3月2日(土)14時から、東京都千代田区の日本教育会館で、東京都中央卸売市場(築地市場)の豊洲移転問題を話し合う会合、「どうなる食の安全? ~築地市場移転を考える~」が開かれた。元大阪市立大学大学院教授の畑明郎氏と、広島大学名誉教授の三國英實氏が講演を行い、豊洲の土壌汚染の問題や、移転計画の背景にグローバル化に対応するためのインフラ整備が含まれている点などを解説した。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
特集 築地市場移転問題
3月2日(土)14時から、東京都千代田区の日本教育会館で、東京都中央卸売市場(築地市場)の豊洲移転問題を話し合う会合、「どうなる食の安全? ~築地市場移転を考える~」が開かれた。元大阪市立大学大学院教授の畑明郎氏と、広島大学名誉教授の三國英實氏が講演を行い、豊洲の土壌汚染の問題や、移転計画の背景にグローバル化に対応するためのインフラ整備が含まれている点などを解説した。
■ハイライト
はじめに、畑明郎氏が、市場移転予定地の豊洲がシアン、ベンゼンなどによって局所的に汚染され、ヒ素については基準値の10倍を超える値が検出されていることを解説した。その上で、東京ガスの土壌汚染調査、対策に関する問題点を挙げ、「平成20年の調査結果で、発がん性物質であるベンゼンは基準の43000倍の値が検出されており、日本の土壌汚染の歴史上、最大の高濃度である。処理土壌は汚染地下水によって再汚染されるし、ベンゼンやシアン、水銀は常温でも蒸発するので、土地を舗装しても隙間から漏出する恐れがある」と述べた。
また、現地実証試験を「でたらめな実証実験である」と批判し、過去の調査値より初期値が低いものが多く、土壌のサンプリング自体に問題がある点、通気や温度の上昇による自然揮発による影響が考慮されていない点を指摘した。さらに、東日本大震災時の噴砂による液状化により、地下土壌や地下水が攪乱され、液状化前の土壌調査は無意味になったとして、再調査の必要性を主張した。続けて、1954年にビキニ環礁の水爆実験で被爆したマグロが、築地市場に入荷されて大混乱になった例を挙げ、「豊洲新市場開設後に、土壌、地下水汚染が発覚すれば、同様のパニックが起こる。新市場の安全と安心は保証されておらず、現地再整備を追求するべき」と述べた。
三國氏は「予測原則から言っても、大震災が起こる可能性が高いといわれる状況にあって、地震による液状化現象によって汚染物質が噴出した場合、市場閉鎖となり、パニックになる可能性がある。多額な資金を投じてまで、都民の利益になるのかわからない新市場を作る必要があるのか」と述べ、移転にかかる4500億円の内、3500億が汚染対策費、基盤整備である点を問題視した。
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