秘密保護法成立で「官僚天下」に拍車 ~平氏×安冨氏「怒りの矛先を国会に集中させるな!」 2013.11.22

記事公開日:2013.11.22取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 2013年11月22日、京都市の阪急四条駅からほど近いウィングス京都で行われた、前衆院議員の平智之氏と東大教授の安冨歩氏による京都対談「モーレツ!政治経済教室~民主主義と市場経済は進化するか?」では、福島原発事故を巡る政府の情報操作が、国民に不幸をもたらしていることについて、改めて語られ、それを土台にした「特定秘密保護法案」の問題性に言及する論議が活気を帯びた。

 2人は、「永田町」よりも「霞ヶ関」を攻めなければ、日本は変わらないとの立場で一致。いわゆる「安倍政権批判」とは、異なる熱弁を振るった。平氏からは、市民グループが首相官邸に向かって「再稼動反対」を叫ぶだけでは、日本から原発はなくならないとの力説があった。

記事目次

■ハイライト

  • 出演 安冨歩氏(東京大学東洋文化研究所教授)/平智之氏 (前衆議院議員)
  • 日時 2013年11月22日(金)
  • 場所 ウィングス京都(京都府京都市)
  • 主催 平安ネット

 まず、今月18日に始まった、福島第一原発4号機の使用済み燃料棒を燃料プールから共用プールへ移すための取り出し作業について、意見が交わされた。

 「議員だった時と、今とでは、入ってくる情報の量が圧倒的に違う」と明かした平氏は、「燃料棒の取り出し作業については、国民には正しい情報はほとんど伝わっていないはずだ」と強調し、こんなことを述べた。

 「対象となる1500本ほどの燃料棒のうち、約200本は『新燃料』と呼ばれるもので、その内部には、セシウムなどの核分裂生成物は作られていない。つまり、熱をほぼ発していないのに、水が入ったプールに浸すことになる。その理由が、まるでわからない」。

 一方の安冨氏は「公開された4号機の原子炉内部の画像は、偽物ではないかという指摘もある」と発言。平氏は「福島原発事故では、事実確認が不十分なまま、収束宣言が出されてしまった。汚染水問題だって、どれだけ海に流れ出たのか、誰も本当のところがわからないのが実情だ」とし、政府が発表する、フクシマショックがらみの情報は、どれも信用できないというのが国民の総意だと思う、と力を込めた。

 「こんな状況では、日本が民主主義国家であるとは言えない」と続けた平氏は、「事実」を把握できないことがいかに不幸であるかを、この2年半余りで、大勢の日本人が痛感することになったに違いないと話した。

「陰謀論に寄りかかるな!」

 こうした現状は、機密を漏洩した公務員らへの罰則を強める「特定秘密保護法案」が、可決されようとしている日本の将来像を暗示している、と平氏。「国家秘密なるものが存在する以上、それを保護する法制度が必要であることはわかる」としつつも、「新法がスタートし、保護される秘密がどんどん増えてしまえば、国民の間には、国への不信感が募るばかりだ」と語気を強めた。

 これを受け、安冨氏は「論語にもあるように、国家を成り立たせるもっとも重要な要素は『信頼』だ」と強調。「いくら食料が大事でも、信頼が欠如した社会では、争奪戦による殺人行為が発生してしまう」とした。

 平氏は、今の日本社会を支えている「信頼」は、それほど強固なものではないと思うと語り、「TPP(環太平洋経済連携協定)問題にしても、年金問題にしても、自分(たち)だけ利益が得られればいいという価値観に根ざした『分捕り』が横行している」と懸念を表明した。

 安冨氏は、多くの日本人が自分自身を信頼できないでいるのが「諸悪の根源」と言明。「自分を信用できなければ、他人を見抜くことは不可能だ」と述べた。そして、「いきおい大多数の国民は、肩書など、相手の外形だけを判断材料にしてしまう」と続け、「そのやり方が、実はそれほど有効ではないことがわかると、今度はすべてを疑うようになり、最後には、(米国が悪事を企てているといった)いわゆる『陰謀論』に飛びついて、自分を安心させようとする」と強調した。

(…会員ページにつづく)

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