広島市の理学療法士の女性が、妊娠して異動後、管理職から降格させられたのは男女雇用機会均等法に違反するとして病院を訴えた裁判で、10月23日、最高裁判所は、降格させた事業所の措置を違法だとする判決を下し、広島高等裁判所に差し戻した。
この裁判の原告の女性をサポートしてきた市民団体「マタニティハラスメント対策ネットワーク(マタハラNet)」の小酒部さやかさんと宮下浩子さん、マタハラネットコーディネーターの圷由美子・新村響子両弁護士は、最高裁判決の翌日、10月24日に外国特派員協会で記者会見を開き、日本のマタハラ問題の現状を訴えた。
- 会見者 小酒部さやか(おさかべ・さやか)氏(マタハラNet代表)/圷由美子(あくつ・ゆみこ)氏(弁護士)/新村響子氏(弁護士)
- 日時 2014年10月24日(金)15:45~16:45
- 場所 日本外国特派員協会(東京千代田区)
- 主催 日本外国特派員協会(詳細、英語)
「あと数年で大介護時代になる。働き方が異なる人々が職場にあふれることになる」
マタハラNet代表の小酒部さんは、マタハラNetの紹介をする中で、今回の最高裁判決は、「私たちのメッセージや思いが届いた」と喜びを表現。「これはマタハラ防止の第一歩だ」とし、「これをきっかけに長時間労働の問題などの解決により、働き方の改善を目指していきたい」と、マタハラにとどまらず、労働環境の改善を目標としていくことを表明した。
「あと数年で大介護時代になる。職場の上司達が介護休暇を取る必要が出てくる。働き方が異なる人々が職場にあふれることになる。マタハラでつまずいている場合ではない」
小酒部さんはこうも語り、今回の最高裁判決を契機に「新しい働き方の時代への幕開け」となることへの期待を述べた。
さらに小酒部さんは、過去、ある企業の契約社員をしていた際に、激しいマタハラを受け、2度の流産を経験したことを明かした。
初めて妊娠した時、小酒部さんには業務が集中しており、多忙を極めたことから流産してしまった。回復後、上司からは「あと2、3年は妊娠を考えなくてもいいんじゃないの。忙しいんだから」との言葉を浴びせられたという。
2度目の妊娠の時には、自宅療養中の自宅にまで上司があがりこみ、契約更新をしないよう強要された。小酒部さんがこれを人事部長に訴えると、「妊娠と仕事の両立は欲張り、わがままだ」と切り捨てられたという。
小酒部さんは、「日本の40代50代の上司は、普通にこういう言葉を使う」と指摘し、社会の認識を改革していく必要性を訴えた。
同会の運営メンバーである宮下さんも、12年前、妊娠を理由に退職を強要され、裁判を闘った経験を語った。この間「法律は改正され、マタハラという言葉も周知されたが、現状は変わっていないし、私の傷も癒えていない。亡くさなくてもよかった命もたくさんあったと思う」と声を絞ぼり出しながら悔しい思いを語った。
不備が目立つ安倍政権の女性活用政策
児童相談書被害の実態や、雨宮処凛さんのトークショー(どちらもIWJのアーカイブにあります。)や、今回のマタニティハラスメント、どれも社会病理なのでしょうが、その社会病理が私にはよくわからず、、。
別件で魂の脱植民地化のアーカイブをみていたら、社会病理そのものを扱っているではありませんか。
もう十分すぎるほど苦しんでいるのだから、根こそぎ解決してしまいたい欲求にさらされながらアーカイブ視聴中。