸ばしてきた維新、国民民主党、参政党などと組んだ方が延命できる、考えた可能性は充分にありえます。

 連立相手になりうる、新しい「パートナー」候補が出てきたので、四半世紀連れ添った「古女房」と別れる算段が整った、ということなのかもしれません。

 新興「保守」勢力を取り込むことを前提に、公明党を切ることにした、そのためのタカ派・高市新総裁擁立とみると、辻褄が合います。

※自民党総裁選、投票権を持つ党員数は91万人 前年から13%減(日本経済新聞、2025年9月22日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA220XL0S5A920C2000000/

 一方、立憲民主党の野田佳彦代表も、10日の記者会見で、国民民主党の玉木雄一郎代表ら野党党首との会談に意欲を示しました。

 公明党が連立与党から外れた今、野党にとっては大連合で、政権を取れる可能性が出てきているのです。

※立民・野田代表、野党党首会談に意欲 首相指名の候補者一本化を模索(日本経済新聞、2025年9月22日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1036P0Q5A011C2000000/

 自公連立政権の瓦解について、岩上安身のインタビューでお馴染みの、エコノミスト・田代秀敏氏は、岩上の取材に応じて、以下のように述べています。

岩上安身(以下、岩上と略す)「連立離脱とは、驚きました。公明は、最後にはくっついていくと思いましたが」

田代秀敏氏(以下、田代氏と略す)「『いち、にの、さん』で連立離脱ですね。

 映像の満面の笑顔(の高市氏)を見ていると、事態をわかっていないのか、虚勢を張っているのかわかりません(※)」

(※)公明 自民との連立離脱表明 高市総裁「一方的に伝えられ残念」(NHK、2025年10月10日)
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014946321000

岩上「僕は、また最後には『下駄の雪』で、公明党がくっついていくのではないかとの疑念が拭えません。どうなるかわかりませんが。しばらく、ぐちゃぐちゃの政局になりそうですね」

田代氏「円安が止まり、円高に少し動いています。自公連立崩壊を、市場は歓迎しています」

※ここから先は【会員版】となります。
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■第16期に入り、3ヶ月目の10月になりました! しかし8月のご寄付・カンパは、月間目標額の16%、 9月のご寄付・カンパは、月間目標額の14%にとどまり、財政的にとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていくことの困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!

 9月は1日から30日までの30日間で、50件、48万5070円のご寄付・カンパをいただいています。これは、月間目標額350万円の14%にあたります。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。しかし、目標額の86%、301万4930円が不足することとなりました。第16期が始まって、2ヶ月間、1~2割程度しか、ご寄付が集まっていない、厳しい状況です。

 10月は、1日から9日までの9日間で、13件、10万3000円のご寄付・カンパをいただきました。これは、月間目標額350万円の3%にあたります。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。

 私がIWJをスタートさせたのは、今から15年前の2010年でした。

 IWJをスタートさせてきてからのこの15年間、あるいはそれ以前から、私、岩上安身は、機会があるごとに米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に、絶えず警鐘を鳴らしてきました。

 自民党の新総裁が、中国との戦争の話を絶えず繰り返し、「米軍が中国軍の矢面に立つのではなく、まず日本が正面に立つ」などということまで言い出している高市早苗氏に決まって、その懸念が、今、まさに現実になりつつあるのを痛感しています。

 東西冷戦の終わりによって、世界大戦の危機は遠ざかったと安堵して、約35年が経ちますが、現在、最も戦争の危機が近づいていると感じられます。

 ドイツのベルリンの壁が崩壊して、東西冷戦構造が少なくとも欧州では終わったのが1989年。米ソ全面核戦争の危機が去った、というだけで、世界は一時的な多幸感に包まれていました。

 その際、ソ連共産党と、ソ連邦の解体を見て、政治が先に解体し、経済が後回しにされると、米国主導のグローバル資本の餌食になると、見抜いていたのが中国でした。

 中国はソ連とは逆に、経済を開放して、市場経済を取り入れ、逆に政治の統制は変えませんでした。

 その結果、あの貧しかった中国が、米国や日本の直接投資や台湾からの迂回投資を受け入れて、またたく間に成長し、今や購買力平価では、中国のGDPは米国を抜き去って1位の38,154,219百万USドルで、2位米国の29,184,900百万USドルを大きく引き離しています。

 しかも、中国経済の成長率は、過去よりも鈍化した、とはいえ、今なお、西側諸国より高い成長を続け、中国と米国の経済力の差は今もなお開き続けています。

 国力の差の拡大は、軍事力に直結します。第2次大戦後の、パックスアメリカーナ(米国の覇権のもとの平和)を大きく揺るがし、米国の焦りを呼んで、中国やロシアを敵視することが、もはや米国の国是となってしまっています。

 太平洋をはさんで、米国と、ロシア(ソ連)、中国、という核超大国にはさまれている日本としては、この経済的な国力の差と、資源をもたない宿命、そして地政学的現実を、ありのまま認めて、その地政学的運命に不自然に逆らわずに、欧米だろうが、グローバルサウスだろうが、全方位の平和外交を推し進めてゆくべきであるはずです。

 歴史をふり返ってみましょう。

 日本は、外征にはめっぽう弱い国です。戦術だけはあっても、戦略がなくて、目先のことしか考えられず、常に敗れ続けています。

 歴史的には、日本は3度の、国の存続にかかわるような大きな外征と、敗北を経験しています。

 まず、古代では、7世紀の663年に、朝鮮半島を戦場として、当時の日本(倭国)にとって特別な同盟国であり、親戚のような国でもあった百済(くだら)を救援するため、現代でいう「集団的安全保障」を発動し、唐と新羅(しらぎ)の連合軍と、白村江で東アジアでの準世界大戦ともいうべき戦いを行い、大敗を喫しました。

 その次が、豊臣秀吉の明の征服を目的とした朝鮮出兵です。

 これも明を征服するどころか、秀吉が通り道くらいに考えていた朝鮮で激しい抵抗にあい、大軍を2度、繰り出しても、戦争目的を達成できませんでした。

 そして明治維新というクーデターによって誕生した「大日本帝国」によるアジア侵略と、米英とソ連までも敵に回しての戦争と、完全な敗北です。

 この3度の戦争は、日本の帝国主義的拡大と外征によるものです。日本は、一度、帝国の野心的な狂気にとりつかれると、まったく、彼我の現実的な力の差が見えなくなってしまいます。そして、その直後に、自国内のそれまでの体制がひっくり返る手痛い経験をしてきたのです。

 日本は、古代から現代に至るまで繰り返してきた、この外征の失敗に学ぶべきです。

 他方で、日本は、理不尽な侵略に対して水際で防御することには、成功してきた歴史的経験があります。蒙古の侵略に対しても、単に台風(神風)の到来だけが幸いしたのではなく、抗戦能力をもった鎌倉武士団が活躍し、上陸も侵略も許しませんでした。

 同じく、811年から新羅が滅亡する935年まで1世紀以上も続いた、新羅の数次に渡る入寇(侵略)も、1019年の刀伊(とい=女真族)の入寇も防ぎました。

 ついでにいえば、蝦夷(えぞ=現在の北海道)の地を侵略してきた蒙古に対しても、アイヌ人は果敢に戦い、北の地を守り抜きました。

 もし、縄文人の遺伝的・文化的特色を色濃く受け継ぎ、縄文人と弥生人の混血である本州の和人と共通の祖先をもつアイヌが蒙古に負けて侵略を許していたら、そして北海道から南下していたとしたら、日本列島の歴史はまったく変わっていたかもしれません。

 ただ、こうした水際で上陸を食い止める「専守防衛」戦の成功に恵まれてきたのに、どういうわけか、「蒙古襲来」は語り伝えられても、「新羅の入寇」も「刀伊の入寇」も「アイヌによる蒙古撃退」も、ほとんど歴史として習うこともありません。台風を「神風」と呼んで、あげく「神国日本」と、まったく非現実的な妄想の中に閉じ込もり、外征の失敗と「専守防衛」の成功と重要性について、歴史から学ぶことがほとんどありませんでした。

 そうして、長州の吉田松陰のような外征の野心を説く狂信的な神国思想のイデオローグに鼓吹された長州と薩摩らが起こしたクーデターで、討幕に成功すると、早々に掲げていた「攘夷」の旗を引っ込め、外征に乗り出しました。

 明治国家の出発点から近隣諸国に対する侵略を始めてしまい、どこまでもブレーキを踏むことなく、侵略を中国大陸へとエスカレートしたあげく、日本は、米英を相手に、国力の差がありすぎて、勝つ見込みのまったくない戦争へと踏みきってしまいました。

 その結果、古代から近代まで何とか保ってきた独立を、日本は失うことになりました。

 第2次大戦の大敗後、日本は、米軍による占領の継続を許してしまい、いまだに米軍が日本列島に居座り続けていることに対して、日本政府も日本国民も、疑問も問題意識も持たなくなってしまっています。

 日米安保条約に従い、米軍が日本を守るも、守らないのも、米国の都合次第でどうにでもできるものであり、それはウクライナ紛争における米国の態度を見ていれば、明白です。

 ところが、日本は米国に組み敷かれているこの状況を、ストックホルム症候群のように、「異常」とも思わなくなっています。

 しかも、米国の国力が相対的に衰退し、パックスアメリカーナが危うくなればなるほど、米国に頼るしかないんだ、「日米同盟基軸」しかないんだ、などという、自立からさらに遠ざかる方向へと自ら逃避している始末です。

 日本国民の中には、危機感を覚えている人はもちろんいますが、政党には、右も左も、危機感がまるでありません。戦後80年にわたる「洗脳」の凄さを、つくづくと思い知らされます。

 「戦後」が遠ざかり、新たな「戦前」の危険性が近づいてきています。

 ウクライナを「道具」として使ったロシアの弱体化戦略と、台湾や日本を「道具」として用いての中国の弱体化戦略は、米国内でパラレルに進められてきた戦略です。

 もはや『前夜』などではなく、今まさに波濤が砕ける時が来ていることに、身震いする思いがいたします。

 少数与党の自民党は、公明党に連立を解消され、他党と連立を組む必要がありますが、維新や、国民民主党は、改憲による緊急事態条項の導入に賛成なので、連立が成立すれば、緊急事態条項導入を含む憲法の改悪が、実現に向かって進んでいってしまいます。

 緊急事態条項が憲法に加えられ、実際に発布されれば、議会制民主主義は完全にフリーズします。選挙も延々と延期され、立法府は機能せず、法律の代わりに、内閣が一方的に政令を出して、国民はそれに問答無用で従わなければならなくなります。国民は、主権者ではなくなってしまうのです!

 これはファシズムそのものであり、しかも自民党案では、その解除や出口は定められていません。「どこの国にも、国家緊急権の条項はある」などとうそぶく輩もいますが、日本のずさんきわまりない緊急事態条項案は、各国の戒厳令とは、その本質からしてまったく違います。

 そもそも、第2次大戦中の「大日本帝国」であっても、帝国議会は開かれていました。

 大政翼賛会による全体主義に覆われていても、大政翼賛会の推薦を受けずに無所属で立候補して当選する人物もいました。

 そうした人物のひとりが、安倍寛(かん)氏です。元外務大臣の安倍晋太郎氏の父親であり、安倍晋三元総理にとっては、父方の祖父にあたります。

 安倍寛氏は、政治家として、安倍元総理の母方の祖父の岸信介氏とは正反対の立場に立つ政治家です。

 「戦争反対」を叫ぼうものなら、「非国民」扱いされる戦時中時代に、「戦争反対」「金権不敗政治反対」「東條内閣退陣」まで訴えて、それでも有権者の支持を得て当選し、国会議員となった人物でした。

 軍国主義まっただ中の日本でも、このような人物が当選することができたのです。

 しかし、今度の緊急事態条項が通れば、そもそも選挙も開かれず、国会も空洞化するのですから、安倍寛氏のような、「非戦」「戦争終結」「東條内閣の退陣」までも主張した人物が国会議員になることは、ありえない話になります。

 自民党が用意している緊急事態条項による内閣独裁とは、結局のところ、戦時体制であり、国民総動員体制です。

 戦争に突入しても、国民は反対もできませんし、今のウクライナのように、負けがこんで、国民の大半が嫌気がさしていても、止めることができません。

 戦費調達のための増税、人権の制約、徴兵、戦時国債の強制、何から何まで、内閣が出す政令一つで決まりますし、逆らう手段はすべて禁じられます。

 しかも、今度、戦争となれば、日本の内閣の上には、その上位の権力として、日米安保条約と地位協定のもと、米軍の権力が存在します。解釈改憲によって、集団的自衛権が認められてしまい、米国の戦争はイコール日本の戦争になってしまいました。

 しかも戦時の指揮権を、日本は早々に米国に明け渡してしまっています。この指揮権を米軍が握るということと、日本の民主主義を殺す緊急事態条項は、表裏一体のものとして考えるべきです。

 しかも、ウクライナ紛争を見ていればわかる通り、米軍自らは後方へ下がり、同盟国なり、手下となる国々に血を流させます。自衛隊に対する指揮権を握ったまま、後方に下がって、日本の自衛隊だけが前面に押し出されるのです。

 日本は中国と、その同盟国のロシア、北朝鮮、下手をすると、中露と急接近したインドまでも敵に回してしまいます。これら4ヶ国はすべて核保有国であり、戦う前からすでに敗北しているようなものです。

 非核保有国は、通常戦争のどこかの局面で、一時的に有利に立っても、それ以上、核保有国に攻め込んで、降伏に追い込むことはできません。第2次大戦までの戦争と、核兵器の登場以降では、戦争のルールは、根本的に大きく変わってしまったのです。

 ウクライナ戦争でも、NATOに全面的にバックアップされたウクライナ軍が、優位に立った局面もありました。

 しかし、ロシアを本気でおびやかすと、ロシア側はむざむざ敗北してたまるかと、戦術核兵器を使ったら、という懸念によって、ウクライナ軍も、ドイツのヴィースバーデン基地内から、実はウクライナ軍に指示を下していた米軍の将官も、立ち止まらざるを得ませんでした。

 核保有国の軍を相手にした場合、通常兵器の戦争で優位に立っていたとしても、非核保有国の軍は、踏み込もうと思っても、核による反撃を恐れて、それ以上は踏み込めなくなるのです。

 この現実を、IWJは『IWJ号外』で報じているので、以下、御覧になってください。

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第1回)ウクライナ紛争は、2022年4月から、ドイツのヴィースバーデンの米陸軍基地「クレイ・カザーン」が総司令部だった! 2025.9.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529182

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第2回)米軍ドナヒュー中将「ロシアを倒せば、君達(ウクライナ軍)を青(NATO軍)にしてやろう」と言った! 2025.9.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529230

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第3回) 2025.9.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529247

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第4回)日本のメディアは、米国とウクライナ軍との間のヴィースバーデン体制が存在したことすら知らぬ、存ぜぬ! 2025.9.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529260

 日本は、自前のエネルギー資源もなく、食料自給率も低い島国であり、海上封鎖されれば、通常兵器での戦闘など、物理的に続けられません。

 では、日本も核武装すればいいではないか、プルトニウムの蓄積はあるし、技術もあるのだし、「短期間で核兵器はもてる」などという、口だけ勇ましいことを言う保守・右派の政治家や論客は過去にもいましたし、現在もいます。

 しかし、今年6月に勃発したイラン・イスラエル間の「12日間戦争」が、そうした可能性を打ち砕きました。

 核濃縮の可能性があるというだけで、イスラエルは、イランの核施設を爆撃し、さらに米国も、バンカーバスターでダメ押しするように核施設を爆撃しました。

 国際法に違反する軍事攻撃ですが、誰も非難できず、国際社会の誰も食い止められません。

 こうした先例が、できあがってしまったのですから、日本が、プルトニウムを利用して、核兵器を作り始めた、とわかったら、それが事実でも、事実でなくても、日本にとっての「敵国」から、日本の核施設を含む、軍事基地やエネルギー施設などの重要拠点を、ミサイルで空爆されることは避けられないでしょう。

 核施設への攻撃というタブーも、米国とイスラエルが先例を作ってしまい、もうなくなってしまったのです。

 日本は、核自爆施設ともいうべき、原発を海岸線にずらりと並べています。これらの原発に、ミサイルやドローンなどによる空爆が行われた時、各原発を守るミサイル防衛システムは配備されていません。

 たとえ配備したとしても、イラン・イスラエル戦争で証明されたように、囮(おとり)のドローンと、通常速度のミサイルの飽和攻撃により、迎撃ミサイルを撃ちつくしてしまい、その後に極超音速ミサイルを撃ち込まれてお手上げです。

 しかもドローンはきわめて安価であり、米国のパトリオットミサイルは1発で6億円近くもします。大量生産もききません。

 既存のミサイル防衛システムでは迎撃できない、極超音速ミサイルは、ロシアとイランは実戦ですでに用いており、中国も配備していますが、米国やイスラエルは保有していません。米国はいまだに開発に成功しておらず、最近になって共同開発を日本に持ちかけているところです。

 原発と同じく海岸線にむき出しに立っている、6ヶ月分しかない石油備蓄タンクも、軍事的標的として狙われる可能性があります。日本はエネルギーを一挙に失います。第2次大戦末期のように、海上封鎖されてしまえば、エネルギー資源はまったく入ってこなくなります。戦争遂行どころか、産業活動も、物流も、日常生活も、すべて止まります。

 しかも通常弾でも、原発を攻撃されれば、核攻撃を受けたと同様の放射性物質が大量かつ広域に拡散し、「不沈空母」どころか「死の列島」と化します。

 海上封鎖されている時、日本人には、ウクライナ国民のように、陸続きで難民として逃げる道も残されていません。食料自給率も低く、輸入に頼っている食料が途絶えたら、ただちに降伏しない限り、我々日本人は飢餓地獄に陥ります。

 しかし、そんな危機感は、自民党の新総裁となった高市氏からはまったく感じとれません。

 総裁選の間中、メディアに出ては中国に対して、日本が戦争してもわたりあえるかのような発言ばかり口にしているのを見ると、寒気がしてきます。

 さも、安全保障についてわかっているかのような口ぶりですが、リアルな戦争について、知識と理解を欠いていることは明らかに見てとれます。対抗馬かまったく知力を欠いた小泉進次郎氏だったから、引き立って見えただけの話だと思います。

 公平を期すために言っておけば、保守・中道・リベラルのどの政党であっても、正面から、自民党の米国頼みの安全保障政策に対し、対案を提示する党はありません。

 最大野党の立憲民主党は、創設者の枝野幸男氏自ら、「日米同盟基軸」と立党の時から今に至るまで言っていて、思考停止したままです。

 個々の党員の中には、現実に学んでいる政治家もいるでしょうが、そうした人が積極的に表に出てきて発言し、世論を変えようとしている気配はありません。

 米軍こそは世界最強であり、米国こそは軍事テクノロジーの最先端に位置している、という幻想に与党も野党もしがみついているのでしょう。

 しかし、極超音速ミサイル開発の遅れに現れているように、そんな時代はすでに終わっているのが、悲しいかな、現実です。米国が敵視している国々、特に中国に追い越されてしまっています。

 この現実を、目の前で見ているはずなのに、米国も日本もその現実を否認し続けたままです。

 米国が世界中に対し覇権を唱えていられたのは、世界各地の米軍基地の存在と、米国自慢の空母打撃群の存在でした。

 しかし、米軍基地も、洋上の基地である空母も、現在では極超音速ミサイルを中核とした飽和攻撃の絶好の標的となります。米軍の空母の建造価格は、最新かつ最大のジェラルド・R・フォード級の場合、1隻あたり1兆9000億円もします。その空母を取り囲む船団全体では、300億ドル(約4兆5700億円)とも言われています。

 そんな高コストな空母打撃群を、米軍は11個保有し、ライバルを圧倒してしていると胸を張り、日本のような同盟国も頼りにしてきたわけですが、米国の製造業の空洞化と、高価な兵器による軍事費の増大で米国の財政危機によって、いつまで維持できるのか、危うくなっています。

 米国はもはや造船業をほとんどもっていません。世界の造船業のうち、米国のシェアは、かつて世界最大でしたが、現在はわずか0.1%にしか過ぎません。

 それに対して、ライバルの中国のシェアは年々上昇し、現在は55%も占めています。550倍もの差があります。

 しかもサプライチェーンは、同盟国だけに依存しているわけではなく、米軍の艦船、戦闘機、レーダー、戦車、その他の軍備に用いられている半導体の多くが、中国製です。トランプ政権は、中国を関税政策で苦しめ、自国を強化できるかのように宣伝していますが、現実には関税率を抑え、米中貿易は相変わらず続いています。輸出している中国側が、輸出を本気で控えたら、米軍も、米国もお手上げです。まして中国と戦い、虎の子の空母を失っても再建はできません。

 米国の財政危機の深刻さについては、日々、報じられているので、くわしくは述べません。

 米国はかつて世界最大の製造業の国だったのに、自ら「モノ造り」を何から何まで空洞化してしまい、金融に特化して儲けようとしたあげく、米帝国は、自壊しつつあるように思えます。

 米国にのみ、頼り、米国の戦略に従って動かされて、対中国との戦争の矢面に立て、と言われて、「代理戦争」の駒とされる、そんな危機に直面しているのに、政府も、与野党も、メディアも、いつまでも、現実を否認をしていては、日本は生き残れません。

 連日、書いていることですが、国難は避けられない、としても、大難を小難にとどめることはできるはずです。日本が対米自立を果たし、「敵国」ばかりになっている周辺国と和解して、各国と平和条約を結び、「敵」と戦うのではなく、「敵」と和解して、「敵」を消し去ることができるかどうか。

 対米自立と、周辺国との自力での平和構築に失敗すれば、日本は、大きな試練に直面します。平和の上にしか、国家としての繁栄も、国民としての日々の穏やかな暮らしも、築くことができません。

 間に合うでしょうか。懸念は尽きません。

 肝心なことは、前向きな希望を信じる力が残っているかどうかではないかと思います。

 厳しい経営の続くIWJの行方も、その希望をもてるかどうか次第だと思います。

 IWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。

 困難は、迫ってきています。向こう10年以内が、東アジアにおいて、日本が、「代理戦争」の駒として使われてしまうかどうかの正念場です! そうした事態は、絶対に回避しなければなりません。

 今期16期もIWJは、日本だけでなく、西側に広がるプロパガンダにのみこまれず、真実をお伝えしていきたいと思います!

 どうぞ、緊急のご支援のほど、よろしくお願いいたします!

 岩上安身 拝

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預金種目 普通
口座番号 472535
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ゆうちょ銀行
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店番 008
預金種目 普通
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◆中継番組表◆

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◆中継番組表◆

**2025.10.14 Tue.**

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

大変厳しい状況が続くIWJに温かいご支援をいただき、まことにありがとうございます。お力添えいただきましたみなさまへ心より御礼を申し上げるとともに、お名前を掲載させていただきます<ご寄付・カンパのお礼とご報告(2025年9月)
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「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 貿易政策と安全保障政策の融合!? 逆に米国と同盟国に、経済破綻と社会崩壊の危機が迫る!? 岩上安身によるインタビュー第1188回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第1弾 2025.5.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527367

40年間続いた米国債の価格上昇が、下落へ! 世界一米国債を保有する日本には、巨大な含み損が発生! 米国債務は対GDP比100%を超え、利払い費だけで、米防衛費を超過!「アメリカの、世界に対する覇権を支えている財政システムが、大変動を起こしている」! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 前編 2025.6.8
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527763

フォン・デア・ライエン委員長は「我々が知っていた西側は、もはや存在しない」と宣言!「日本人がもっと真面目に考えないと。日本の立ち位置って何ですか?『西側の一員です』と。でも、その『西側』はないんです」! 米国債がクラッシュしてしまえば、最大保有国である日本は、最大の被害国に! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 後編 2025.6.8
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527782

ヒンドゥー至上主義のインド・モディ政権によって酷い差別を受けているカシミールは、ユダヤ人至上主義によって民族浄化を受けるガザと共通性がある! パレスチナ問題とカシミール問題はともに大英帝国支配の負の遺産! しかし、英国は責任を果たさない! 岩上安身によるインタビュー第1194回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏 第1回 2025.5.30
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527633

イスラエルは、トランプ米大統領のリゾート開発構想のために、ガザ戦争を再開! 毎日100人単位でパレスチナ人を殺害しているのに、主要メディアではほとんど報じられず、批判もされない! ユダヤ教の極右政党と連立するネタニヤフ政権は、UNRWA施設を破壊し、職員も殺害! 人道援助を妨害し、ガザは「国際法の墓場」に! 岩上安身によるインタビュー第1194回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏 第2回 2025.6.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527726

「トランプは戦争をしない」は嘘! 米大統領がバイデンでもトランプでも、イスラエルのやることは全部支持! キリスト教に妥協したユダヤ教徒と、キリスト教シオニストの福音派の猛烈な支持を抜きには考えられず、イスラエルの利益を最大限に追求!~岩上安身によるインタビュー第1176回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/526058

「戦争をやめさせる」はずのトランプ内閣が、ウクライナ紛争を剛腕で停戦させようとしているのに対し、イスラエルのジェノサイドはなぜ野放し!? その謎に迫る!!【ガザ戦争とハマス】15ヶ月に及ぶ戦争は中東地域に何をもたらしたか? トランプ政権によってパレスチナはどうなるのか? 岩上安身によるインタビュー第1184回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏 2025.2.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/526531

2024年を振り返る! そして1ヶ月後に始まる第2次トランプ政権で、米国は、そして世界はどう変わる!?~岩上安身によるインタビュー第1175回 ゲスト 元外務省国際情報局長・孫崎享氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/525988

ハミッド・ダバシ氏が指摘「ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した」!「ガザ攻撃における植民地主義の視点」~岩上安身によるインタビュー第1145回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2024.2.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/521575

「イスラエルがどんな戦争犯罪、人道に対する罪を行っても一度も裁かれなかった。こういう国際社会の『伝統』がジェノサイドを可能にしている」!!~岩上安身によるインタビュー第1144回 ゲスト 早稲田大学文学学術院教授・京都大学名誉教授・岡真理氏 2024.2.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/521515

イスラエルがパレスチナ・ガザ地区に対して行なっているのは「民族浄化」! イスラエルによる「報復」でもなければ、ハマスとの戦争でもない!~岩上安身によるインタビュー第1138回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2023.11.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519713

「絶望」に突き動かされたハマスがイスラエルを急襲! イスラエルは、「報復」の名のもとに「民族浄化」を開始! パレスチナ人の「完全追放」まで至るのか!?「第2のナクバ」に~岩上安身によるインタビュー第1137回 ゲスト 放送大学名誉教授 高橋和夫氏 2023.11.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519653

対等な者同士の「ハマス・イスラエル戦争」ではない!「植民地主義とそれへの抵抗であるという基本的な視点が必要」~岩上安身によるインタビュー第1136回 ゲスト 東京大学名誉教授 板垣雄三氏 2023.11.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519527

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■<号外を出します!>『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第5回・最終回)バイデン政権は、政権交代目前のタイミングで、エイタクムス、ストームシャドウなどの長距離ミサイルによるロシア領への攻撃を許可!「第3次世界大戦になる」と反対していたにもかかわらず!

 バイデン政権下では、政権のプロパガンダが中心で、時折、正気に返る『ニューヨーク・タイムズ』が、2025年3月29日付で、ウクライナ紛争に関する長大な暴露記事を発表しました。

 これは、ウクライナ戦争における米国関与の秘史です。日本の主要メディアは、この重要な記事を無視、あるいは黙殺して、何も伝えようとしていません。

 この『ニューヨーク・タイムズ』の記事は、米軍が軍事情報の提供や作戦立案、そして戦争の指揮などの点で、ウクライナ軍の上位に立ち、紛争の始まりからずっと主導してきたことを証拠立てるものです。

 これは、米軍と自衛隊が一体化を進めてしまっており、武器の購入だけでなく、情報も米軍から提供され、作戦立案から、作戦の指揮権も、米軍の側に主導権がある、日米の軍事的な上下関係の実情を理解する上でも、貴重な事例であると思われます。

 しかし、これまでの『ニューヨーク・タイムズ』の記事と同様、反ロシア・親NATOに「偏向」している部分が見られますので、すべてを真にうけることはできません。

 そういうポイントは、逐一、指摘しながら紹介していきます。

※The Partnership: The Secret History of the War in Ukraine(ニューヨーク・タイムズ、2025年3月29日)
https://www.nytimes.com/interactive/2025/03/29/world/europe/us-ukraine-military-war-wiesbaden.html

 IWJは、A4で56頁にも及ぶこの長大なスクープ記事を、5回に分けて仮訳して紹介します。

 最終回である第5回は、射程が300kmと長射程で、ロシアの奥深く狙うことのできるミサイル、エイタクムスを、米国がウクライナに提供を始めるなどの変化も扱われます。

 これまで、「第三次世界大戦になる」とバイデン大統領自身が懸念して、長射程のミサイルの供与は拒んでいましたが、政権末期のタイミングで、供与に踏み切ったのです。

 米国とウクライナの軍事協力が拡大していったこと、クリミアのケルチ橋攻撃では、米軍とウクライナ軍の間で作戦上の不一致があったこと。

 2024年夏のロシア領内のクルスクへの侵攻は、米軍に事前通告なく、ウクライナ軍が独断で行い、これを米側は「裏切り」と受け止めたこと。

 しかし、米国側も、CIAなど米側の「特例承認」で、ロシア領内トロペツ兵器庫へのドローン攻撃が行われたことなどを報告しています。ロシアへの攻撃のエスカレーションに、米軍が大いに関与していたのです。

 こうしてみると、ロシアと戦っているのは、ウクライナ単独ではなく、米軍の将官が最上位に位置して、欧州軍を含めた連合軍として、ロシアと戦ってきたことがよくわかります。

 ウクライナの劣勢を、受けて、現在、ロシア軍と欧州各国の軍とが、直接、戦闘に陥る間際にある、と言われていますが、今までも、表には立たなくとも、ロシアと戦ってきたのは、ウクライナ単独の軍ではなく、連合軍だったのです。

 また、米・オースチン国防長官が、兵士が不足しているウクライナに対して、徴兵年齢を18歳まで引き下げるように要求した際、ゼレンスキー氏が抵抗して実現しなかったことも謎として残されます。

 若者を戦場に行かせたくないというと、人道的に聞こえますが、20代後半から、中高年、さらには60代の初老まで、兵役につくように強制しているのに、体力のある20代前半の若者を徴兵しないのかはなぜなのか、謎は解けません。

 バイデン政権が、最後にエイタクムス、ストームシャドウなどの長射程ミサイルによるロシア領攻撃を許可した経緯なども報告しています。

 こうした攻撃の結果、ロシア側は当然、激しく反撃することを決意するわけですが、そのバトンは次のトランプ政権に引き渡されます。

 米国は、オースティン国防長官までが、ウクライナに対して、徴兵年齢を国際法上許容される18歳(国際法は18歳未満の少年兵を許していない)まで引き下げるように求め続けました。しかし、ゼレンスキー氏は、これを頑なに拒みました。

 その理由は、将来のウクライナの再建のため、としか説明されていません。しかし、「勝利」あってこその「再建」のはずです。

 足腰も衰えた、ロートルの老兵部隊で、ロシア軍に勝てると考えたとしたら、いくらなんでも、見通しが甘過ぎます。ゼレンスキー氏の意図は、結局、この記事では、謎のままです。

 『ニューヨーク・タイムズ』は、米軍側からの真っ当な作戦指示を、戦場の最前線に立つウクライナ軍が、しばしば裏切り、その結果、軍事的な失敗がもたされたことを強調しています。

 戦場での失敗や敗走の責任は、米軍にはなく、米軍に従わなかったウクライナ軍にある、という責任転嫁の匂いが、そこかしこから漂ってきます。

 その点は、ハリウッド映画のような、潤色がなされていると、疑ってかかっていいでしょう。

 『ニューヨーク・タイムズ』は、いくつかのロシア軍の失敗や敗走については言及します。

 ウクライナと米国が作戦をエスカレートしていった背景には、戦場におけるロシア軍の粘り、戦略や戦術的優越などがあったと思われますが、そうしたロシアの「勝因」については、まったくといっていいほど、言及されていません。

 これでは、ロシアと対峙する「西側」は、ここまでの苦い「敗戦」から、教訓を学び取ることができません。

 ただ、「連合軍」を指揮し、運用してゆくというのは、難しいということだけは、確実に伝わってきます。その点は、米軍と自衛隊の関係でも、言えることでしょう。

 第1回から第4回までは、以下より御覧ください。

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第1回)ウクライナ紛争は、2022年4月から、ドイツのヴィースバーデンの米陸軍基地「クレイ・カザーン」が総司令部だった! 2025.9.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529182

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第2回)米軍ドナヒュー中将「ロシアを倒せば、君達(ウクライナ軍)を青(NATO軍)にしてやろう」と言った! 2025.9.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529230

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第3回) 2025.9.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529247

※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第4回)日本のメディアは、米国とウクライナ軍との間のヴィースバーデン体制が存在したことすら知らぬ、存ぜぬ! 2025.9.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529260

■公明党と連立を解消した自民党が、改憲勢力の維新や国民民主、参政党と連立を組めば、改憲による緊急事態条項の導入が、実現に向かう! 自民党改憲案の緊急事態条項が導入され、発令されれば、議会制民主主義はフリーズし、内閣独裁が可能に!! IWJでは、岩上安身が梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士とともに、この緊急事態条項の危険性を訴えた、『増補改訂版・前夜』を販売しています! 今こそ、お求めを!

 私、岩上安身がIWJをスタートさせたのは、15年前の2010年でした。

 この15年間、あるいはそれ以前から、米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に、警鐘を鳴らしてきたことが今、まさに現実になりつつあるのを痛感しています。

 もはや『前夜』などではなく、今まさに波濤が砕けるような時が来ていることに、身震いする思いがいたします。

 少数与党の自民党は、当然のことながら、他党と連立を組む必要がありますが、維新や、国民民主党は、改憲による緊急事態条項の導入に賛成なので、連立内閣とはいっても、緊急事態条項導入を含む憲法の改悪が、実現に向かって一歩進んでしまいます。

 緊急事態条項が憲法に加えられ、実際に発布されれば、議会制民主主義はフリーズします。選挙も延々と延期、立法府は機能せず、法律の代わりに、内閣が一方的に政令を出して、国民はそれに問答無用で従わなければならなくなります。国民は主権者ではなくなってしまうのです!

 これはファシズムそのものであり、しかも自民党案では、その解除や出口は定められていません。「どこの国にもある」とされる戒厳令とは、その本質からして違います。

 この内閣独裁とは、結局のところ、戦時体制であり、国民総動員体制です。戦争に突入しても、反対もできませんし、今のウクライナのように、負けがこんで、国民の大半が嫌気がさしていても、止めることができません。戦費調達のための増税、人権の制約、徴兵、戦時国債の強制、何から何まで、内閣が出す政令一つで決まります。

 しかも、戦時ともなれば、日本の内閣の上には、その上位の権力として、日米安保条約と地位協定のもと、米軍の権力が存在します。解釈改憲によって、集団的自衛権が認められてしまい、米国の戦争はイコール日本の戦争になってしまいました。

 しかも戦時の指揮権を、日本は米国に明け渡してしまっています。この指揮権を米軍が握るということと、緊急事態条項は、一体として考えるべきです。

 しかも、米軍自らは、ウクライナ紛争で見た通り、自軍は手を引きます。自衛隊の指揮権を握ったまま、後方に下がって、日本の自衛隊だけが前面に押し出されるのです。

 日本は中国と、その同盟国のロシア、北朝鮮、下手をすると、中露と急接近したインドまでも敵に回してしまいます。4ヶ国すべて核保有国であり、戦う前からすでに敗北しているようなものです。

 日本は、自前のエネルギー資源もなく、食料自給率も低い島国であり、海上封鎖されれば、通常兵器での戦闘など、物理的に続けられません。

 また、原発を海岸線にずらりと並べていて、ミサイルなどの軍事的攻撃に対する防御は何もしていません。6ヶ月分の石油備蓄タンクや原発が狙われれば、エネルギーを一挙に失います。しかも通常弾でも、原発を攻撃されれば、核攻撃を受けたと同様の放射性物質が大量かつ広域に拡散し、「不沈空母」どころか「死の列島」と化します。

 しかも、この原発を攻撃するのが、「敵国」とは限りません。ウクライナ紛争ではロシア軍のせいにして、ウクライナ軍が自国のザポリージャ原発を攻撃するという、「偽旗作戦」が起こりました。

 今では、ウクライナ軍は偽装もせず、ロシアの原発へのドローン攻撃を行っていますが、もはや国際社会は、この危険な攻撃に、注意を払いません。日本の主要メディアに至っては、ベタ記事にするかどうか、という程度です。何の危機感ももっていません。

 仮に日本において、正体不明のドローンによって原発が攻撃された時、それが「偽旗作戦」だったとしても、敵国の攻撃であるとのプロパガンダがなされ、日本国民は怒り、破滅的な戦意高揚へと向かうか、あきらめ、降伏するか、どちらにしても冷静に思考することができなくなることが、今から容易に想像できます。

 日本人には、ウクライナ人のように、陸続きで難民になる道も残されていません。米国抜きでも、ウクライナをバックアップするEUのような国々は、日本にはどこにもありません。韓国も、台湾も、日本以上に自分のことで必死でしょう。「台湾有事」が本当に起こるというなら、「朝鮮半島有事」も、同時に起こる可能性が高いと考えられます。

 なお、私、岩上安身は、梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士とともに、2012年の自民党改憲草案を日本国憲法と序文から補則まで比較して、延べ40時間にわたり逐条解釈し、250項目にわたる詳細な注釈をつけて、2013年に『前夜』(現代書館)として、自民党が憲法に導入を目論む緊急事態条項の危険性を訴えました。

 2015年には、安保法案の成立を受け、56ページ、約50項目の注釈を追加した、「増補改訂版」を発売しました。

 この『増補改訂版・前夜』の「まえがき」や「第九章 緊急事態」を、下記で公開しています。ぜひ御覧ください。

※【特別掲載!】安倍総理による「改憲隠し」にダマされるな! 参院選の真の争点は改憲と「緊急事態条項」の創設である~岩上安身による『前夜・増補改訂版』の「まえがき」を緊急アップ! 2016.6.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/309102

※【特別掲載!】基本的人権を停止させ、国民が「公の機関」の指示に従う義務をうたう「緊急事態条項」を警戒せよ!~『前夜・増補改訂版』より抜粋第2弾!「第九章 緊急事態」をアップ! 2016.6.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/309929

 IWJ書店では、『増補改訂版・前夜』を販売しています。よろしければ、ぜひお買い求めください。

※【増補改訂版】前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=169

※【増補改訂版・岩上安身サイン入り】前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=171

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵)

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