「日本人協力者は、私たちの論文に名前が載ることを嫌う」 ~ティモシー・ムソー講演会 「福島における動植物の変異とチェルノブイリとの比較」 2013.7.29

記事公開日:2013.7.29取材地: テキスト 動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 「高濃度汚染地域である浪江町、双葉町などでは、営巣中のツバメの巣の割合は10%ほどだったのに対し、汚染度合いが低い南相馬市などでは、50%程度が営巣中だった」──。

 2013年7月29日(月)13時30分から、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で行われた講演会で、生物学者のティモシー・ムソー氏はこう述べて、福島の放射能汚染の深刻さを、生態学の観点から指摘した。

■ハイライト

  • 講師 ティモシー・ムソー氏(サウスカロライナ大学教授)
  • コメンテーター 岡山博医師(仙台赤十字病院呼吸器科、東北大学臨床教授)、吉澤正巳氏(浪江町「希望の牧場」代表)
  • 主催 7・29実行委員会、春を呼ぶフォーラム(告知

 「この3月にニューヨークで、『福島原発事故の医学的・生態学的影響』という国際シンポジウムが開かれ、世界の著名な学者たちが集まった。その中にムソー氏がいた。ボランティアとして運営に参加していた私は、ムソー氏のスピーチを聞き終わるとすぐに、彼に日本での講演を依頼した。その場で快諾が得られた」。この講演会の主催者、春を呼ぶフォーラムの川井和子代表は、ムソー氏が日本で講演を行うに至った経緯について、このように説明した。

 この日、ムソー氏は、川田龍平氏(参議院議員)、山本太郎氏(同)の挨拶に続いて登壇。2000年から、チェルノブイリの生物の調査研究を続けている自分たちのグループについて、「私たちは、どの組織にも属さない生物学者の集団。反原発の活動家の集まりではない」と強調した。

 そして、研究の対象が、鳥、昆虫、微生物、植物であることを伝え、「私たちの主たる関心は、突然変異率の上昇の適応と影響を実証することにある。これまでに発表した約50本の学術論文は、ウェブサイトで閲覧できる」と説明した。その上で、「研究には、仮説と課題の設定が必要」と述べ、「突然変異率は、計測可能なレベルで上昇するのか。変異率の上昇で引き起こされるはずの、先天・発育異常などは観察されるのか。固体数と生物多様性に影響はあるのか。こういった視点で研究を進めてきた」と語った。

 「(2011年7月から)福島でも調査を行っており、チェルノブイリの調査研究の成果に重なる部分がある」と指摘したムソー氏は、対象生物の多くに、被曝レベルに正比例した、1. 奇形・発育異常率の上昇、2. 生殖率の低下、3. 寿命の短縮、4. 個体群の規模縮小、5. 突然変位の世代間継承(可能性)、などが認められると報告した。そして、毛色の白化や腫瘍など、体に異常が生じたツバメの写真をスクリーンに映し出した。

関連記事


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です