2015/04/24 正社員を餌に若者を使い捨てる「ブラック企業」で24歳の若者が過労事故死〜株式会社グリーンディスプレイを提訴した母「人間の命を奪うほどの利益優先は許しがたい」  

記事公開日:2015.4.26
このエントリーをはてなブックマークに追加

 ブラック企業による若者の使い捨てが止まらない。

 正社員は安定しているが「長時間労働」。非正規は不安定だが「長時間労働なし」。ブラック企業の登場でこの構図は今、大きく崩れているという。

 2014年4月24日、当時24歳だった渡辺航太さんは、約22時間におよぶ長時間勤務を終えた足での帰宅途中、原付バイクで電柱に衝突。脳挫傷外傷性くも膜下出血で死亡した。

 「求人票に真実が記載されていれば、この会社を選ぶことは絶対になかった」

 航太さんの死亡から1年後の2015年4月24日、航太さんの死亡は長時間労働が原因だとし、母親の渡辺淳子さんが株式会社グリーンディスプレイを相手取り、約1億円の損害賠償を求め、横浜地裁川崎支部に提訴。14時から、弁護士らとともに厚生労働省で記者会見を開いた淳子さんは、涙ながらにこう訴えた。

▲「亡くなったことが信じられない。今も彼の帰りを毎日待っています」航太さんの母、渡辺淳子さん。厚労省の記者会見で

  • 日時 2015年4月24日(金)14:00〜
  • 場所 厚生労働記者会(東京・霞ヶ関)

「正社員募集」に反しアルバイトでの勤務を要求

 2013年3月、東洋大学経営学部を卒業してから、就職難で正社員の職に就けずにいた航太さんは、同年9月、ハローワークで株式会社グリーンディスプレイの求人票を見つけ、これに応募。求人票には「新卒正社員募集・試用期間なし」と書かれていたという。

 正社員での就職にこだわっていた航太さんは、期待に胸を膨らませて面接に臨んだものの、同社は、試用期間として、アルバイト勤務を航太さんに求めた。これを承諾した航太さんは、10月から仕事を開始。しかし、6ヶ月が経ち3月に入っても、正社員の内定を受け取ることはなかった。

 「ずっと非正規就労だったらどうしよう」

 株式会社グリーンディスプレイは、東京を拠点に、百貨店などの草花や観葉植物を装飾している。バレンタインやホワイトデーなど、イベント時には特に忙しくなるといい、早朝にまでおよぶ長時間労働を強いられていた航太さんは、正社員の内定通知が届かないことに不安を募らせていたという。

 2014年3月半ば、グリーンディスプレイは突然、航太さんに「正社員採用」を口頭で通知。労働契約書が交わされることはなく、長時間労働や深夜勤務が見直されることはなかった。

グリーンディスプレイの求人票はデタラメばかり

 グリーンディスプレイの求人票はデタラメばかりだった。

 求人票には「マイカー通勤不可」と書かれていたにも関わらず、深夜まで及ぶ長時間労働を強いられていた航太さんは、公共交通機関が止まっている時間帯に帰宅するため、原付バイクで通勤。

 働き始めたばかりの2013年10月21日から翌月17日までの1ヶ月間、航太さんの時間外労働は110時間以上。多い月は130時間を超えていたといい、厚労省の過労死認定基準である「80時間」を大幅に超過していた。

 さらに、亡くなる9日前の4月15日のタイムカードには「8:00」〜「31:00」と打刻され、23時間勤務の実態が記録されている。不規則な長時間労働により、介護職に就く淳子さんとの生活時間もすれ違いがほとんど。話す時間もなくなり、用意した食事にも手をつけなくなったという。明るく前向きな性格の航太さんの表情は疲れ果てていた、と淳子さんは1年前の様子を振り返った。

 そして、4月24日の朝、勤務途中の電車の中で淳子さんは、航太さんの死を知ることになる。

求人票の虚偽記載 苦情は8000件近く

 「仕事に向かう移動中の電車で、異常な数の着信が入ったので途中下車をしました。報を聞いた時は、航太は病院から警察に移送されるところでした。『助けてください』『航太はもっともっと生きたいのでお願いします』と携帯電話に向かって叫んでいたのを覚えています。

 とにかく友人の力を借りて葬儀をしました。遺骨になって戻ってきましたが、まだ亡くなったことが信じられません。元気で生きていることを感謝しながら、前向きだった彼の帰りを毎日待っています。

 時間が経つにつれて苦しみは増すばかりです。どうしてこうなったのか。整理しなければいけないと思うようになりました」
(IWJ・ぎぎまき)

この続きは、会員限定となります。
まだ会員登録がお済みでない方は、ぜひこの機会に会員となって続きをお読み下さい!

この記事・映像の完全版は、IWJ会員のみ閲覧・視聴ができます。
会員の方はここをクリックしてください。
会員登録はこちらから。
この記事・映像だけを有料で閲覧・視聴する場合はこちらから。

 
■関連記事

IWJのこうした取材活動は、皆様のご支援により直接支えられています。ぜひIWJ会員にご登録いただき、今後の安定的な取材をお支え下さい。

新規会員登録 カンパでのご支援

一般会員の方で、サポート会員への変更をご希望される場合は、会員ログイン後、画面上部の会員種別変更申請からお進み下さい。ご不明の際は、shop@iwj.co.jp まで。


3件のコメント “2015/04/24 正社員を餌に若者を使い捨てる「ブラック企業」で24歳の若者が過労事故死〜株式会社グリーンディスプレイを提訴した母「人間の命を奪うほどの利益優先は許しがたい」

  1. 正社員を餌に若者を使い捨てる「ブラック企業」で24歳の若者が過労事故死〜株式会社グリーンディスプレイを提訴した母「人間の命を奪うほどの利益優先は許しがたい」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/243537 … @iwakamiyasumi 未来を使い捨てにする社会、それを容認する行政。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/592294048536203265

  2.  ハローワークにおける求人票の虚偽記載が後を絶たないのは罰則が無いからではないか。公文書偽造として刑法犯で処罰する事例を積み重ねればハローワークにおける求人票の虚偽記載は大幅に減ると思われる。若者の過労死については、18歳の水泳部元副キャプテンを過労死させた巨大新聞社が撲滅の為のキャンペーン記事を定期的に掲載すべきだろう。新聞奨学生過労死事件後も奨学生に対して給料の前貸しをし借金労働をさせ、労働法規に違反して長時間労働をさせてきたことに対する責任がある。その結果、多くの奨学生が学生生活を途中で打ち切ることになったのだから罪は重いのだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です