南側トレンチ調査後、初の有識者会合も「意見まとまらず」 ~大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第5回評価会合 2013.8.19

記事公開日:2013.8.19取材地: テキスト動画
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 未だ結論が出ない「破砕帯問題」に、関電は焦りの色を隠せないー。

 大飯原発敷地内の重要施設、非常用取水路の直下を横切るF-6破砕帯が、活断層であるか否かが議論される、「大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」の第5回が19日、原子力規制委員会の会議室で行われた。今年6月末に、大飯原子力発電所敷地内南側のトレンチが掘削され、8月までに有識者チームの全員が現地を視察。各有識者は、この会合で現地調査等で得られた知見を発表し、議論を交わした。

 南側トレンチで発見されたF-6破砕帯について、渡辺満久氏は「完全に固結しており、新しい動きはないだろう」と判断し、他の委員も「活動性が認められない」として一致した。さらに岡田篤正氏は、南側トレンチの地層に積もる火山灰(hpm1)の年代を考慮し、「F-6破砕帯は、23万年以降には活動がない」とした。新規制基準では、耐震設計上考慮する活断層は、「後期更新世以降(約12〜13万年以降)の活動が否定できないもの」とし、必要な場合は中期更新世以降(約40万年以降)まで遡って活動性を評価するものとしている。

 しかし、渡辺氏はF-6破砕帯に関して、「別々の断層を繋げている可能性がある」とし、関電の示すF-6破砕帯の「連続性」について疑問を呈した。F-6破砕帯の連続性への疑問に関しては、廣内大助氏も概ね同調している。加えて渡辺氏は、山頂トレンチにみられる破砕帯について、「極めて軟弱な破砕帯であり、将来活動する可能性のある断層ではないか」と活断層の可能性を指摘した。

 一方岡田氏は、2012年に出された、鈴木康弘(名古屋大学教授)氏と渡辺満久氏が共著の「大飯原子力発電所の破砕帯問題と耐震安全審査のあり方」と題した論文に徹底反論。論文中の「活断層の存在を否定する証拠が欠如していることが判明した」という記述に対し、「活断層の存在を肯定する証拠はないのか」と批判した。

 この「破砕帯問題」が決着するまで、規制委は大飯原発3・4号機を稼働継続させるために必要な手続きである、安全審査をストップさせることになっている。9月に定期検査を控える大飯3・4号機も、他の原発と同様、この審査を経なければ定検後の再稼働は認められない。会合終了間際、関西電力職員は、「一日も早く結論を出していただき、審査を再開していただきたい」と話し、3・4号機の稼働継続に前のめりの姿勢をみせたものの、島崎邦彦委員長代理は「不必要に議論を引き延ばすつもりはない。お互いが納得して会合が終わることができれば一番いい」とし、慎重に議論を進めていく方針を示した。

■全編動画

4分~ 関電追加調査報告説明/35分~ 質疑/43分~ 廣内大助氏/56~ 渡辺満久氏/1時間17分~ 重松紀生氏/1時間33分~ 岡田篤正氏/2時間9分~ 関電コメント回答/3時間4分~ 質疑・コメント
  • 議題 大飯発電所敷地内の破砕帯について
  • 日時 2013年8月19日
  • 場所 原子力規制委員会(東京都港区)

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