2023年8月17日、午後6時30分より、東京都杉並区の荻窪地域区民センターにて、阿佐ヶ谷市民講座「マイナンバー制度 その本当の狙いとは何か? 隠された危険な本質を暴く!」が開催され、プライバシー・アクション代表の白石孝氏が登壇し、この制度の本当の狙いと、その危険性について、講義をおこなった。
白石氏は、講義の冒頭、まず、マイナンバー制度をめぐる問題点を以下のとおり整理した。
白石氏「今日はですね、中身でいうと、3部構成ぐらいになるかなと思っているんですね、
1つ目がここにも書きましたけど、マイナンバー制度の基本の話です。意外とその基本理解ができていないんですよね。テレビのモーニングショーとかワイドショーとかでいろんなコメンテーターが出てきますよね。
その方々のどのぐらいの方が、このマイナンバー制度の理解ができているのか、正直言って、コメントを聞いていて、『怪しいぞ』って思うことが結構あるんですよね。これで出演料・ギャラいただいてんだったら、私を呼べば、もっと安いギャラで、ちゃんと正しい答えを言うのに、というふうに思うんですけれども。それが1つ。
で、2つ目が、6月の国会でマイナンバー法の大幅な改正が行われたんですよね。で、その改正法を中心として、最初のマイナンバー制度か、だんだんだんだん発展していく、発展というか、要するに、私たちから見ると、良くない方に拡張していく傾向になっているので、そのことを中心にお話をしたい。
それから、3点目がいわゆるマイナ保険証、もうメタメタの状態ですけれども、このマイナ保険証の内容について、お話をさせていただくということで、一応、3部構成で考えています」。
白石氏は、マイナンバー制度を理解するには、「番号」と「カード」の違いを理解することが重要だとし、次のように説明した。
白石氏「『番号』は、住民登録制度とイコールで、『カード』は任意取得。これが基本なんですけれども、ちょっと私の汚い字で説明をしたいと思うんですけれども、これが日本のマイナンバー制度の形(ホワイトボードを使って説明[全編動画参照])なんですよね。で、世界的に見ると、これが標準ではないということをまずご理解いただきたいんです。
テレビのコメントデータが、『マイナンバー制度はもう世界で普及をしている』と、で、『日本は遅れてるから早く追いつかなきゃっ』て、真っ赤な嘘なんですよ」。
さらに、白石氏は、ランサムウェア(※)の問題などを例にあげ、政府が目指すマイナンバー制度の一番大きな、かつ根本的な問題点を次のように指摘した。
※マルウェアの一種。これに感染したコンピュータは、利用者のシステムへのアクセスを制限する。この制限を解除するため、マルウェアの作者が被害者に身代金(ransom、ランサム)を支払うよう要求する。(ウィキペディアより)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2
白石氏「いずれにしても、個人情報と国家が持っている個人情報というのは、これは国家防衛レベルの話なんですよね。そういうことも日本はほとんど危機意識を持っていない。
有名なのは、徳島県の半田病院というところと、大阪の急性期・総合医療センターから、それは大体的に報道されたんだけども、受付からカルテのシステム全部を、ハッカーが人質にとって身代金を要求するっていう、そういうのを『ランサムウェア被害』というんですよね。
公表されているのは、その2つぐらいで、あんまり大した数じゃないよねと思ったんだけど、保険医協会さんが調べたら、2021年からの2年半で、17件、そのうち半分以上公表してないんですよ。実はもう受付システムが抑えられちゃったとか、それから、もうデータが復元できないっていうところもあるんですよね。
そうすると、病院機能が止まっちゃうわけですよね。その大阪急性期も半田病院もそうですよね。受付もできない。それから、手術もできないという状況になったわけですよね。こういう攻撃がどんどんどんどん行われることに対して、じゃあどうするかというと、セキュリティーレベルを上げたり、それから、それぞれの医療機関が自前でセキュリティー用のシステムを入れたり、それから担当者を置いたりね。
そういうお金までどんどん必要となってくるわけですよね。そういうことに対しても、日本政府は極めて鈍感じゃないかっていうことです。
で、最後の最後、私的な結論で言うと、『巨大データベース』の時代はもう時代遅れ。もし、システム化するとしても『分散・個別』のもの。だから、カードで言えば、何もマイナンバーカードを全員に持たせなくて、今と同じパスポートとか免許証とか保険証の方でいいんじゃないですか、ということなんですよ。
それも『任意』じゃないですか。自分が、海外旅行に行きたければ、パスポートも持つし、行かなければ、持つ必要がないわけですからね。で、それは、だからシステムについても同じです。もし、例えば役所の中で、納税情報と福祉情報とをどこかで照合したいと思ったら、その都度、その都度リンク張ればいいだけなんですよね。
常時つなげている必要はないわけなんですよ。だから、システムの面でも、それから、セキュリティーの面でも巨大なという時代は、もう過去のものになってきているんじゃないかなというふうに思います」。
集会の詳細については、ぜひ全編動画にてご確認ください。