政治資金問題から見える「維新の正体」その50(永藤英機府議の「政務活動」事務所こそ「永藤英機後援会」事務所)~ブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より 2019.7.14

記事公開日:2019.7.14 テキスト
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(文・上脇博之)

特集 「ゆ」党再編の要!? 維新の「正体」
※2019年5月30日23:34投稿の本ブログは、上脇博之氏の許可をいただき掲載しています。

(1)このブログ連載の「その49」
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916245.html
において、「永藤英機後援会」(代表・永藤英機)は、政治資金収支報告書における「主要な事務所の所在地」(堺市堺区大浜中町(以下略))で記載されている事務所と、それとは別の所在地(堺市堺区栄橋町(以下略))の事務所の2つがあったのではないか、それも、2017年7月より前も2つの事務所があったのではないか、と指摘した。

〈2)念のために再度
「永藤英樹後援会」の支出のうち「経常経費」の支出を紹介しておこう。

・「永藤英機後援会」の2014年分政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201630/26ba0305.pdf
経常経費の支出
人件費  15万6514円
光熱水費       0円
備品・消耗品費    0円
事務所費       0円
 計   15万6514円

・2015年分(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00228564/27ba0305.pdf
経常経費の支出
人件費     12万2437円
光熱水費          0円
備品・消耗品費       0円
事務所費     6万8000円
    計   19万0437円 

・2016年分(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260085/28ba0305.pdf
経常経費の支出
人件費     7万2300円
光熱水費       565円
備品・消耗品費      0円
事務所費    5万1000円
   計   12万3865円   

・2017年分(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307365/29ba0305.pdf
経常経費の支出
人件費     69万5450円
光熱水費     2万9799円
備品・消耗品費  2万5638円
事務所費    36万5081円
   計   111万5968円 

以上の「経常経費」の少額な支出内容から判断すると、
「永藤英機後援会」が政治団体として活発に活動しているとは到底思えない。

(3)実は、上記の「堺市堺区栄橋町(以下略)」にある事務所は、
永藤英機氏の大阪府議会議員の政務活動のための事務所だった。

そのことが確認できるのは、
大阪府議会がネット公表している、
永藤英機・府議会議員(当時)の政務活動費の会計帳簿を含む収支報告書と領収書
である。

まず、
2017年度分の収支報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2900-0051-a.pdf
における会計帳簿には、以下の記載がある。

2017年4月26日に「事務所家賃(5月分)」8万750円 領収書等番号70 按分19/20
2017年5月26日に「事務所家賃(6月分)」8万750円 領収書等番号70 按分19/20
2017年6月27日に「事務所家賃(7月分)」8万750円 領収書等番号70 按分19/20
2017年7月27日に「事務所家賃(8月分・日割り8日分)」2万839円 領収書等番号70 案分19/20

また、
同年度分の領収書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2900-0051-b.pdf
における領収書等番号70には、
「事務所家賃」8万5000円と明記されている。

さらに、以下の領収書によると、
領収書等番号12、16、22、29、33、71

政務活動のための事務所の住所は、
「堺市堺区栄橋町1-7-3 栄橋ビル4階」であり、
「日本維新の会堺市堺区支部」が「活動費」名目で「永藤英機後援会」に対し
2017年10月に支出したことを記載した「永藤英機後援会」の住所
「堺市堺区栄橋町1-7-3 栄橋ビル4F」と同じである(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0040.pdf)。
つまり、
政務活動のための事務所は「永藤英機後援会」の事務所でもあったのだ。

(4)もっとも、この指摘に対しては、
それは2017年7月以降で、かつ「永藤英機事務所」が家賃を支払っていた短期間
(下記参照)である、との反論が予想される。

・2017年「永藤英機事務所」の「事務所費」支出の明細
家賃   6万3065円 2017年7月27日 (株)栄橋ビル
家賃   8万5000円 2017年8月29日 (株)栄橋ビル
家賃   8万5000円 2017年9月26日 (株)栄橋ビル 

しかし、
2016年の政務活動における家賃の支払いについて調査すると、
政務活動のための事務所(「堺市堺区栄橋町1-7-3 栄橋ビル4階」)は
2017年7月以前から「永藤英機後援会」の事務所でもあったこと、
それどころか、
政務活動のための事務所(「堺市堺区栄橋町1-7-3 栄橋ビル4階」)こそが
「永藤英機後援会」の「主たる事務所」であり、
大阪府選挙管理員会に届け出され政治資金収支報告書に記載されている
「永藤英機後援会」の事務所(堺市堺区大浜中町(以下略))は
経常経費の実質的支出が0円であることが確認できる。

このことを以下で説明しよう。

(5)2016年1月から12月までも政務活動のための事務所の家賃は、
下記の会計帳簿と領収書を見ると、
月8万5000円を案分(19/20=95%)をして月8万750円が支払われている。

2015年度の会計帳簿等の収支報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2700-0051-a.pdf
同年度の領収書等(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2700-0051-b.pdf)における領収書番号205
2016年度の会計帳簿等の収支報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2800-0051-a.pdf
同年度の領収書等(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2800-0051-b.pdf)における領収書番号75

実際の家賃と政務調査費で賄われた支払額との差額は月4250円であり、
その12か月の合計額は5万1000円になる。
この金額は上記(2)で紹介したように、
「永藤英機後援会」が2016年に支払っている「事務所費5万1000円」
と全く同額である。

(6)2015年の「家賃」の支払いについても、同様に確認しておこう。

①2015年1月から3月までも政務活動のための事務所の「家賃」は、
会計帳簿(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2600-0063-a.pdf
には以下のように記載されていた。

2015年1月27日に「事務所家賃(2月分)」7万6500円 領収書等番号269 按分9/10
2015年2月24日に「事務所家賃(3月分)」7万6500円 領収書等番号270 按分9/10

領収書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2600-0063-b.pdf
には、
家賃8万5000円の案分率90%で7万6500円が算出されていることがわかるので、
両者の2か月分の差額は1万7000円になる。

②2015年4月の政務活動のための事務所の「家賃」は、
会計帳簿(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2704-0063-a.pdf
には以下の記載がある。

2015年4月4日に「事務所家賃(4月分)」7万6500円 領収書等番号11 按分9/10
2015年4月28日に「事務所家賃(5月分)」7万6500円 領収書等番号12 按分9/10

領収書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2704-0063-b.pdf
には、
家賃8万5000円の案分率90%で7万6500円が算出されていることがわかるので、
両者の2か月分の差額は1万7000円になる。

③2015年5月から12月までも政務活動のための事務所の「家賃」は、
会計帳簿(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2700-0051-a.pdf
領収書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2700-0051-b.pdf
における領収書番号86、88、92、96、100、206
によると、
月8万5000円を案分(19/20=95%)をして月8万750円が支払われている。
両者の8か月分の差額は3万4000円になる。

④2015年の上記差額の合計額6万8000円になる。

この金額は上記〈2〉で紹介したように、
「永藤英機後援会」が2015年に支払っている「事務所費6万8000円」
と全く同額である。

(7)なお、
「永藤英機後援会」の経常経費における「事務所費」以外の各支出
(人件費、光熱水費、備品・消耗品費)も、
通常の政治家の資金管理団体の各支出額に比べれば少額なので、
永藤英機議員の政務活動費で賄えなかった分だけを
「永藤英機後援会」の政治資金から支出していると推定できそうだ。

(8)以上の計算を前提にすると、
永藤英機・府議会議員の政務活動のための事務所は、
「永藤英機後援会」の事務所だったことを証明しているのだ。
もし政務活動のための事務所が「永藤英機後援会」の事務所でなければ、
「永藤英機後援会」は、政務活動のための事務所の家賃を支払う義務がないので、
その支払いを記載すると、政治資金規正法違反の虚偽記載になってしまう。
虚偽記載にならないのは、
政務活動のための事務所が「永藤英機後援会」の事務所でもある場合である。

なお、
政務活動のための事務所が「永藤英機後援会」の事務所でない場合であっても、
永藤英機議員が「永藤英機後援会」に相応の寄附をしていたのであれば、
政務活動費で賄えなかった家賃分は、藤永英機議員が事実上負担した
と弁明できるかもしれないが、
永藤英機議員は「永藤英機後援会」に1円も寄附してはいないので、
その弁明もできないことになる。

(9)政務活動のための事務所の「家賃」などの支出のうち、
政務活動費で賄えなかった分については
「永藤英機後援会」の政治資金から支出していたのであり、
「永藤英機後援会」は、固有の「家賃」などの「経常経費」を
支払っていたわけではないことになる。
つまり、
「永藤英機後援会」の政治資金収支報告書に記載されている事務所は、
使用実態がないからこそ「経常経費」としての実質的支出をしてはおらず、
政務活動のための事務所の「家賃」などの支出の一部を
支払っていたにすぎないのである。

したがって、事務所の使用実態と実質的支出から判断すれば、
政務活動のための事務所こそ実際は「永藤英機後援会」の「主たる事務所」だったのである。

大阪府選挙管理委員会には、「永藤英機後援会」の「主たる事務所」については
「堺市堺区大浜中町(以下略)」
から
「堺市堺区栄橋町1-7-3 栄橋ビル4階」
へと変更届けを提出すべきだったのである。
そうされなかったのは、何故なのか?
その理由については、次の投稿で指摘しよう。

(10)また、以上の見立てが真実なら、別の問題も生じる。
その問題についても、次の投稿で説明しよう。

(つづく)

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