【スピーチ全文掲載】「日本国憲法は誰かから押し付けられたものではない。これは、おれ自身の言葉なんだよ」――受け継がれてきた平和の“理念”を未来へ!SEALDs本間さんが安倍政権に退陣を要求 2015.9.15

記事公開日:2015.9.15取材地: テキスト動画
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(遠田哲也、原佑介)

特集 安保法制

 「日本国憲法は、大昔に偉い役人が決めたものでも、誰かから押し付けられたものでもない。これは、おれ自身の言葉なんだよ」――。

 与党が週内にも成立を目指す安保関連法案の廃案を求め、2015年9月14日(月)、45000人以上の市民が国会前に集結。民意無視の安倍政権に怒りの声を上げた。

 この日のスピーチを締めくくった「SEALDs」の本間信和さんは、日本国憲法前文を自分自身の「言葉」であるとして読み上げ、訴えた。

 「戦後日本の平和と民主主義の歩みを支えたこの言葉と意思、そして理念は、脈々と子から子へと受け継がれていた。そしてこれは、間違いなく自分自身の中にも息づいている」

 憲法に込められ、受け継がれてきた「平和」の理念や意思。本間さんはこの日、これをさらに未来へと受け継ぐため、安保法案に反対し、安倍政権に退陣を突きつけた。

 「過去から、未来から、生まれくる子どもたちから、私たちが問われている。その問いにどう答えるか、声を上げる時だ。いま答えを出そう。安倍政権には退陣してもらうしかない。絶望することはない。追い詰められているのは彼らのほうだ」

 以下、本間さんのスピーチの動画と、全文書き起こしを掲載する。

■本間さんのスピーチ動画

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以下、本間信和さんスピーチ全文書き起こし

 「こんばんは。筑波大学3年の本間信和といいます。よろしくお願いします。

 『戦争法案』ともいわれる安保法制が、いよいよ採決されようとしている、こんなことが許されていいのか、日々、不安と怒りがよぎります。

 安倍政権はさながら大日本帝国の亡霊のようで、この国に、戦前から未だ通底しているファシズムの影がちらついています。自民党改憲草案、特定秘密保護法、今回の安保法制、一つひとつの意思を全体として捉えたとき、そこにあるのは戦前回帰以外の何物でもありません。

 だけどぼくは、昔の日本にそんなに憧れというか、懐古するものもありません。生まれた時はもうすでにバブルがはじけた後でした。小学校2年生のときに『9.11』が起き、高校2年生のときに『3.11』を目の前にしました。

 『終わったなら始める』――そっちのほうが共感できる。終わってしまった幻想や夢物語に郷愁などありません。けれど、勉強を進める中で自分が過去からある大きな啓発を享受していることに気がつかされました。

 それは何か。『平和』ですよ。

 お金でもなく、武力でもなく、この国の一番の宝は『平和』ですよ。

 もちろん、それは沖縄の多大な犠牲の上に成り立ったものでもあります。けれど、曲がりなりにもこの国は戦争に賛成してはこなかった。それを支えていたのは、間違いなくこの国の憲法『日本国憲法』の文言と理念です。

 『日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令および詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。

 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う』

 自分もそう誓います。これは、大昔に偉い役人が決めたものでも、誰かから押し付けられたものでもありません。これは、おれの言葉なんだよ。これは、おれ自身の言葉なんだよ。おれはそう思う。

 戦後日本の平和と民主主義の歩みを支えたこの言葉と意思、そして理念は、脈々と子から子へと受け継がれていたんですよ。そしてこれは、間違いなく自分自身の中にも息づいている。これはおれが日本人だからというだけのものではない。単純に人間として、この宣言が素晴らしい、守るべきものだと思うからですよ。

 70年前の戦争で死んでいった人々、生き延びて、戦後日本の平和を担った人々、数え上げればきりがない。鶴見俊輔、奥平康弘、丸山眞男、普通の人々の声と記憶、それがいまの自分たちの中に息づいている。

 彼らは今日、われらと共にある。

 受け継がれているんですよ。受け継がれていくんですよ、未来へ。君たちはどう生きるか、そんなタイトルの本もありました。過去から、未来から、生まれくる子どもたちから、私たちが問われています。その問いにどう答えるか、声を上げる時です。いま答えを出しましょう。安倍政権には退陣してもらうしかない、と。

 憲法と民意をここまで愚弄した政権は、戦後初めてといっても過言ではないでしょう。しかし絶望することはありません。追い詰められているのは彼らのほうです。

 何度でも繰り返しましょう。私たちには力がある。自分の頭で思考し、行動する力が。そうやってみんなここに集まっているじゃないですか。彼らにそれを止めることはできません。これがおれたちの民主主義の形なんだよ。

 何度でも戦い続けましょう。戦い続けていきましょう。この2週間、歴史的にも本当に重要な2週間になります。やれることは全部やっていきましょう。文字通り、全部やっていきましょう。2015年9月14日、本間信和、私は安保法制に反対し、安倍政権に退陣を求めます。

 ありがとうございました」

■関連記事(9月14日国会前現場レポート)

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「【スピーチ全文掲載】「日本国憲法は誰かから押し付けられたものではない。これは、おれ自身の言葉なんだよ」――受け継がれてきた平和の“理念”を未来へ!SEALDs本間さんが安倍政権に退陣を要求」への2件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     1999年(平成11年)に米軍に対する自衛隊の後方支援や協力をする為に周辺事態法を作り、武力攻撃事態法・安全保障会議設置法改正・自衛隊法改正を2003年にやり、2004年に国民保護法制を作った仕上げの段階が戦争法案だ。施設の徴用もすでに可能になっている。仕上げの法律くらいは有権者の力で廃案にすべき。

  2. 清沢満之 より:

    2013/09/21 【青森】「いずれ首都圏の地下水も汚染される」 ~広瀬隆氏講演会「福島・原発・憲法 今、私たちが知るべきこと」(◆日本国憲法は決してGHQの押し付けではない)
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/102508
    2014/11/22 【京都】「現行憲法はGHQによる押しつけ」に反証 ~映画『日本の青空』上映会で中里見博・徳島大学准教授が人権条項の「先進性」をアピール
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/208226
    【声明文#11】「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会
    (4、静大名誉教授・鈴木安蔵による「憲法草案要綱」と日本国憲法、そして私たちの決意。)
    http://iwj.co.jp/wj/open/statement011

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