塩崎恭久厚労大臣は2015年1月16日、中央合同庁舎5号館9階の厚生労働省記者会見室で定例記者会見を行ない、記者会らの質問に応じた。
大臣からの発表は特になく、新たな労働時間法制「ホワイトカラーエグゼンプション」や、労働基準法改正案、障害年金の認定基準の地域差、そして、特に近年、生存者の減少が著しい原爆被爆者との協議などの問題について答えた。
(IWJ・細井正治)
塩崎恭久厚労大臣は2015年1月16日、中央合同庁舎5号館9階の厚生労働省記者会見室で定例記者会見を行ない、記者会らの質問に応じた。
大臣からの発表は特になく、新たな労働時間法制「ホワイトカラーエグゼンプション」や、労働基準法改正案、障害年金の認定基準の地域差、そして、特に近年、生存者の減少が著しい原爆被爆者との協議などの問題について答えた。
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※以下、発言要旨を掲載します
毎日新聞「労働時間法制について。本日(1月16日)午後に労働政策審議会が開かれ、厚労省としては、『働いた時間』ではなく『成果』に見合った賃金を決める新しい労働法制のたたき台を詰めるとのこと。
この件について、まだまだ歯止めのない労働長時間化での過労死への懸念が根強く、労使の隔たりがまだまだあるようですが。また健康保護対策も盛り込むとのことですが、改めて新制度導入の意義と、健康確保の実効性の担保について見解を」
塩崎「すでに『日本再興戦略』改訂版の中で、1千万円以上の年収であることとか、専門的な高度な能力を有している、本人の意思で選ぶ、などさまざまな条件を付している。冷静にみていただければ『歯止めがない』などということは決してないと思う。
健康の確保は確かに重要で、新たな労働者法制度について、労働時間と賃金のリンクを切り離して、時間ではなくて成果で評価するという制度としてつくるということが基本なので、対象者には健康確保措置が必要となる。
そのため、使用者側には『インターバル規制』、一定程度の休息時間をはさむ、1ヶ月間に一定時間を超えないという『絶対上限規制』、年間の『絶対休日規制』などのうち『いずれか』の措置を講ずるように求めていきたいと思っている。
同時に、長時間労働になった場合は、医師による面接・指導を義務付けるといったような仕組みを設ける方向で今、検討を始めていただく。以上のような内容で審議会で議論していただき、法案提出に向けて詰めていきたいと思う」
記者「この(新しい労働時間)制度は『働く者』にとってどんなメリットがあるとお考えですか」
塩崎「グローバルな仕事をする人も増えている中で、例えば世界を相手にしていると時差の問題、向こうが昼間で、こっちが夜中だけど、やらなければ仕事にならない場合など、非常に増えていると思う。また、専門領域の、クリエイティブな、イノベイティブな仕事をしている人は、いわゆる旧来型の働き方よりは、集中して考えてアイデアを生み出すとか、いろんな方が増えている。
そういう意味で、ただ長い時間をかければいいというものでなく、また短い時間だけではこなし切れないというような仕事もずいぶん増えてきているので、そういう人たちには、特に所得、年収が高い人たちの場合には、能力があるわけでしょうから新しい仕組みをつくる。
ただし、心と身体の健康とセットにしながら、時代のニーズにあわせて、また、いろんな働き方をしたい人も中にはいるので、そういうニーズに応えていくということではないかと思う」
記者「関連ですが、特に組合側からは、年収要件などが法律に書き込まれず、政令・省令等だと、導入した後に(年収要件が)低くなって、対象がドンドン拡大されるのではないかといった懸念が示されているが、その点についてどう対応されているか」
塩崎「そういう懸念があるのはよくわかっているので、法文上どういう工夫があるのか、など議論する」
※しかし結局、午後の審議会では「年収要件は(法律自体でなく)法案成立後に省令で定める」とされた。
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