【IWJ号外】岸田文雄総理の遊説先で爆発音! 岸田総理『この大切な選挙を、国民の皆さんと力を合わせて、最後までやり通す覚悟です』!海外メディアは一斉に、安倍元総理銃撃・殺害事件と比較! 2023.4.16

記事公開日:2023.4.16 テキスト
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 IWJ代表の岩上安身です。

 統一地方選後半戦なかばとなる中、ショッキングなニュースが飛び込んできました。

 岸田文雄総理が和歌山市雑賀崎漁港に選挙の応援演説のために待機していた会場で、岸田総理の演説直前に爆発音が起きました。岸田総理は現場から退避し、警察官1人が軽い怪我を負ったほかは、集まっていた人々には怪我はなかったということです。爆発音が起きたのは、岸田総理が演説を始める直前でした。

 岸田総理は、雑賀崎漁港での演説は取りやめましたが、次の演説先で「この大切な選挙を、ぜひ国民の皆さんと力を合わせて、最後までやり通す覚悟です」と述べました。

 安倍元総理の銃撃殺害事件からわずか9ヶ月、現職の総理が遊説先で爆発事件が起きるとは異常事態です。海外メディアは一斉に、安倍元総理銃撃・殺害事件と比較しました。

 各社の報道を総合すると、以下のような経緯です。

・岸田総理は、午前11時20分ごろ和歌山市の雑賀崎漁港を訪れ、魚の刺身などを試食。

・午前11時27分ごろ、会場で、岸田総理大臣が演説に立とうとしたところ、岸田総理の背後には詰まった群衆の中から長さ15cmほどの筒状の物体(発煙筒のような、折り畳み傘のようなとの証言もあり)が投げ込まれた。

・カンッという地面に落ちたとみられる鈍い音に、岸田総理大臣が足下を見るように振り返った。

・岸田総理の近くにいた警察官が盾を広げ、岸田総理の防護に入った。

・その直後、聴衆の中にいた容疑者が周りにいた警察官と会場に来ていた地元の漁師らに取り押さえられた。容疑者は左手に銀色の筒状の物体を所持。右手には押しボタンかライターのような物体を所持していた。

・容疑者が取り押さえられてから50秒ほどした後、現場では、ドーンという大きな爆発音とともに岸田総理大臣が立っていた場所の付近から、白い煙が上がった。

・警察官と会場に来ていた地元の漁師らが、筒状の物体を投げ込んだとみられる男を取り押さえた。

・警察は、兵庫県川西市に住む木村隆二容疑者(きむら・りゅうじ、24歳)を威力業務妨害の疑いで、その場で逮捕した。木村容疑者が所持していた免許証から身元が判明した。

・木村容疑者は、「弁護士が来てからお話しします」と供述している。

・捜査関係者によると、現場からは、爆発物とみられる筒状のものが2点、押収された。1つは、現場で爆発したとみられ、もう1つは、警察が取り押さえた時に木村容疑者が所持していたとみられる。

・捜査関係者によると、現場で爆発したものは「鉄パイプ爆弾」の可能性がある。

 岸田総理は、和歌山市内の漁港での演説はとりやめたものの、その後は、予定通り、午後0時40分すぎからJR和歌山駅前での演説を行いました。『NHK』(15日)によると、岸田総理大臣は、選挙を「やり通す」決意を述べました。

 「この前の演説会場で大きな爆発音が発生した。詳細は警察が調べているが、多くの皆さんにご心配、ご迷惑をおかけしたことにおわび申し上げる。私たちの国にとって大切な選挙を行っており、皆さんと力をあわせてやり通さなければならない」

 『読売新聞』によると、現場から約100メートル離れた飲食店の2階から現場をみていた男性は、「突然大きな音がし、衝撃を体に感じた」と振り返っています。この証言からは、爆発がかなりの強さをもっていたことがうかがえます。

 岸田総理は、和歌山県内での予定を終えた後、関西国際空港に午後1時40分ごろに到着、帰京しました。岸田総理は関西国際空港からと思われる、ツイートをしています。

 「いま私たちは、私たちの国にとって民主主義にとって最も大切である選挙を行っています。この国の主役である皆さん1人1人の思いをしっかり示して頂かなければなりません。

 その思いで私は街頭演説の場に立ち続けます。

 この大切な選挙を、ぜひ国民の皆さんと力を合わせて、最後までやり通す覚悟です」

 なぜ、兵庫県に住む木村容疑者が和歌山まできていたのか、岸田総理の演説直前に「鉄パイプ爆弾」の可能性がある物体を投げた動機と目的は何か、単独で動いていたのか、事件の検証はこれからです。

 しかし、選挙期間中に、現職の総理に危害が及ぶ可能性のある事件が起きたことは事実です。大きな爆発音と大量の白煙が上がったことは、昨年の選挙期間中に安倍晋三元総理が銃撃・殺害された事件を連想させました。安倍元総理銃撃・殺害事件の反省から、要人警護は強化されてきたのではないでしょうか。

 『朝日新聞』(15日)によると、自民党の茂木幹事長は15日コメントを発表、岸田総理と直接連絡を取って無事を確認したと話し、「民主主義の根幹をなす選挙期間中にこのような暴挙が行われたことは極めて遺憾であり、強く非難する」と述べました。

 安倍元総理銃撃・殺害事件から1年も経たないうちに選挙で、今度は現職の総理大臣を狙った可能性のある事件が起きたことは、今後の選挙活動、政治活動を萎縮させる懸念もあります。

 『日本経済新聞』(15日)は、「聴衆が集まる遊説現場での警護の難しさが改めて浮き彫りになった」と指摘、5月に広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の警備に懸念を示しました。

 海外メディアも一斉に、岸田総理の遊説先で爆発事件があったことを報じています。

 『ロイター』は、「この事件は、昨年7月に国会議員選挙の選挙運動中に自作の銃で撃たれた安倍晋三前首相の暗殺に似ている」と指摘、「松野博和官房長官は、警察は治安を強化するように指示されており、政府は来月、広島で開催される先進七か国首脳会議で治安を確保するために必要なことを行うと述べた」と報じて、G7広島サミットの警護に言及しました。

 『CNN』は、安倍元総理の銃撃事件をひき、「安倍首相への攻撃は、政治的暴力や銃による暴力とはほとんど関係のない国に衝撃を与えた」として、安部元総理の事件と比較することは日本の治安体制にとって不快であるかもしれない、と付け加えています。

 『BBC』も、「日本では暴力的な攻撃は非常にまれである。しかし、安倍晋三元首相が昨年の選挙運動中に射殺された後、政治家たちの周りは、治安については神経質になっている」と記事を締めくくっています。

 その他、『TASS』も含め、いずれの記事も今回の岸田総理の遊説先で起きた爆発事件を、安倍元総理が銃撃・殺害された事件と結びつけています。9ヶ月の間に、元総理と現総理が選挙の応援演説の遊説先で事件に遭遇したという事実は、これまで比較的治安の良い国として知られていた日本の社会の変化を示すものだと受け止められています。

 他方で、今回の事件と安倍晋三元総理銃撃事件を、安易に結びつけ過ぎることも懸念されます。

 今回の事件の容疑者が、安倍元総理銃撃事件に影響を受けた可能性は、確かに考えられます。遊説中は警備が手薄で、近づくことができると、前の事件からヒントを得て、犯行を思いついたのかもしれません。ある意味、模倣犯ということになり、前の事件に何らかの触発を受けた可能性はあるものの、前回の事件と今回の事件は、直接、関係がないことになります。

 他方で、安倍元総理の銃撃事件に関して、単独犯ではないのではないか、という疑惑も浮上しています。

 銃撃直後に、搬送された奈良県立医科大学付属病院で、安倍元総理の身体を確認した福島英賢(ふくしま ひでただ)医師が、病院での記者会見で、銃創は前方の喉元に2ヶ所あったと発言しているためです。発砲した山上徹也容疑者は遊説していた安倍元総理の最後から2発発砲しました。背後から発射された銃弾が前方から入るというのは説明がつきません。

 この謎を、マスメディアが大々的に取り上げることは滅多にありません。その点もまた、奇妙に感じられます。山上容疑者単独犯行説で、整合性のある説明はできるし、立件も可能であると捜査当局が見ているならば、その点を改めて国民に説明すべきでしょうし、記者クラブに所属しているメディアは、こうしたときこそ、当局に直接、取材して、国民の抱く不安や関心に応えた検証記事や検証番組を出すべきでしょう。

 山上容疑者の犯行が単独犯行であり、動機は統一教会への憎悪にあったという、これまで流布している説明の通りであり、今回の事件の容疑者も、単独犯行で、山上容疑者とのつながりもなく、背後に組織もない、としたら、政治的テロルの色彩はあっても、組織的なものではなく、単独の刑事事件として扱うことができるはずです。

 しかし、仮に組織的な政治テロ事件であるとなると、ことは重大です。事件は今後も連続する可能性がありますし、その目的と背後に何ものが存在するのか、特定して、何らかの対応をしなくてはなりません。

 仮に、背後に外国の存在があった場合、外交問題だけではすまず、国交断行、下手をしたら戦争の種火ともなります。

 そんなことはありえない、起こり得ないと、我々もまた、信じたいところですが、今回の事件の動機や背後関係だけでなく、前の事件に関して生じている疑惑にも検証が加えられ、グレーゾーンが払拭されることを望みたいと思います。

 と同時に、政治家が有権者の前に生身で立って、生の声で訴える、民主主義の基本が脅かされていることにも、私たちは強い懸念を抱きます。

 民主主義には、テロルに対して脆弱な側面があります。過去を振り返っても、近代になってから日本では、戦前も戦後も重要な政治家がテロの犠牲となる、痛ましい暗殺事件が繰り返されてきました。

 政治家に対するテロルは、その悲劇が、個人の犠牲だけにとどまらず、政治全体に及びます。

 警察の公安警備には、選挙の際など、与野党の区別なく、警護を厳重にすることを、強く望みたいと思います。

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