┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~イスラエルに続き、ハマスもガザ戦争を終結させ、残るすべての人質を解放するための新たな米国の計画に支持を表明! しかしイスラエルの卑劣なガザ空爆は止まず! 人道支援物資を届けることを目的とした「グローバル・スムード船団」をイスラエル軍が拿捕! 乗組員をテロリスト扱いで虐待! スウェーデンの気候問題活動家グレタ・トゥーンベリ氏もイスラエルの国旗で包まれ、まるで戦利品のように見せびらかされた! ハマスを排除したガザは米英が統治!? 何の権利があって!? しかも「イスラム・テロリスト」という考え方は、シオニストの知識人達が発明して、西側諸国へネタニヤフ首相が広めたものだった!!
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┠■高市早苗・自民党新総裁について、岩上安身が『スプートニク』の取材を受け、「『まるで愛国者』のようなことを言っているが、対中戦争に関する発言を繰り返し、現実的な安全保障の理解に欠けている」と常々、『日刊IWJガイド』等で指摘している通りにコメント!『スプートニク』は、岩上が「必ず入れてほしい」と主張した、石橋湛山自民党第2代総裁についても、削らずに掲載! 海外メディアは、日本では人気と票を取るための有権者相手の公約は守らない政治家だらけ、と皮肉! 民主主義は公約を守ってこそ成り立つ! 骨抜き民主主義であることを見抜かれていることを恥じるべき!
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┠■第16期に入り、3ヶ月目の10月になりました! しかし8月、9月のご寄付・カンパは、月間目標額の16%、14%にとどまり、財政的にとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていくことの困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!
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┠■IWJは、市民の皆様お一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。9月のご寄付者様のご芳名を、感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆様、誠にありがとうございます!
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┠■【中継番組表】
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■はじめに~イスラエルに続き、ハマスもガザ戦争を終結させ、残るすべての人質を解放するための新たな米国の計画に支持を表明! しかしイスラエルの卑劣なガザ空爆は止まず! 人道支援物資を届けることを目的とした「グローバル・スムード船団」をイスラエル軍が拿捕! 乗組員をテロリスト扱いで虐待! スウェーデンの気候問題活動家グレタ・トゥーンベリ氏もイスラエルの国旗で包まれ、まるで戦利品のように見せびらかされた! ハマスを排除したガザは米英が統治!? 何の権利があって!? しかも「イスラム・テロリスト」という考え方は、シオニストの知識人達が発明して、西側諸国へネタニヤフ首相が広めたものだった!!
本号の『日刊IWJガイド』は10月7日発行予定でしたが、徹夜作業が続いた結果、8日発行となりましたことをお詫び申し上げます。
IWJ編集部です。
イスラエルに続き、ハマスも、ガザ戦争を終結させ、残るすべての人質を解放するための新たな米国の計画に支持を示しました。
10月5日付『ハアレツ』は、10月6日に、イスラエルとハマスの代表団は、エジプトのシャルム・エル・シェイクで交渉加速を開始すると、次のように報じています。
「戦争開始から2年の前日となる月曜日(10月6日)、イスラエルとハマスの代表団は、エジプトのシャルム・エル・シェイクで交渉加速を開始する見通しだ。
目的は、48人の人質の解放と、戦闘終結の発表に向けた合意を取りつけることにある」。
※Israeli Team to Head to Egypt for Talks With Hamas on IDF Withdrawal Lines and Palestinian Prisoner Releases(ハアレツ、2025年10月5日)
https://www.haaretz.com/israel-news/2025-10-05/ty-article/.premium/israeli-team-to-head-to-egypt-for-talks-with-hamas-on-idf-pullback-and-prisoner-releases/00000199-b58f-d9d3-ab9b-f7df11680000
これは、9月29日、トランプ大統領とネタニヤフ首相が、米ホワイトハウスで会談しガザでの戦争終結について合意した、20項目からなる新たな和平計画を踏まえたものです。
和平計画の第一段階が、イスラエル人の人質解放です。
5日付『ハアレツ』によれば、このエジプトでの交渉には、ハマス側が、イスラエルが9月9日にカタールの首都ドーハにある建物を攻撃した際に、息子を亡くしたハマス高官ハリール・アル=ハイヤ氏の予定です。
イスラエル側代表団のトップは、戦略問題担当相であり人質交渉の責任者でもあるロン・ダーマー氏が務める予定です
さらに、同日付『ハアレツ』によれば、ネタニヤフ首相は、次に訪れるユダヤ教の祭り「スコット(仮庵の祭り)」(出エジプトの後、イスラエルの民が荒野で仮の住まい(スッカ/仮庵)で暮らしたことを記念する祭り)の期間中(10月13日の日没から、10月20日の日没まで)に人質を解放することを目指しているとも報じています。
※Israeli Team to Head to Egypt for Talks With Hamas on IDF Withdrawal Lines and Palestinian Prisoner Releases(ハアレツ、2025年10月5日)
https://www.haaretz.com/israel-news/2025-10-05/ty-article/.premium/israeli-team-to-head-to-egypt-for-talks-with-hamas-on-idf-pullback-and-prisoner-releases/00000199-b58f-d9d3-ab9b-f7df11680000
5日付『AP』は、ハマスの10月3日の声明をこう報じています。
「金曜日(10月3日)に出されたハマスの声明によると、ハマスは人質の解放および他のパレスチナ人への権力移譲を行う用意があると表明した。
しかし、計画のその他の部分については、パレスチナ人同士でさらなる協議が必要だとしている。
声明では、イスラエル側の主要な要求である『ハマスの武装解除』には一切言及していない。
また、声明は『政治的に独立したパレスチナの組織に権力を移譲する』というハマスの従来からの立場を改めて強調した」。
他方、イスラエル側は、こう述べています。
「イスラエル軍は土曜日(10月4日)、『国の指導者から米国案の第1段階(人質解放)に備えるよう指示を受けた』と発表した。
同日夜、ネタニヤフは『イスラエル軍は現在支配しているガザの地域を引き続き保持する』と述べ、ハマスの武装解除は計画の第2段階で実施されるとし、それは『外交的手段によるか、または我々による軍事的手段によるか、いずれかで行われる』と語った」。
※What to know after Hamas welcomes US peace plan for Gaza(AP、2025年10月5日)
https://apnews.com/article/gaza-israel-palestinians-hamas-war-explainer-d5c5057d2fe9e2e255215850b454f601
同日付『AP』は、米国とイスラエルが、ハマスとの間接交渉に臨む際の計画の要点をこう伝えています。
「計画の要点
すべての敵対行為は、即時に終了する。72時間以内に、ハマスは保持しているすべての人質(生存者・遺体の双方)を解放する。
武装組織ハマスは、依然として48人の人質を拘束しており、イスラエルはそのうち20人が生存しているとみている。
イスラエルは、自国の刑務所で終身刑に服しているパレスチナ人250人と、戦争開始以降にガザから拘束した1700人を釈放する。
その中には女性と子供全員が含まれる。また、イスラエルは引き渡される人質の遺体1体につき、パレスチナ人15人の遺体を返還する。
イスラエル軍は、ハマスが武装解除した後、ガザから撤退し、国際的な治安維持部隊が展開することになる。
この地域は、国際的な統治下に置かれ、トランプ米大統領とトニー・ブレア元英国首相がその監督を行う。
暫定的な行政は、パレスチナ人のテクノクラート(専門官僚)によって構成され、日常的な行政業務を担う。
ハマスは、ガザの統治には一切関与せず、その軍事インフラ(トンネルを含む)はすべて解体される。
平和的に生きることを誓う構成員には、恩赦が与えられる。
ガザを離れたい者には、退去が認められる。
パレスチナ人が、ガザから追放されることはない。
大量の人道支援が認められ、その運営は国連や赤新月社などの『中立的な国際機関』によって行われる」。
ガザは、誰であれ、生存していける環境ではありません。それが嫌なら出ていくのはどうぞ、追放はしませんけど、という非人道的な、よりはっきりいえば、外道の文言です。ここまで米国とイスラエルが人間性を失っているとは、信じがたいと言わざるをえません。
※What to know after Hamas welcomes US peace plan for Gaza(AP、2025年10月5日)
https://apnews.com/article/gaza-israel-palestinians-hamas-war-explainer-d5c5057d2fe9e2e255215850b454f601
実際、イスラエルの行動を見ると、トランプ大統領が、イスラエルに対してガザへの爆撃を停止するよう命じたにも関わらず、イスラエル軍による空爆はなおも続いています。
ネタニヤフ首相の率いるイスラエルのジェノサイドに対して、トランプ政権は、ストップをかけることも、コントロールすることもできないのか、あるいはトランプ政権自らも、こうした無差別空爆というイスラエルの暴力の継続に暗黙の同意を与えている「共犯」関係にあるのか、そのどちらかでしょう。
4日付『ガーディアン』は、こう伝えています。
「ガザの民間防衛機関は土曜日(4日)、トランプ氏の呼びかけにもかかわらず、イスラエルがガザ市への空爆と砲撃を数十回にわたって実施したと発表した。
『とても激しい夜だった。イスラエル軍は、トランプ大統領の爆撃停止の呼びかけにもかかわらず、ガザ市およびガザ地区の他の地域に対して数十回に及ぶ空爆と砲撃を行った』と、民間防衛当局の報道官マフムード・バッサル氏は『AFP』に語った。
彼によると、この攻撃で20軒の家屋が破壊されたとのことです。
ガザ市のバプテスト病院は、市内トゥッファ地区の住宅が攻撃を受け、死者4人と複数の負傷者が搬送されたと発表した。
また、ハーン・ユニスのナセル病院は、避難民キャンプ内のテントが無人機(ドローン)攻撃を受け、子ども2人が死亡、8人が負傷したと報告した」。
※Donald Trump orders Israel to ‘immediately’ stop bombing Gaza as Hamas agrees to free hostages(ガーディアン、2025年10月4日)
Donald Trump orders Israel to ‘immediately’ stop bombing Gaza as Hamas agrees to free hostages
そればかりではありません。
イスラエルは、餓死者が連日出ているといわれるガザへの人道援助の船を、力づくで止めているのです。
イスラエルによって経済封鎖を受け、飢餓が深刻になるガザに支援物資を届けるため、51隻の船舶からなるグローバル・スムード船団が、9月初めにスペイン・バルセロナを出航しました。
この船団が、ガザまであと数マイルの地点に到達したところで、イスラエル軍によって、乗組員が次々に拉致されています。
グルーバル・スムード船団の公式情報を発信するライアン・ローズビアーニー氏は、10月2日時点で、Xに拉致の現状をこうポストしています。
「速報、公式グローバル・スムード船団の船が拉致される
グランデ・ブルー号:乗員10名 ―8ヶ国出身
オタリア号:乗員6名 ―1ヶ国出身
ユララ号:乗員6名 ―6ヶ国出身
ディル・ヤッシン号:乗員24名―7ヶ国出身
ヒオ号: 9名 ―7ヶ国」。
※ライアン・ローズビアーニー氏のXへのポスト(2025年10月2日)
https://x.com/RyanRozbiani/status/1973598818701811829
その後も、船団の拿捕は続いているという情報が発信されています。
10月4日付のトルコ国営通信社『アナドル通信社』は、10月4日にイスラエル軍に拘束され、水も与えられず、暴行を受けたというイタリア人ジャーナリストのロレンツォ・アゴスティーノ氏の証言を伝えています。その証言の中で、スウェーデンの気候変動問題の活動家として世界的に知られるグレタ・トゥーンベリ氏も、イスラエル軍に虐待されていた事実を明らかにしています。
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■高市早苗・自民党新総裁について、岩上安身が『スプートニク』の取材を受け、「『まるで愛国者』のようなことを言っているが、対中戦争に関する発言を繰り返し、現実的な安全保障の理解に欠けている」と常々、『日刊IWJガイド』等で指摘している通りにコメント!『スプートニク』は、岩上が「必ず入れてほしい」と主張した、石橋湛山自民党第2代総裁についても、削らずに掲載! 海外メディアは、日本では人気と票を取るための有権者相手の公約は守らない政治家だらけ、と皮肉! 民主主義は公約を守ってこそ成り立つ! 骨抜き民主主義であることを見抜かれていることを恥じるべき!
自民党総裁選で、高市早苗氏が新総裁に選出されたことについて、『スプートニク日本』は10月5日、IWJ代表の岩上安身へのインタビューを、以下のように報じました。
「【『自民党総裁候補が小泉氏と高市氏しかいなかったのは日本にとって悲劇的』岩上安身氏】
自民党総裁選は、高市早苗前経済安保相が決選投票で小泉進次郎農水相を破り、新総裁に選ばれた。IWJ代表のフリージャーナリスト、岩上安身氏がスプートニクとのインタビューで今回の総裁選をめぐり見解を語った。
岩上氏の主なコメント
◆自民党総裁候補が事実上、小泉氏と高市氏の2人しかいなかったのは日本にとって不幸であり悲劇的なことである。
◆小泉氏はその『独特の言い回し』が物議を醸すなど、政治家としての資質に疑問があり、仮に総裁に選ばれていたとしても、短命政権だったと思う。
◆一方の高市氏は、テレビや新聞等で『まるで愛国者』のようなことを言っているが、対中戦争に関する発言を繰り返し、現実的な安全保障の理解に欠けている。仮に対中戦争をやるというのであれば戦争指導者になるわけで、『私は死ぬつもりだ』という特攻隊の覚悟ようなことを言っているようであれば、それは『私も死ぬ覚悟だから、国民みんな死ぬ覚悟になれ』と言っているようなものであり、危険で無責任だといえる。
◆『ウクライナがロシア弱体化戦略の鉄砲玉』となったように、日本が米国の戦略によって台湾有事や対中戦争に巻き込まれるようなことがあってはならない。日本はエネルギーや食料を輸入に依存しており、海上封鎖されれば生き残ることができない。日本の原発は海岸沿いに立地しており、攻撃を受ければ壊滅的な被害を避けられない。また、日本の石油備蓄基地は海岸の工業地帯に位置しており、そこを狙い撃ちされれば終わりだ。石油備蓄は6ヶ月分しかなく、地上の石油タンクを攻撃されればそれはすぐになくなる。
◆かつて自民党には、独立した視点と胆力を持つ政治家が存在した。例えば、第2代総裁の石橋湛山は、戦前はジャーナリストとして日本の植民地政策に反対し、戦後政界に転じてからは中国、ソ連、米国と対等な立場で和解するべきだと主張した。米国に正面から物申すことができた石橋湛山は大変な度胸の持ち主であり、『心臓大臣』と呼ばれた。現在の日本には、彼のような知性や洞察力を持った政治家が必要とされている」。
※Sputnik日本のXへの投稿(2025年10月5日)
https://x.com/sputnik_jp/status/1974567701168443759
同じくロシアのメディア、『RT』は、高市氏が新総裁に選出されたことを受けて、自民党所属議員へ向け、「全員に馬車馬のように働いてもらう。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と語った部分を取り上げて報じました。
※Japan on course to get first female prime minister(RT、2025年10月4日)
https://www.rt.com/news/625896-japan-takaichi-ruling-party/
『RT』は、「高市氏が、新首相になる可能性が高い」とした上で、中露への姿勢を以下のように報じています。
「高市氏は、常に党右派の立場をとり、中国に対する強硬姿勢と軍事費の増額を主張してきた。
彼女はまた、ウクライナ紛争に関してロシアを批判し、現在のモスクワ当局を、第2次世界大戦の平和条約交渉において、日本のパートナーとして認めるべきではないと主張している。
しかし、高市氏は自民党総裁選を前に『より穏健な保守派として見られたい』と述べ、姿勢を軟化させたようだ。また、北京を『重要な隣国』と呼び、2国間関係強化の必要性を強調した」。
この『RT』の報じ方からは、自民党総裁選で高市氏と争った小泉進次郎農水大臣の陣営が、支援者にネット動画への投稿を呼びかけた際の例文に、高市氏を念頭に「ビジネスエセ保守」などという文言があったことを想起させられます。
たしかに、高市氏の政治遍歴をふり返ると、一貫した政治理念をもっていないことがわかります。小沢一郎氏が自民党を割り、非自民党政権である細川政権を作って以降、自民党の権力が安定していない時代は「リベラルズ」に加わり、小沢氏が主導した新進党にも加わっていました。新進党から立候補して当選しておきながら、議員のまま、離党して自民党に合流し、清和会に加えてもらってはじめて、安倍晋三氏のマネをした「超保守主義者」に化け始めるのです。
その点で、小泉陣営の行ったステマ作戦は、卑劣ではありますが、「ビジネスエセ保守」という批判は、当たらずとも遠からず、です。
一方、米国メディアは、高市氏を「強硬派の超保守派で対中強硬派」「英国のマーガレット・サッチャー元首相の崇拝者であり、超保守主義の安倍晋三元総理の信奉者」だと報じています。
10月4日付『ポリティコ』は、高市氏が「日本の戦時中の軍国主義の象徴とみなされている靖国神社に定期的に参拝しており、これが日本とアジアの近隣諸国との関係を複雑にしかねない」と指摘しています。
靖国神社は、明治維新というクーデターを起こした勢力の中核である長州藩で作られた、敗者を祀らない、日本の伝統に根ざすことのない新興宗教のような神社です。
かつ、吉田松陰の教育を受けた「維新の志士」(敗れていれば、維新のテロリスト)らは、幕末から、アジア侵略の野望を、共通のイデオロギーとして抱いていました。関ヶ原の戦いで敗れ、豊臣方として外様(とざま)大名とされた毛利家を藩主とした長州藩は、徳川家への恨みを忘れず代々語り継いできた、とも言われます。
その執念深さゆえ、豊臣秀吉が、天下をとったあとに、狂気にとりつかれたかのように、明の征服を目的とした朝鮮出兵に乗り出し、挫折した歴史をも忘れていませんでした。
朝鮮との和平に尽くした徳川幕府の外交政策への反発と、かつて臣従した豊臣家の征服事業へのノスタルジアと、欧州列強と密通したクーデター支援と、外様扱いされてきた憎悪の執念深さが、招魂社という靖国神社の前身として、長州で作られた新神社に凝縮されているように感じられます。
自民党は、第3代総裁である岸信介から変質した、とこれまでも記してきましたが、第2代総裁だった石橋湛山は、「靖国神社廃止の議」という論説を、自身が社主をつとめていた『東洋経済』に、敗戦の昭和20年10月に発表しています。
それは、戦争で亡くなった将兵の死を悼みながらも、祀られていない死者がいる根本的な欠陥を指摘した上で、「何時までも、この戦争に怨みを抱くが如き心懸けでは駄目だ」と述べ、この靖国神社を廃止することを主張しました。
※歴史資料「靖国神社廃止の議」「靖国神社廃止の議」――難きを忍んで敢えて提言す-――石橋 湛山 昭和20年10月13日号「社論」
https://alter-magazine.jp/index.php?%E3%80%8C%E9%9D%96%E5%9B%BD%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E5%BB%83%E6%AD%A2%E3%81%AE%E8%AD%B0%E3%80%8D
先に引用した『ポリティコ』は、以下のように続けます。
「(国会での首班指名の)当選者(新総理)は、間もなく外交上の試練に直面することになる。ドナルド・トランプ米大統領との首脳会談の可能性もあり、トランプ大統領は日本に防衛費増額を求める可能性がある。
首脳会談は、10月下旬に予定されていると報じられている。トランプ大統領は、10月31日から韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する予定だ。
高市氏は、日米同盟の確保が外交の最重要課題だと述べた。
『日米同盟の強化を確認することが不可欠です』と彼女は述べた。高市氏は、韓国、オーストラリア、フィリピンといった地域のパートナーも含めた三者間の枠組みを通じた協力の重要性を強調し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて日本がより大きな役割を果たすことを誓った」。
要するに、高市氏は対米従属を続け、東アジア諸国相手には不和の種を不断にまき、国債をさらに発行して、米国製の兵器を買って、トランプ大統領の機嫌をとるだろうと、米国のメディアからも見られているということです。
※Japan’s ruling party elects Sanae Takaichi as new leader, likely to become first female PM(POLITICO、2025年10月4日)
https://www.politico.com/news/2025/10/04/japan-takaichi-prime-minister-00594260
『ニューヨーク・タイムズ』は、「彼女の(自民党総裁選での)勝利は、賃金の停滞、物価上昇、外国人労働者や観光客の流入を懸念する有権者の間で、反体制派政治家が近年支持を伸ばしている日本において、右傾化の兆しとなる可能性がある」と、以下のように報じています。
「自民党の苦境は、『日本人ファースト』を掲げて近年勢力を伸ばしているポピュリスト政党に活路を開いた。彼女(高市氏)の当選は、日本における右翼思想の人気の高まりを象徴していると言えるかもしれない」。
※Japan Is Set for Its First Female Prime Minister(The New York Times、2025年10月4日)
https://www.nytimes.com/2025/10/04/world/asia/japan-female-leader.html
さらにこの『ニューヨーク・タイムズ』は、石破政権がまとめた日米貿易交渉について、次のように報じています。
「高市氏は、日本をはじめとするアジアの同盟国に関税を課しているトランプ政権に対し、より強硬な姿勢を取る可能性を示唆している。
総裁選挙期間中、米国との最近の貿易協定の再交渉を『検討する』と表明したのは高市氏のみだったが、土曜日の記者会見では、『協定の維持に尽力する』と述べた」。
国内向けには、日本の国富を奪い尽くす米トランプ政権に強気な姿勢を示しておきながら、総理大臣の座が目前になると、トランプ大統領のご機嫌を取りにゆく、ということでしょう。高市政権は、トランプ大統領の要求を丸飲みする可能性さえあります。
高市氏がこれまで敵視してきた中国の外務省は、「これは日本の内政問題である」とした上で、「日本側が中日間の4つの政治文書(1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明)に示された原則とコンセンサスを遵守し、歴史問題や台湾問題といった主要問題における政治的コミットメントを尊重し、積極的かつ合理的な対中政策を取り、戦略的互恵関係を全面的に推進するという立場を実践することを期待する」と表明しました。
この中国外務省のコメントを報じた、中国『環球時報』の英語版『グローバル・タイムズ』は、「石破茂氏が総理に就任して以降、日中関係は回復の兆しを見せ、双方が幅広い関与へと歩みを進めている」とした上で、高市氏が総理に就任した場合の対中政治姿勢について、識者のコメントを引用して、次のように論じています。
「日本の政治では、指導者が就任後に姿勢を調整することがよくある。高市氏も政権を握れば、アプローチが変化する可能性がある。
彼女の進路を予測するのは時期尚早だが、日本の指導者は国際情勢を慎重に検討せざるを得ず、中国との関係は依然として日本の戦略的利益の中心であり続けるだろう」。
※Takaichi wins vote to become first female president of LDP; China hopes Japan to honor commitments on history, Taiwan question, says FM(Global Times、2025年10月4日)
https://www.globaltimes.cn/page/202510/1344977.shtml
退陣の決まっている石破茂総理は、その著書『保守政治家~わが政策、わが天命』(講談社、2024年8月)の中、第5章「保守とはリベラルのことである」の中で、「保守リベラルと言えば、真っ先に浮かぶのは石橋湛山でしょう」と書き、「『保守主義の本質は思想ではなく寛容である』ことを説き、『小日本主義』を唱えた気骨のリベラリスト、石橋湛山に学ぶべきことは多いと思います」と続けています。
石橋湛山は病を得て、65日の短命政権に終わりました。石破政権も長期政権とはなりませんでしたが、湛山は、政治家になる前にも、総理の座を辞した後も、勇敢な言論活動と、果敢な政治外交活動をやめることがありませんでした。
石破氏は、シャイなのか、奥ゆかしいのか、胸に秘めたものをはっきりと明確な言葉で主張するのをためらうところがあり、その思うところが世間に伝わらなかった感があります。
総理総裁をやめたあとには、もっとはっきりと、「湛山が病を得たことで政権は65日しか続かず、その後岸信介政権になり、日米安保改定という流れになってゆくわけですが、湛山政権が続いていれば日中関係を含め、全く違う日本が出現したのかもしれません」という、さらっと読み流してしまいそうなこの一文をより深く、より強く、慶應ボーイらしからぬ泥臭さで、人々に説いてゆく「使命」があるのではないかと思われます。
■第16期に入り、3ヶ月目の10月になりました! しかし8月、9月のご寄付・カンパは、月間目標額の16%、14%にとどまり、財政的にとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていくことの困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!
9月は1日から30日までの30日間で、50件、48万5070円のご寄付・カンパをいただいています。これは、月間目標額350万円の14%にあたります。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。しかし、目標額の86%、301万4930円が不足することとなりました。第16期が始まって、2ヶ月間、1~2割程度しか、ご寄付が集まっていない、厳しい状況です。
10月は、1日から6日までの6日間で、13件、10万3000円のご寄付・カンパをいただきました。これは、月間目標額350万円の3%にあたります。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。
私がIWJをスタートさせたのは、今から15年前の2010年でした。
IWJをスタートさせてきてからのこの15年間、あるいはそれ以前から、私、岩上安身は、機会があるごとに米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に、絶えず警鐘を鳴らしてきました。
自民党の新総裁が、中国との戦争の話を絶えず繰り返し、「米軍が中国軍の矢面に立つのではなく、まず日本が正面に立つ」などということまで言い出している高市早苗氏に決まって、その懸念が、今、まさに現実になりつつあるのを痛感しています。
東西冷戦の終わりによって、世界大戦の危機は遠ざかったと安堵して、約35年が経ちますが、現在、最も戦争の危機が近づいていると感じられます。
ドイツのベルリンの壁が崩壊して、東西冷戦構造が少なくとも欧州では終わったのが10989年。米ソ全面核戦争の危機が去った、というだけで、世界は一時的な多幸感に包まれていました。
その際、ソ連共産党と、ソ連邦の解体を見て、政治が先に解体し、経済が後回しにされると、米国主導のグローバル資本の餌食になると、見抜いていたのが中国でした。
中国はソ連とは逆に、経済を開放して、市場経済を取り入れ、逆に政治の統制は変えませんでした。
その結果、あの貧しかった中国が、米国や日本の直接投資や台湾からの迂回投資を受け入れて、またたく間に成長し、今や購買力平価では、中国のGDPは米国を抜き去って1位の38,154,219百万USドルで、2位米国の29,184,900百万USドルを大きく引き離しています。
しかも、中国経済の成長率は、過去よりも鈍化した、とはいえ、今なお、西側諸国より高い成長を続け、中国と米国の経済力の差は今もなお開き続けています。
国力の差の拡大は、軍事力に直結します。第2次大戦後の、パックスアメリカーナ(米国の覇権のもとの平和)を大きく揺るがし、米国の焦りを呼んで、中国やロシアを敵視することが、もはや米国の国是となってしまっています。
太平洋をはさんで、米国と、ロシア(ソ連)、中国、という核超大国にはさまれている日本としては、この経済的な国力の差と、資源をもたない宿命、そして地政学的現実を、ありのまま認めて、その地政学的運命に不自然に逆らわずに、欧米だろうが、グローバルサウスだろうが、全方位の平和外交を推し進めてゆくべきであるはずです。
歴史をふり返ってみましょう。
日本は、外征にはめっぽう弱い国です。戦術だけはあっても、戦略がなくて、目先のことしか考えられず、常に敗れ続けています。
歴史的には、日本は3度の、国の存続にかかわるような大きな外征と、敗北を経験しています。
まず、古代では、7世紀の663年に、朝鮮半島を戦場として、当時の日本(倭国)にとって特別な同盟国であり、親戚のような国でもあった百済(くだら)を救援するため、現代でいう「集団的安全保障」を発動し、唐と新羅(しらぎ)の連合軍と、白村江で東アジアでの準世界大戦ともいうべき戦いを行い、大敗を喫しました。
その次が、豊臣秀吉の明の征服を目的とした朝鮮出兵です。
これも明を征服するどころか、秀吉が通り道くらいに考えていた朝鮮で激しい抵抗にあい、大軍を2度、繰り出しても、戦争目的を達成できませんでした。
そして明治維新というクーデターによって誕生した「大日本帝国」によるアジア侵略と、米英とソ連までも敵に回しての戦争と、完全な敗北です。
この3度の戦争は、日本の帝国主義的拡大と外征によるものです。日本は、一度、帝国の野心的な狂気にとりつかれると、まったく、彼我の現実的な力の差が見えなくなってしまいます。そして、その直後に、自国内のそれまでの体制がひっくり返る手痛い経験をしてきたのです。
日本は、古代から現代に至るまで繰り返してきた、この外征の失敗に学ぶべきです。
他方で、日本は、理不尽な侵略に対して防御することには、成功してきています。蒙古の侵略に対しても、抗戦能力をもった鎌倉武士団が活躍し、上陸も侵略も許しませんでした。
同じく、811年から935年まで続いた、新羅の数次に渡る入寇も、1019年の刀伊(とい=女真族)の入寇も防ぎました。
ついでにいえば、蝦夷(北海道)を侵略してきた蒙古も、アイヌは北の地を守り抜きました。
ただ、こうした水際で上陸を食い止める「専守防衛」戦の成功に恵まれてきたのにその歴史から学ぶことなく、明治国家の出発点から近隣諸国に対する侵略を始めてしまい、エスカレートしたあげく、日本は国力の差がありすぎて、勝つ見込みのまったくない対英米戦争へと踏みきってしまいました。
その結果、古代から近代まで何とか保ってきた独立を失うことになりました。
第2次大戦の大敗後、日本は、米軍による占領の継続を許してしまい、いまだに米軍が日本列島に居座り続けていることに、日本政府も日本国民も、疑問も問題意識も持たなくなってしまっています。
日米安保条約は、日本を守るも、守らないのも、米国の都合次第でどうにでもできるものであり、それはウクライナ紛争における米国の態度を見ていれば、明白です。
ところが、日本は米国に組み敷かれているこの状況を、ストックホルム症候群のように、「異常」とも思わなくなっています。自立を許さず、核攻撃を2発も食らわしたDV男の如き米国からの、「俺が守ってやる」という言葉を信じ込み、共依存関係に陥ってしまっています。しかも、米国の国力が相対的に衰退し、パックスアメリカーナが危うくなればなるほど、米国に頼るしかないんだ、「日米同盟基軸」しかないんだ、あとは、頼れる友好国も、同盟国もいないんだ、などという、自立志向からさらに自ら遠ざかる方向へと逃避していっている有様です。
日本国民の中には危機感を覚えている人はもちろんいますが、政党には、右も左も、危機感がまるでありません。米国の「飼い犬」になっている支配的エリートと、マスメディアの80年にわたる「洗脳」の凄さを思い知らされます。
「戦後」が遠ざかり、新たな「戦前」の危険性が近づいてくるに従い、また、米国の一極覇権が崩れてゆくにつれて、日本はかえって米国にしがみつき、米国は日本を軍事的な道具として利用しようとする、危険な傾向が強まっています。
ウクライナを「道具」として使ったロシアの弱体化戦略と、台湾や日本を「道具」として用いての中国の弱体化戦略は、パラレルに米国内で進められてきた戦略です。
もはや『前夜』などではなく、今まさに波濤が砕けるような時が来ていることに、身震いする思いがいたします。
少数与党の自民党は、当然のことながら、公明党だけでなく、他党と連立を組む必要がありますが、維新や、国民民主党は、改憲による緊急事態条項の導入に賛成なので、連立内閣とはいっても、緊急事態条項導入を含む憲法の改悪が、実現に向かって進んでいってしまいます。
緊急事態条項が憲法に加えられ、実際に発布されれば、議会制民主主義は完全にフリーズします。選挙も延々と延期、立法府は機能せず、法律の代わりに、内閣が一方的に政令を出して、国民はそれに問答無用で従わなければならなくなります。国民は、主権者ではなくなってしまうのです!
これはファシズムそのものであり、しかも自民党案では、その解除や出口は定められていません。「どこの国にも、国家緊急権の条項はある」などとうそぶく輩もいますが、日本のずさんきわまりない緊急事態条項案は、各国の戒厳令とは、その本質からしてまったく違います。
何より第2次大戦中の「大日本帝国」であっても、帝国議会は開かれていました。
大政翼賛会による全体主義に覆われていても、大政翼賛会の推薦を受けずに無所属で立候補して当選する人物もいました。
そうした人物のひとりが、安倍寛(かん)氏です。元外務大臣の安倍晋太郎氏の父であり、安倍晋三元総理にとっては、父方の祖父にあたります。
安倍元総理の母方の祖父の岸信介氏とは正反対の立場に立ち、戦時中、戦争反対を叫ぼうものなら「非国民」扱いされる時代に、「戦争反対」「金権不敗政治反対」「東條内閣退陣」まで訴えて、それでも当選して国会議員となった人物でした。
軍国主義まっただ中の日本でも、このような人物が当選することができたのです。
しかし、今度の緊急事態条項が通れば、そもそも選挙も開かれず、国会も空洞化するのですから、ありえない話になります。
自民党が用意している緊急事態条項による内閣独裁とは、結局のところ、戦時体制であり、国民総動員体制です。戦争に突入しても、反対もできませんし、今のウクライナのように、負けがこんで、国民の大半が嫌気がさしていても、止めることができません。戦費調達のための増税、人権の制約、徴兵、戦時国債の強制、何から何まで、内閣が出す政令一つで決まりますし、逆らう手段はすべて禁じられます。
しかも、戦時となれば、日本の内閣の上には、その上位の権力として、日米安保条約と地位協定のもと、米軍の権力が存在します。解釈改憲によって、集団的自衛権が認められてしまい、米国の戦争はイコール日本の戦争になってしまいました。
しかも戦時の指揮権を、日本は早々に米国に明け渡してしまっています。この指揮権を米軍が握るということと、日本の民主主義を殺す緊急事態条項は、表裏一体のものとして考えるべきです。
しかも、米軍自らは、ウクライナ紛争を見ていればわかる通り、自軍は手を引いて、同盟国なり、手下となる国々に血を流させます。自衛隊に対する指揮権を握ったまま、後方に下がって、日本の自衛隊だけが前面に押し出されるのです。
日本は中国と、その同盟国のロシア、北朝鮮、下手をすると、中露と急接近したインドまでも敵に回してしまいます。これら4ヶ国はすべて核保有国であり、戦う前からすでに敗北しているようなものです。
非核保有国は、通常戦争のどこかの局面で、一時的に有利に立っても、それ以上、核保有国を攻めて、降伏させることも、和睦に持ち込むこともできません。第2次大戦までと、核兵器の登場以降、戦争のルールは、根本的に変わったのです。
ウクライナ戦争でも、NATOに全面バックアップされたウクライナ軍が、ごく一時的に、優位に立った局面がありましたが、ロシアが戦術核を使ったら、という懸念によって、ウクライナ軍も、ドイツのヴィースバーデン基地内の、米軍の将官も、立ち止まらざるを得ませんでした。
非核保有国は、核保有国を相手にした場合、通常兵器の戦争で優位に立っていたとしても、それ以上、踏み込めなくなるのです。この現実をIWJは『IWJ号外』にて報じているので、以下、御覧になってください。
※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第1回)ウクライナ紛争は、2022年4月から、ドイツのヴィースバーデンの米陸軍基地「クレイ・カザーン」が総司令部だった! 2025.9.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529182
※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第2回)米軍ドナヒュー中将「ロシアを倒せば、君達(ウクライナ軍)を青(NATO軍)にしてやろう」と言った! 2025.9.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529230
※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第3回) 2025.9.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529247
※【IWJ号外】『ニューヨーク・タイムズ』の「ウクライナ戦争における米国関与の秘史」(第4回)日本のメディアは、米国とウクライナ軍との間のヴィースバーデン体制が存在したことすら知らぬ、存ぜぬ! 2025.9.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529260
日本は、自前のエネルギー資源もなく、食料自給率も低い島国であり、海上封鎖されれば、通常兵器での戦闘など、物理的に続けられません。
では、日本も核武装すればいいではないか、プルトニウムの蓄積はあるし、技術もあるのだし、「短期間で核兵器はもてる」などという、口だけ勇ましいことを言う保守・右派の政治家もいました。
しかし、6月に勃発したイラン・イスラエル間の「12日間戦争」のように、核濃縮の可能性があるというだけで、イスラエルは、イランの核施設を爆撃し、さらに米国も、バンカーバスターでダメ押しするように核施設を攻撃しました。
国際法に違反する軍事攻撃ですが、誰も非難できず、国際社会の誰も食い止められません。
こうした先例が、できあがってしまったのですから、日本が、プルトニウムを利用して、核兵器を作り始めた、とわかったら、それが事実でも、事実でなくても、日本にとっての「敵国」から、日本の核施設が攻撃されることは避けられないでしょう。
核施設への攻撃というタブーも、もうなくなってしまったのです。
また、日本は、核自爆施設ともいうべき、原発を海岸線にずらりと並べていて、ミサイルなどの軍事的攻撃に対する防御は、何もしていません。各原発を守るミサイル防衛システムも、配備されていません。
たとえあったとしても、ウクライナ戦争、そしてイラン・イスラエル戦争で証明されたように、囮(おとり)のドローンと、通常速度のミサイルの飽和攻撃により、迎撃ミサイルを撃ちつくしてしまえば、その後に極超音速ミサイルを撃ち込まれればお手上げです。
極超音速ミサイルは、ロシア、中国、そしてイランも保有していますが、米国やイスラエルは保有していません。米国はまだ、共同開発を日本に持ちかけているところです。
原発と同じく海岸線にむき出しに立っている、6ヶ月分しかない石油備蓄タンクも、軍事的標的として狙われる可能性があります。日本はエネルギーを一挙に失います。海上封鎖されれば、エネルギー資源はまったく入ってきません。戦争遂行どころか、産業活動も、物流も、日常生活も、すべて止まります。
しかも通常弾でも、原発を攻撃されれば、核攻撃を受けたと同様の放射性物質が大量かつ広域に拡散し、「不沈空母」どころか「死の列島」と化します。
海上封鎖されている時、日本人には、ウクライナ国民のように、陸続きで難民として逃げる道も残されていません。
しかし、そんな危機感は、自民党の新総裁となった高市氏からは感じとれません。
中国に対して、日本が戦争してわたりあえるかのような発言ばかり口にしているのを見ると、寒気がしてきます。
公平を期すために言っておけば、保守・中道・リベラルのどの政党であっても、正面から、自民党の米国頼みの安全保障政策に対し、対案を提示する党はありません。
最大野党の立憲民主党は、創設者の枝野幸男氏自ら、「日米同盟基軸」と立党の時から今に至るまで言っていて、思考停止したままです。
個々の党員の中には、現実に学んでいる政治家もいるでしょうが、そうした人が積極的に表に出てきて発言し、世論を変えようとしている気配はありません。
国難は避けられない、としても、大難を小難にとどめることはできるはずです。日本が対米自立を果たし、「敵国」ばかりになっている周辺国と和解して、各国と平和条約を結び、「敵」と戦うのではなく、「敵」と和解して、「敵」を消し去ることができるかどうか。
対米自立と、周辺国との自力での平和構築に失敗すれば、日本は、大きな試練に直面します。平和の上にしか、国家としての繁栄も、国民としての日々の穏やかな暮らしも、築くことができません。
間に合うでしょうか。懸念は尽きません。
肝心なことは、前向きな希望を信じる力が残っているかどうかではないかと思います。
厳しい経営の続くIWJの行方も、その希望をもてるかどうか次第だと思います。
IWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。
困難は、迫ってきています。向こう10年以内が、東アジアにおいて、日本が、「代理戦争」の駒として使われてしまうかどうかの正念場です! そうした事態は、絶対に回避しなければなりません。
今期16期もIWJは、日本だけでなく、西側に広がるプロパガンダにのみこまれず、真実をお伝えしていきたいと思います!
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岩上安身 拝
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9月は30日間で、50件、48万5070円のご寄付・カンパをいただきました。ご寄付をくださった皆様、本当にありがとうございます。
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◆中継番組表◆
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IWJ記者が「『mRNAワクチンの接種中止と市場回収』を行う必要があるとは考えていない」という福岡大臣の答弁の科学的な根拠を追及するも、「一律の基準は設定していないが、その時点で得られている情報や科学的知見にもとづいて、安全性を継続的に確認している」と繰り返すのみ!!~10.3 福岡資麿 厚生労働大臣 定例会見 2025.10.3
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【IWJ号外】自民党総裁選直前スペシャル!(その1)10月4日の自民党総裁選は戦争指導者を選ぶ選挙となる可能性がある! 小泉氏も高市氏も対中戦争をしない方向へは行かない! 2025.10.3
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「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 貿易政策と安全保障政策の融合!? 逆に米国と同盟国に、経済破綻と社会崩壊の危機が迫る!? 岩上安身によるインタビュー第1188回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第1弾 2025.5.2
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40年間続いた米国債の価格上昇が、下落へ! 世界一米国債を保有する日本には、巨大な含み損が発生! 米国債務は対GDP比100%を超え、利払い費だけで、米防衛費を超過!「アメリカの、世界に対する覇権を支えている財政システムが、大変動を起こしている」! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 前編 2025.6.8
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ハミッド・ダバシ氏が指摘「ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した」!「ガザ攻撃における植民地主義の視点」~岩上安身によるインタビュー第1145回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2024.2.7
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「イスラエルがどんな戦争犯罪、人道に対する罪を行っても一度も裁かれなかった。こういう国際社会の『伝統』がジェノサイドを可能にしている」!!~岩上安身によるインタビュー第1144回 ゲスト 早稲田大学文学学術院教授・京都大学名誉教授・岡真理氏 2024.2.2
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イスラエルがパレスチナ・ガザ地区に対して行なっているのは「民族浄化」! イスラエルによる「報復」でもなければ、ハマスとの戦争でもない!~岩上安身によるインタビュー第1138回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2023.11.13
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「絶望」に突き動かされたハマスがイスラエルを急襲! イスラエルは、「報復」の名のもとに「民族浄化」を開始! パレスチナ人の「完全追放」まで至るのか!?「第2のナクバ」に~岩上安身によるインタビュー第1137回 ゲスト 放送大学名誉教授 高橋和夫氏 2023.11.9
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対等な者同士の「ハマス・イスラエル戦争」ではない!「植民地主義とそれへの抵抗であるという基本的な視点が必要」~岩上安身によるインタビュー第1136回 ゲスト 東京大学名誉教授 板垣雄三氏 2023.11.2
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