【岩上安身の「ニュースのトリセツ」】日本から消える「あいまい路線」〜都知事選最大の争点「脱原発」を検証する(「IWJウィークリー」36号より) 2014.2.8

記事公開日:2014.2.8取材地: テキスト動画
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 かつてないほどの盛り上がりを見せた、今回の東京都知事選挙。その投開票日が、いよいよ2月9日に迫りました。

 IWJではこの間、各候補者の記者会見や集会、街頭演説を数多く中継するとともに、キーパーソンへのインタビュー、さらには識者からの寄稿を募るなど、勢力的に取材を積み重ねてきました。

※【特集】天下分け目の戦い! 2014年東京都知事選挙

 東京都に、様々な解決すべき問題があることは言うまでもありません。急速に進む少子高齢化問題、8000人を超えるといわれる待機児童問題、築地市場の豊洲への移転問題、「ブラック企業」に見られる雇用問題、そして安倍政権が押し進める「国家戦略特区」構想。

 しかし、細川護熙氏が「脱原発」を政策の柱に掲げて立候補し、小泉純一郎元総理が「応援団長」として名乗りをあげたことで、数ある争点の中から、今回の都知事選では「脱原発」が最大の争点としてクローズアップされることになりました。

 細川氏は、今回の選挙を、「脱原発」のシングル・イシューで戦うと宣言し、再生可能エネルギーの活用によって、これまで原発が担っていたエネルギーのギャップを埋め合わせ、「原発ゼロ」を達成する、と繰り返し主張しています。

 しかし、原発は、エネルギー需給の観点からのみ語られる問題ではありません。原発は、軍事と安全保障の問題と密接に関わっています。

■ハイライト

米国がプルトニウム300キロの返還を要求

 都知事選をめぐる喧騒のただなか、1月27日、共同通信が、非常に重要なニュースを配信しました。

※米、プルトニウム返還を要求 オバマ政権が日本に 300キロ、核兵器50発分 / 背景に核テロ阻止戦略(共同通信、2014年1月27日)

 共同通信が伝えるところによると、冷戦時代に米国が研究用として日本に提供し、その後、東海村にある日本原子力開発機構が保管してきたプルトニウム331キロについて、米国側が日本政府に対して返還を要求している、というのです。

 IWJはこの報道の事実関係を確かめるべく、外務省に独自取材を行いました。

 取材に応じた外務省の軍縮不覚散・科学部、不拡散・科学原子力課の主席事務次官は、「ノーコメント」と回答しました。

IWJ「1月27日付けの共同通信が、米国が日本政府に対してプルトニウム300キロの返還を要求している、と報じています。これは事実でしょうか」

外務省「研究用プルトニウムの返還に関しましては、もともと2001年のアメリカの同時多発テロ以降、特に核物質を使ったようなテロ、核テロの脅威となるような核物質として、高濃縮ウラン、プルトニウムの削減を広げようとするプログラムをアメリカが実施しております。

 日本としても核物質のセキュリティ強化を重視しておりまして、国際的な核セキュリティ強化への貢献という観点から、こういったアメリカの取り組みに積極的に協力してきているというところです。

 こうした点につきましては、従来よりアメリカと協議中でありまして、なかなか詳細については申し上げられないのですが、国際的な核セキュリティ強化への取り組みということで、我々としても重視して、いろいろな協力を行ってきているということでございます」

IWJ「報道されていることは、事実として間違いがないのでしょうか?」

外務省「これを(政府関係者が)明らかにしたということは、我々は承知しておりません。例えば、プレスリリースといったことで明らかにしたということはございません。

 いずれにしても、核セキュリティ強化の中で、アメリカだけではなく、世界的に核テロの脅威となる物質をどんどん減らしていこうという大きな方向性があり、そのような中で出てきた話であると承知しておりまして、具体的な中身についてはコメントを差し控えたいと思います」

 やり取りをご覧いただければおわかりのように、外務省は報道を否定していません。コメントはしないが、事実は否定できない、という態度です。

「原子力の平和利用」と「核技術抑止」はコインの裏表

 このニュースに接し、その重大性を察知して、いち早くTwitterに独自の分析を投稿したのが、早稲田大学教授で文芸評論家の加藤典洋氏でした。以下、加藤氏の連投ツイートの中から、ポイントとなる箇所を抜粋します。

 ここで加藤氏が言及している、「日米原子力協定」、「核燃料サイクル」、そして「核技術抑止」という概念について、それぞれの関係を押さえておきたいと思います。

 日本政府は、原発で出た使用済み核燃料を「再処理」してプルトニウムを抽出し、それを再び原発で燃料として使用する「核燃料サイクル」をエネルギー政策の柱として採用しています。この「核燃料サイクル」は、原子力に関する技術を日本側が包括的に運用することを認めた、1988年の日米原子力協定によって可能となったものです。しかし、現在、高速増殖炉「もんじゅ」の運転停止により、この「核燃料サイクル」の実現見通しは立っていません。

 「核燃料サイクル」によって生み出されるプルトニウムは、核兵器の原料として転用可能なものです。日本には現在、既に44トンのプルトニウムが蓄積されており、長崎型原爆4000発を製造することが可能であると言われています。「核燃料サイクル」技術を維持し、「兵器級プルトニウム」を蓄積することは、核兵器を潜在的に保有することに、ほぼ等しいのです。

 こうした日本の原子力/核政策を規定しているのが、日米間で締結されている、日米原子力協定です。

 1955年、米国から日本へ濃縮ウランを貸与する目的で、日米原子力協定が締結されました。これにより日本は、「原子力の平和利用」の名の下、核に関する技術を運用することが可能となり、原発を稼働させることができるようになりました。

 しかし、この日米原子力協定は当初、日本側の核運用に関する細かい「箸の上げ下ろし」まで、米国側の許諾を得なければならないものでした。そこで、「核燃料サイクル」を構築して「兵器級プルトニウム」を蓄積し、独自の「核技術抑止」を保有することを求めた日本側は、米国に対し、核の「包括的な運用」を求めることになります。それを認めたのが、1988年に改定された日米原子力協定だったのです。これは、日本に30年間にわたり、「フリーハンド」を認めるものでした。

 加藤氏は、こうした日本の「核技術抑止」政策は、戦後の自民党政権が一貫して取ってきた「あいまい路線」、すなわち「中庸」の上に成り立ってきたのだ、と論じます。

 日本は戦後、「原子力の平和利用」の名の下、原発を導入しました。しかしそれは、岸信介元総理や佐藤栄作元総理などの発言からも分かるように、「平和利用」という大義名分を盾に、原発から出るプルトニウムによって、「核技術抑止能力」を持つための手段だったのです。

 戦後の日本は、「原子力の平和利用」「非核三原則」を顕教、「核技術抑止」を密教とし、そのどちらが日本の本音なのかを明らかにはしないという「あいまい路線」、すなわち「中庸」を取ってきたのです。

 しかし、尖閣諸島の領有権を巡る中国との対立や、特定秘密保護法の強行採決、安倍総理の靖国神社参拝、解釈改憲による集団的自衛権行使容認など、明らかに「タカ派」へと舵を切った安倍政権の「暴走」に対し、2018年に期限が切れる日米原子力協定の改定を前に、米国が釘を刺しにかかった。加藤氏は、共同通信が報じた今回のニュースを、そのように読み解きます。

小出裕章氏にインタビュー

 この加藤氏の分析が非常に重要だと考えた私は、2月3日に大阪に飛び、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教に緊急のインタビューを行いました。小出氏は2011年3月11日の福島第一原発事故直後に初めてインタビューをした時から、原発の問題を放射能や被曝の問題だけでなく、「核を抱えざるを得ない日本社会」の問題、そして日米関係の問題として捉えてきた方でした。

 私は早速、米国からのプルトニウム返還要求について、小出氏の考えをうかがいました。

岩上安身「共同通信が、米国のプルトニウム返還要求について報じました。IWJが外務省に取材したところ、『ノーコメント』だということでした。この問題について、文芸評論家の加藤典洋さんが、Twitter上で『核技術抑止論・潜在的核保有論ができなくなる。中庸の論理が通用しなくなる』という分析を展開しています。今日は、小出先生に、この問題をどのようにお考えを、お話をうかがいたいと思います」

小出裕章氏(以下、敬称略)「日本はこれまで、『原子力の平和利用』という言葉を使い、あたかも原子力は平和のためにあるのだと装ってきました。しかし、それは嘘なのです。日本の原子力開発は、電気のためではなく、核兵器保有がスタートでした。

 日本の核燃料サイクルは、原爆を持つためにこそ導入されたものです。これは、日本が米国の属国だったから、かろうじて持つことを許された。しかし、安倍政権が暴走しているので、米国は日本の動向を非常に危惧しているのではないでしょうか。

岩上「1955年に日米原子力協定が締結された当初、米国は日本を『反共の防波堤』にしたかった。それから、第五福竜丸事件以後の日本の反核運動を抑えるために原発という『アメ玉』を提供しました。しかし、この日米原子力協定の包括協定が、2018年で切れます」

小出「私は政治の専門家ではないのでよく分かりませんが、安倍さんのような人がいる限り、2018年に原子力協定を見直す時、米国は締め付けを強めるのではないでしょうか。原子力ムラから安倍おろしが起きるかもしれません」

世界の事象はすべてつながっている

岩上「原発に関しては、原発や放射能そのものの危険性を論じると同時に、原発を抱えるこの日本という社会の危険を考えなければならないのではないでしょうか。核兵器保有といった外交・安全保障の問題、そして、核燃料サイクルを巡る米国との関係も含めて考えるべきだと思うのですが」

小出「この世界の事象はすべてつながっています。原発それ自体の危険性だけでなく、核兵器の問題、靖国参拝の問題、沖縄の問題、これらを含めて考えなければいけません。

 米国が返還要求しているプルトニウムは300キロです。しかし、日本は既に44トンを保有しています。これは、長崎型原爆の4000発ぶんに相当します。日本の原発で生み出されたプルトニウムは、米国としては返還要求はできません。ですから、今回の300キロの返還要求は、次のステージを見据えての政治的なメッセージではないでしょうか」

 日本は『もんじゅ』を使うんだと言ってきましたが、全く使いものにならなくなってしまいました。そこで、原発でプルトニウムを再利用するプルサーマルをやらざるを得なくなってしまった。これまでに溜まったプルトニウムは、核兵器に転用されないよう、厳重に管理すべきです」

岩上「脱原発の議論が本格化しないのは、根本のところでこのプルトニウムの議論を避けているからではないでしょうか」

小出「そうです。国際社会は日本を警戒しています。国際社会が、日本がプルトニウムを保持することに警戒感を持たないはずがありません。日本がいつ核武装をするのかと、猜疑心の塊で日本を見えているのです」

岩上「日本はこれまで、米国の管理下で『あいまい戦略』を取ってきました。これは今後も可能でしょうか」

小出「これまで政財界の中心を担ってきた達は『あいまい戦略』を取ってきました。しかし、私の考えでは、これからの日本は、徹底した平和主義を取るしかありません。

 軍事で国を守るのではなく、日本国憲法にあるように、諸国民の公正と信義に信頼して安全を守る、ということです。米国だけを信頼して中国を敵に回すのではなく、諸国民の信義に信頼するという関係を構築しなければなりません」

岩上「日本の保守政治家の中には、NPTからの脱退を主張する声もあります。日本が、こっそり自前の核兵器を持つことは可能なのでしょうか」

小出「日本はどうしても核兵器を持ちたいということで、再処理工場を作りました。米国は当初、これに反対でしたので、フランスに協力してもらったのです。そして、最終的に米国を説得しました。

 米国の手下であるIAEAが最も力を入れて査察をしてきたのが、他ならぬ日本です。日本の再処理に対する米国の警戒感は、非常に強いものがあります。にも関わらず、日本国内では、かなりの量のプルトニウムが行方不明になっています。

 米国は韓国に米韓原子力協定を結んでいますが、再処理は認めていません。六カ国協議の目的は、北朝鮮だけに核保有を許さないのではなく、朝鮮半島全域での非核化です。だから米国が韓国に再処理を認めることはないでしょう。日本が取るべきは、日本発信で非核化の動きを広めていくことです。

重要なのは「負け続けながらも戦い続けること」

岩上「今回の都知事選、宇都宮健児さんと細川護熙さんが『脱原発』を主張しています。どのようにお考えですか」

小出「私は、宇都宮さんに都知事になってほしいと考えています。田母神さんはもちろん、舛添さんには都知事になってほしくない。細川さんと宇都宮さんが対立するようになって残念に思っています。私は小泉さんのことは嫌いですが、オンカロにまで行って原発反対を唱えるようになったのは、正しいと思います。細川・小泉・小沢連合が脱原発のシングル・イシューで戦うことは、原発反対を言っている私からすれば歓迎すべきことです。

 しかし、原発以外に語られていないことが多くあります。脱原発に向けた戦いは、今回で最後ではありません。私は1970年代に原発をやめさせたいと思いましたが、ずっと負け続けてきました。しかし、負け続けながらも戦い続けることが重要ではないでしょうか」

 小出氏も加藤氏と同様、戦後の日本の原子力政策が、エネルギーの問題だけでなく、「核技術抑止」とコインの裏表の関係にあったこと、そしてこれまでの自民党政権が取ってきた「中庸」路線が、安倍政権の暴走によって消えつつあるという認識を示しました。

加藤典洋氏にインタビュー

 大阪から東京に戻った私は、2月6日、加藤典洋氏にインタビューを行いました。

岩上「加藤さんのご著書『3.11 死に神に突き飛ばされる』を拝読しました。東京都知事選で『脱原発』が盛り上がっている中、1月27日付の共同通信が、米国がプルトニウムの返還要求をしている、というニュースは配信しました。これについて、加藤さんがすぐに考察を連投ツイートされましたね」

加藤典洋氏(以下、敬称略)「私は原発の専門家ではなく、この分野については素人です。しかし、3.11以後、素人としてこの問題を考えなければ、と思いました。原爆は現在、国連では”悪だ”というように明確に規定されていません。なぜなら、原爆の否定は、国連の否定につながるからです。

 原爆の被害者の方からすれば、この”悪”に、せめて救いになるものになってほしいと思うんです。『祈念と国策』にも書きましたが、『原子力の平和利用』には、被爆者のやむにやまれぬ思いがあったのでしょうし、その内面の葛藤は否定すべきでないと、私は思います。

 1970年前後に日本はNPTに入りますが、それ以前は、岸信介元総理をはじめ、かなりあからさまに核兵器保有論が出ていました。米国からの要求でNPTに入らざるをえなくなりますが、それでも日本はどうやったら核兵器を持てるか、ずっと研究をしてきました。『プルトニウム』という雑誌がありますが、それを読むと、どのように核兵器を作るか、ということが、色々と紹介されています」

岩上「核の技術抑止・潜在能力の保有という戦略があります。この戦略を取っているのは、非核保有国の中では、日本だけである、というのですね。京都大学の小出裕章さんも指摘されました。そして、日本にそれを許したのは米国でした」

加藤「『非核の選択』を書かれた杉田弘毅さんに直接お聞きしましたが、核の技術抑止政策というのは、いつでも核武装ができる最高度の技術だと。日本はそれを持ってしまった。非核三原則が盾となって、核の技術抑止が可能になった、という面があるのです。

 日本の政策は、非核三原則と核の技術抑止をセットにする、というものでした。それが今回、安倍政権の暴走で、このセットが破綻することになったのではないか。米国からプルトニウムの返還がなされたのには、このような背景があるのではないでしょうか。

「ありうべき中庸」を再構築する

岩上「日本に蓄積されているプルトニウムは、兵器に転用されないと考えている方もいらっしゃいますが、実はそうではない。高濃度なので、軍事目的に転用することが可能です。小出裕章さんは、今回の返還要求は日本への政治的メッセージであろうと仰っていました。

 3.11後、日本では脱原発を求める声が強まっていますが、米国からすれば、原発をやめたら溜まっているプルトニウムはどうするんだ、ひょっとしたら核兵器に転用するんじゃないのか、という疑念を当然持つのだろうと思います」

加藤「民主党の野田政権が、2030年代までの原発ゼロを打ち出した時、海外からしたら『”原子力の平和利用”をやめるのであれば、じゃあこれまで核の世界にコミットして溜めてきたプルトニウムはどうするんだ』ということになりますね。

 『即脱原発』というのは、再稼働はしないのはもちろんですが、もんじゅをやめて核燃料サイクルをやめる、ということです。エネルギーの問題として原発を考えるのは、その次の段階だと思います」

岩上「日米原子力協定によって、日本ははじめて原発の保有が許されました。最初は、『箸の上げ下ろし』まで米国の許可を取らなければいけないものでしたが、それが1988年に包括協定というものになりました。それが、2018年に期限がきます」

加藤「私が今回のプルトニウム返還要求に反応できたのは、遠藤哲也さんの講演を聞いたからです。日米原子力協定の包括協定が切れたら、再処理とか核燃料サイクルなんかとてもできなくなります。原子力産業の当事者は、本当にぎょっとしたのではないでしょうか」

岩上「日本国内では、田母神さんや石原さんは核武装を主張しています。かつては言えなかったような核保有が、かなり声高に言われる雰囲気があります」

加藤「今回、細川さんが出てきた背景には、安倍政権の現状に対する危機感が強いのだと思います。田母神さんのような動きもある。『脱原発』というワン・イシューは、社会にインパクトを与える方法として選択されているのではないでしょうか」

 加藤氏は、このように消えつつある日本の「中庸」路線について、もう一つの「中庸」の可能性があったはずだ、と語ります。それは、従来の秘密主義にもとづく「中庸」路線を反省し、「核燃料サイクル」を廃棄したうえで、「核技術抑止」を放棄したかたちでの「核の平和利用」に徹する、というものでした。

 しかし、2011年3月11日の福島第一原発事故により、「核の平和利用」としての原発の継続という選択肢は消えることになります。

 加藤氏は、今後の「ありうべき中庸」路線として、「平和立国・核燃料サイクルの即廃棄・段階を踏んだ脱原発」という選択肢を提案します。

加藤「私の考えでは、3.11以降、日本は別の局面に入ったのだと思います。『前方逃亡』という概念があります。目の前の問題を避けるために、別の問題を作るというもの。原発事故により、10年で200兆円の損失があったと言われます。しかし、原発事故後、本当はその問題に対処しなければいけなかったのに、TPP、オスプレイ、普天間など、別の問題が次々と持ち込まれることになりました。

 日本が米国にくっついていかなければならないのは、アジアに居場所がないからです。90年代にEUができた時、敗戦国であるドイツがイニシアティブを取りました。日本の戦後が終わらないのは、日本がアジアに居場所がないからです」

 日本の核/原子力政策において「中庸」が消えゆく中で、原発と「核燃料サイクル」の問題をどのように考えていけばよいのか。石原慎太郎氏や田母神俊雄氏が主張するように、国際社会からの孤立をも恐れず、独自に核兵器を保有する道を選ぶのか、それとも、原発と「核燃料サイクル」からは完全に手を切り、「信義と公正に信頼した」平和主義を貫くのか、あるいは、また別の「中庸」路線を模索するのか。

 東京都知事選で「脱原発」を争点にするということは、このような日本の外交・安全保障政策における根底的な問題について考える、ということに他なりません。都知事選の投開票日まで、残りわずかとなりました。有権者の皆さんには、是非、このような視点も踏まえたうえで、投票所に足を運んでいただきたいと思います。

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  1. @emilyandtommyさん(ツイッターのご意見より) より:

    最近仕事と趣味に怠けて思考が停止してたけど、これ読んで久しぶりに引きずり戻された。
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/124251

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