2013年2月28日(木)12時30分から、東京都千代田区の神保町交差点付近で、「3.2築地移転問題集会のアピール行動」が行われた。東京都が計画している築地市場の豊洲移転問題。その危険性について、弁護士らが街頭で警鐘を鳴らした。日弁連前会長で、先の都知事選に出馬した宇都宮健児弁護士は、「日本の台所が、土壌汚染まみれの土地に建てられていいのか」と、移転計画の見直しを訴えた。
(IWJ・原佑介)
特集 築地市場移転問題
2013年2月28日(木)12時30分から、東京都千代田区の神保町交差点付近で、「3.2築地移転問題集会のアピール行動」が行われた。東京都が計画している築地市場の豊洲移転問題。その危険性について、弁護士らが街頭で警鐘を鳴らした。日弁連前会長で、先の都知事選に出馬した宇都宮健児弁護士は、「日本の台所が、土壌汚染まみれの土地に建てられていいのか」と、移転計画の見直しを訴えた。
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3月2日に、東京都千代田区の日本教育会館で、「どうなる食の安全?~築地市場移転を考える~」と題するシンポジウムが、築地を守る市民会議の主催で行なわれる。司会は岩上安身が務め、識者らとパネル・ディスカッションを行う予定である。このシンポジウムを事前に告知するため、また、築地市場の移転問題を広く周知させるために、この日、街頭アピールが行われた。
築地移転問題弁護団代表、梓澤和幸弁護士は「福島第一原発の危険性は、事故前から訴えられてきた。築地市場が豊洲に移転し、『想定外』の汚染食品が出回るようなことになれば、子どもたちへの責任はどうとるのか」と訴えた。
宇都宮弁護士は、都知事候補者として唯一、築地市場移転の見送りを掲げていた。宇都宮弁護士は、移転反対の理由を、3つ挙げた。
ひとつ目は、豊洲の土壌汚染問題。東京都の行った土壌調査では、基準値の4万3000倍を超えるベンゼンと、930倍のシアン化合物が検出された。「日本の台所が、土壌汚染まみれの土地に建てられていいのか。東日本大震災で豊洲は液状化現象が発生したことで有毒物質が地上に突き上げて出てきた。生ものを扱うに相応しくない」と訴える。
2つ目は、東京都と豊洲の売買契約に対する問題点。この契約では、弁護士が同席していれば必ず盛り込まれるはずの、瑕疵担保条項が結ばれていないという。瑕疵担保条項とは、契約の目的物に瑕疵があった場合の担保責任を定めるもの。もし、豊洲の土地が有毒であると後になってわかった場合、汚染物質の処理は売主である東京ガスが負担することになる。しかし、今回の東京都と東京ガスの契約には、この条項が入っていないため、除染費用は全て東京都の負担となり、結果、都民に負担が強いられることになる。
最後は、文化、伝統を守るためにも、移転はすべきでないという主張である。築地市場では、昔から競りが行われており、仲卸業者の目利きによって価格や品質が決まる。宇都宮弁護士は「競りは日本市場の伝統的取引方法であり、文化である。このことで、商品の適正価格が担保される」とし、「豊洲移転が現実になれば、多くの仲卸業者が廃業に追い込まれ、目利き、競りが失われる。大資本の流通業者が仕切り、安全は保たれず、伝統、文化が失われる」と危惧した。