鳩山由紀夫講演会「今語る!『県外移設』の真実」 2013.2.20

記事公開日:2013.2.20取材地: テキスト動画
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(IWJ・阿部)

 2013年2月20日(水)18時30分から、沖縄県宜野湾市の宜野湾市民会館で、鳩山由紀夫講演会「今語る!『県外移設』の真実」が行われた。講演では、昨年12月に政界を引退した鳩山由紀夫元首相が、外交政策などをテーマに、自身の考えについて語った。鳩山元首相は、米軍の普天間飛行場の移設問題について、「最低でも県外」という自身の発言を実現できなかったことを沖縄県民に謝罪。しかし、その一方で「申し上げたこと自体は、今でも間違っていなかった」と強調し、県外移設を断念するに至った内幕を明かした。

■全編動画 1/2(18:22~ 2時間6分) 7分20秒~講演会開始

■屋良朝博氏へのインタビュー

  • 第1部 鳩山由紀夫講演会
  • 第2部 鼎談 鳩山由紀夫元首相、屋良朝博氏(フリーランスライター)、高野孟氏
  • 日時 2013年2月20日(水)18:30~
  • 場所 宜野湾市民会館(沖縄県宜野湾市)
  • 主催 講演会実行委員会・事務局「県議会会派県民ネット」

 「普天間の移設問題で、『最低でも県外』と言ったにもかかわらず、現実にすることができませんでした。大変申し訳なく思っています」という謝罪の言葉で始まった鳩山元首相の講演会は、基地問題についての話をはじめ、外交政策やオスプレイの問題、そして自身が計画している東アジア共同体に関する研究所についてなど、多岐に及ぶ話題が展開された。

 鳩山元首相は、基地移設を実現できなかったことを謝罪しつつも、自身の提案は間違っていなかったと強調し、以前から唱えてきた「友愛」という言葉を使って、次のように語った。「友愛とは、違っていることをお互いに尊重しながら、人生を楽しみ、幸せに導いていくという考え方。国と国が違っていて何がいけないのですか」。その上で、「現在の政権は、強い日本を作ることに固執している」と安倍政権に疑問を投げかけ、「それよりも温かい日本作りを標榜すべきではないか」と主張した。

 そして、鳩山元首相は、その実現を阻む障害として、「財政における官僚への依存心」と「外交における米国への依存心」の2点を挙げ、これらから脱却しない限り、「日本が真に独立することはできない」との認識を示した。また、鳩山由紀夫内閣が実施した事業仕分けが、官僚政治からの脱却に一定の効果があったとする一方で、在米軍基地の見直しが実現できなかったことで、脱米国依存への足がかりを築けなかったと、当時を振り返った。

 政治職を辞した今なお、米軍基地移設が日本にとっての最重要課題だと訴える鳩山元首相は、米国ではなく、東アジアと向き合うことを提言した。具体的には、東アジアの中で、EU(欧州連合)のような地域統合体を作り上げるヴィジョンを描いており、その準備のひとつとして、都内と沖縄に東アジア共同体構想実現に向けた研究所を開設すると発表した。

 次に、オスプレイ問題に話が及ぶと、「安全が証明され、騒音問題もないということなら、まだわかるが、今のままでは無理」と配備反対の意向を示した上で、「問題は、沖縄県内すべての市町村が反対の意思を示している一方で、沖縄以外の都道府県議会では、オスプレイ配備反対の決議が、すべて否決されたこと。そこに沖縄と他県とのギャップを感じる。これは、まさに差別意識と言うべきで、普天間基地の移設問題も、日米の安全保障上、外交上の問題というよりも、国内における差別問題だと捉えなければ、解決できない」と訴えた。

 第2部の鼎談では、屋良氏から「民主党は一貫して自主自立の政策を掲げてきたが、政権を取ると、なぜ変わってしまったのか」と問われ、鳩山元首相は「与党になると、アメリカの意向を斟酌する外務省や防衛省からの圧力を受けて、多くの人たちは既得権益側に取り込まれてしまう」と話した。また、高野氏は「官僚体制を糾すべきマスコミが、逆にアメリカのジャパンハンドラーの一部になってしまっている」と、日本のメディアの姿勢を批判した。

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「鳩山由紀夫講演会「今語る!『県外移設』の真実」」への4件のフィードバック

  1. @megumegu1085さん(ツイッターのご意見より) より:

    同意→「国と国が違っていて何がいけないのですか?強い日本を作ることに固執している安倍政権は、それよりも温かい日本作りを標榜すべきではないか」と主張。

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見より) より:

    「与党になると、アメリカの意向を斟酌する外務省や防衛省からの圧力を受けて、多くの人たちは既得権益側に取り込まれてしまう」←民主党変節の理由はこの一言に尽きる。

  3. @gakyonさん(ツイッターのご意見より) より:

    やはり、今聞き返しても鳩山さんの誠実が胸を打つ。只、悲しいかな政治家には向いてない。小沢さんさえ嵌められなかったら、、

  4. 清沢満之 より:

    2012/07/18 鳩山由紀夫元首相が岩上安身のインタビューで「対米従属」官僚の全貌を激白「官僚は自分たちのやりたいことをやってくれればどんな政権でもいい」
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/23153
    2015/03/23 米国に”依存し過ぎている”日本の現実~ウクライナ危機、辺野古新基地建設、北方領土、TPP…クリミアを電撃訪問した鳩山由紀夫元総理に岩上安身が聞く
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/240251

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