■第二部の要約を以下、掲載します。
(IWJ・中西良太)
特集 戦争の代償と歴史認識
■第二部の要約を以下、掲載します。
記事目次
■二部(慰安婦問題)イントロ
能川氏は、歴史修正主義者が南京大虐殺を正確な被害者数が特定されていないとして虐殺の事実を否定する論法を、同様に究極的な被害者数が他の虐殺事件や米軍原爆投下の被爆者のケースでも特定されていない事実に言及して反駁した。
能川「広島市の原爆死没者名簿には約28万人の名前がある。これは被爆して亡くなった方の遺族からの申し出があればすべて登録されますが、米国が『数を増やしすぎだ』と言い出したら、我々は追悼のための『28万』という数字が不適切だと思えるでしょうか」。
能川氏は、東中野修道氏の『南京事件「証拠写真」を検証する』における著者の写真捏造説を、揚子江岸の死体群を捉えた写真を分析してそれが南京大虐殺の証拠となることを論証した。
能川「例えば揚子江の岸に多くの死体が流れ着いた写真。東中野氏は『戦死者の死体が流れてきているのではないか』というが、中には後ろ手に縛られた死体もあります。これは日本軍が捕まえた中国人を後ろ手に縛って連行して殺した、という証言と符合している」。
能川氏は維新の会中山成彬氏が、南京大虐殺や慰安婦問題を否定する一連の発言が南京事件の被害者数の推計や慰安婦全体の最大値の推計を曲解する論法の上に成り立っている点を批判した。
能川「維新の会の中山成彬さんは、2013年4月10日の衆議院予算委員会で『通常の戦闘行為で30万人が殺されたなんてとんでもない。南京事件はなかった』と言っています。まさに先ほど言った、『30万人じゃなければ、南京事件じゃない』という論法です」。
能川氏は、問題の焦点となる慰安婦の証言の裏付け調査の有無に関して、たとえ裏付け調査がなくても直ちに虚偽とはならないと主張した。
能川「もちろん性犯罪だからといって裏付けするな、なんてことは言いません。しかし、裏付け調査が行われていないということは、別にそれがいい加減だということにはならない。裏付けが取れなかったからといって、それがウソだということにはならない」。
能川氏は、慰安婦強制連行否定論に対して河野談話の2つの重要ポイントを指摘した。1つは、同談話は慰安婦全てが強制連行されたとしていない点、
能川「河野談話は、別に『慰安婦の方すべてが強制連行された』と言ってるわけじゃないんです。今の日本の右派は、あたかも河野談話のせいで、すべての慰安婦が、日本軍によって直接拉致されたかのように思われている、と主張します。でも、それは違います」。
もう一つは連行過程だけが強制ではないという点である。
能川「もう一つの河野談話のポイントは、『連行過程』だけが強制だと言っているわけじゃないこと。『慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった』と。つまり慰安婦問題の人権侵害性というのは、別に募集の段階にあるだけではない」。
能川氏は、第一次安倍内閣当時の安倍氏の『強制性を裏付ける証拠はなかった、というのは事実だと思う』という繰り返しの政府見解は、河野談話の限定条件(93年8月4日までに見つかった資料に基づく)を無視した点を指摘し、さらにその後軍や官憲による慰安婦連行の強制性を裏付ける資料(東京裁判(極東国際軍事裁判)関係文書『A級極東国際軍事裁判記録』という資料)が発見されたことに言及した。
そして、政府が当時までにそのような資料を把握していなかったのか、又現在も調査継続中なのかが問われるが政府は先の答弁を繰り返すだけである。
能川氏は、政府は共産党の赤嶺政賢氏の追及で、河野談話までに慰安婦強制連行を示す資料(『バタビア軍事臨時軍法会議』の記録)を実は発見していたことを認めておきながら、07年の答弁書が『河野談話を見直すべし』とする主張の根拠の一つとなっているために整合性を保つための否認を繰り返している点を指摘する。
能川氏は、強制連行に関する資料をいくつかリストアップを紹介した。『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』(全五巻)これは現在ネットで閲覧できる。
他にも、吉見義明編『従軍慰安婦資料集』(大月書店)、吉見義明監修内海愛子・宇田川幸大・高橋茂人・土野瑞穂編『東京裁判―性暴力関係資料』(現代史料出版)、戦地性暴力を調査する会編『資料集 日本軍にみる性管理と性暴力―フィリピン一九四一~一九四五年』(梨の木舎)。
能川氏は、戦後日本政府が実施した戦犯裁判の被告人への聞き取り調査で、オランダ軍の日本人被告が起訴上にあった強制連行を事実と証言している点を指摘した。
能川「スマラン事件はじめ、強制売春、強姦事件が裁かれてますが、起訴状にあったことはほとんど全部真実だろうと。むしろ起訴されていない事件がまだいっぱいある、氷山の一角だと弁護人が回想している。…」。
能川氏は橋下氏のような論客が、連合国側が用いてない「強制連行」や「国家の意思」が慰安婦問題否定のための言辞であることを批判した。さらに氏は、戦前1930年代に日本の地方行政における公娼制廃止が現在と同様の当時の価値観を示し、また軍中央のイニシアチブで慰安所を作れるようにした規制改正を指摘した。
能川「…軍中央がわざわざ規定改正をして、慰安所を設置できるようにした。しかも時期は戦争開始直後。つまり後から業者がやってきて追認したのではない。軍中央のイニシアチブで慰安所を作れるようにしたんです」。
能川氏は、日本のネトウヨに人気の『テキサス親父』というネットユーザーが発見したと主張する新資料が、『慰安婦はただの売春婦』を証明するどころか、実は『20名の朝鮮人慰安婦と2名の日本人の民間人に対する尋問から得た情報に基づくもの』という既存の資料である点を指摘した。
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能川元一氏の精力的なご努力に”心より”敬意を表します.
私は,『30万人は「大袈裟」だろう』という意見に根拠無く『国際的な「嫌なレッテル」を貼られる』ことへの「違和感/反感/恐怖感/民族意識への忌避感」を汚す「下ネタ」を対象とした議論に「倦怠感」と「嫌悪感」と「嘔吐感(サルトルの「嘔吐」の次元)」および「反感」を覚えていた人間でした.それ故に,『信じたくない』という気持ちが「先行感情」となり,『見なくない,聞きたくない,ある筈がない』という根拠なき民族感情が,『そんなことはありえなく「誇張」「捏造」』という「(客観性の欠如した)直感的感覚」に組することで「忌避」し,声高に「期待的抽象的感覚」をなりふり構わず喧伝する流行性人物に「共感」を覚えて「自慰的感傷」をいやしていました.具体的には,『桜の花びらの様に儚い流行作家の『街宣活動』に対して心ならず「拍手」を送った』経験もあったことに心より『恥じ入る』次第です.
このIWJの記事で(おそらく相当の努力をされて)(敵視資料的には不動の)「貴重な資料」を提供いただき,この『貴重な資料』の公表を許諾された著作権者に対して,絶大なる謝意を表します.
加えて,参考資料として提示された「論を待たない」客観なる貴重な資料の提供に対して,(おそらくはご苦労された)IWJに敬意を表します.
最後に,日本人であることを自覚する人間に,「もう一度日本人を考える機会」を与えていただいたことに,感謝いたします.(日本人であることを自覚することは,必ずしも,思想的なレッテルを貼るものではないことをご認識ください)
私事ですが,本日も,心を分かち合うことのできる朋に,IWJが信じられる『正義』を追求している姿勢を説明しました.我が朋も,IWJの「会員」になることを明言したところです.
ご繁栄を祈念します.
末筆になりましたが,能川元一さん,IWJさん,「この国が誤った歴史のトラックに入らないように,正義のご健筆の揺るぎない継続を支援申し上げます.
ありがとうございました.
産経新聞系に送り届けてやる必要がある資料ですね。何せ彼らがネトウヨ共を作りだしている元凶ですから。
アンネの日記事件や浦和レッズ事象なども、あそここからの煽りだと思っています。アンネはNHKと安倍氏を擁護したい人間で、浦和は差別を引き起こしたい人間でしょう。今JFLに抗議に行っている若者がいます。彼らの言い分の一つに、韓国での差別表現を何故批難しないんだ、という文句があります。JFLはしていますし、世界も行っています。後は彼ら韓国がどうするかの問題なのです。これこそ教授がおっしゃっている、言い換えによる自己肯定理論そのものです。
これを行っているのが産経新聞系であり、稚拙な文章で幼稚な若者を誘導しています。特にWebを開けたとたん目に入る、IEのmsnやYahoo上に繰り広げられるニュースは安倍自民を擁護する記事と、韓国中国を揶揄する事柄ばかりです。
これを止めさせなければ、今の状態の広がりを阻止することは、大変難しいと考えています。
できればIWJさんも、これに対抗してその都度記事を批判する位に行わないといけないのではないかと考えて下ります。
実は私はそれを実行しています。2日に一度位は、MSNの問い合わせに、批判を書き込んでいます。こういう行動を世間に広めるのも一考かと思っていますので、熟考をお願いしたいと思います。
以上乱文長文ご容赦下さいませ。