2013年4月12日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。猪瀬知事は、年間100万人の求人が寄せられる東京のハローワークについて「8割の求人情報が眠ったままになっているのが現実」と述べ、東京都が民間とタッグを組んで就職支援策を打ち出すことを表明した。また、以前に意欲を示していたカジノ構想の候補地についても「お台場がいいのではないか」と言及した。
(IWJテキストスタッフ・小山内/澤邉)
2013年4月12日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。猪瀬知事は、年間100万人の求人が寄せられる東京のハローワークについて「8割の求人情報が眠ったままになっているのが現実」と述べ、東京都が民間とタッグを組んで就職支援策を打ち出すことを表明した。また、以前に意欲を示していたカジノ構想の候補地についても「お台場がいいのではないか」と言及した。
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最初に、猪瀬知事は、首都直下型地震が発生した際に、都内で最も被害が拡大する恐れのある木造密集地域に関して、昨年8月に選定した12の不燃化特区の整備計画を認定し、現場での取り組みを開始することを発表した。また、家を建て直して移転することに不安を感じる住民に対しては、「これから広報活動を行い、相談窓口を開いて、周知していかなければいけない」と述べた。
次に、新たな就職支援策として、人材サービス産業の業界団体や、SNSの専門家などからなるプロジェクトチームを立ち上げ、「TOKYO就活スタイル」を構築することを報告した。「ハローワークにはさまざまな求職者が訪れるが、求人情報を提供して紹介状を切るだけ。ハローワークには愛がない」と評した上で、「TOKYO就活スタイルという東京モデルを作って、その成果を示すことで、地方分権を推進する立場で、ハローワークの移管のみならず、ハローワークそのもののあり方を変えていく必要がある」と意気込みを語った。
そして、東京都の防災マップにおいて、日本海の表記が韓国で使われる「東海」と併記されていたことを報告し、「日本海の名称は、昨年4月に行われた国際水路会議(IHO総会)で、『日本海』と単独表記することを決定した」と説明。そのことから、防災マップの作成をした委託業者に対して、正式に謝罪を求めるように指示したことを明かした。
質疑応答に入ると、「政府の教育再生実行会議が、自治体の首長に教育長の任免権を与えることなどを柱とする、教育委員会の制度改革案を検討しているが、現在の制度についての課題と改革案をどう捉えているか」という質問が出た。猪瀬知事は「制度改革の問題と、実態的な改革の問題の2つがある。東京都の場合は、教育委員会があり、同時に教育長がいて、そして、具体的な報告や指示は知事がしている。教育委員会が知事と考えが違うことがないように、認識の共有を常にしていくことが大事ではないか」とコメント。それを受けた記者が、「現在の制度は変えなくてもいいという考えか」と問いただすと、「制度改革はこれからの課題」と返答した。
TOKYO就活スタイルについて、「眠っている求人情報を有効に活用するには、協力や連携が不可欠だと思うが、5月から発足する検討会に、国やハローワークの人間が入る予定はあるか」と問われると、「はっきり言ってハローワークは何もしていない」と批判。さらに、「総務省の行政評価局でも、『100万人の求人に対して20%しか就職する人を作っていない』と指摘されている。それにもかかわらず、厚生労働省の縦割り行政の中で、ハローワークが何の改革もせず、ただ存在している」と厳しい言葉を口にした。
続けて記者が「ハローワークに来ている情報を、都や民間が横取りすることはできない。また、ハローワークの機能を都へ移管すると東京都は言っているが、どう思うか」と指摘すると、「まずは東京モデルを作り、実体を伴ったイメージができてくることによって、ハローワークを移管していく。情報をよこせとかよこさないと言っても不毛だから、東京モデルで成果を見せることが大事」と答えた。さらに、記者が「ハローワークも巻き込んで議論したほうが有効だと思わないか」と切り込むと「はっきり言って無駄な議論。成果を示して『わかったか』と言ったほうが早い」と語気を強めた。
国が地方自治体に求めている公務員給与の特例カットについて、9日の新藤総務大臣の記者会見でも、「東京都などに引き続き理解を求めるべく、努めていきたい」と発言していることで、改めて給与削減についての意見を求められると、「東京は地方交付税をもらっていないので、独自に決定していく」と回答した。
カジノ構想に関して、「カジノはギャンブル性を持つことから、作るべきではないという意見もある。今でもカジノは必要だと考えているか」と尋ねられると、「カジノ・ゲーミング法という法律が、以前に議員立法で提出される直前までいった。つまり、ギャンブルという言い方ではない。そこには映画館、ミュージカル劇場、そして国際会議場がある。そういう全体を含めた文化の場所があるということ」と、ギャンブルとの違いを強調した。
ギャンブル性のないカジノは「歌舞伎町のようなところへ持ってきてもいいし、ほかの都心の繁華街に持ってきても、何の弊害もないということか」と投げかけると、「それは違う。国際会議場や空港に近く、駐車場の場所がとれ、一般市民の交通の邪魔にならない場所を考えるべき」と話した。