【速報・号外】これこそ「いわれなき侵略」! 米軍がベネズエラへ大規模奇襲攻撃! マドゥロ大統領夫妻を拘束し、米国内に移送! トランプ大統領は「米国がベネズエラを運営」し、石油権益は米国のものと主張! 2026.1.5

記事公開日:2026.1.5 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 IWJ代表の岩上安身です。

 新年あけましておめでとうございます。

 旧年中は、IWJを支えていただき、誠にありがとうございました。

 2026年もどうぞよろしくお願いいたします。

 米国のトランプ大統領は1月3日、ベネズエラへの奇襲攻撃を成功させ、ニコラス・マドゥロ大統領およびその妻シリア・フローレス氏を拘束したと、トゥルース・ソーシャルで発表しました。

 「米合衆国は、ベネズエラ及びその指導者であるニコラス・マドゥロ大統領に対し、大規模な攻撃を成功裏に実施した。同大統領は妻と共に拘束され、国外へ移送された。

 本作戦は米国法執行機関と共同で実施された。詳細は追って発表する。本日午前11時、マール・ア・ラーゴにて記者会見を行う。本件へのご注目に感謝します!

 ドナルド・J・トランプ大統領」

 トランプ大統領は就任以来、ベネズエラのマドゥロ大統領を敵視してきました。

 正確には、マドゥロ大統領の前任者のチャベス大統領以来、米国の歴代政権は、世界最大の石油埋蔵量を持ち、その所有権を自国のものであると、当然の主張をしてきたベネズエラの政権の転覆を狙ってきたのです。

 トランプ政権は、そのために、いくらでも言いがかりをつけてきました。

 いわく、マドゥロ大統領は不正選挙によって選ばれた不当な大統領である、米国に麻薬を送り込む麻薬カルテルの首領である等々。

 仮に麻薬カルテルと政府や軍などと腐敗したつながりがあるとしても、主権国家に武力侵略を行い、ましてや国家元首夫妻を拉致して、自国へ連れ去り、自国内で裁く、などということが許されるはずはありません。

 誰がどう見ても、これは、法の支配を踏みにじる行為です。

 トランプ大統領は、自らが発表した新たな国家安全保障戦略文書の、モンロー主義への回帰を、むき出しの暴力的、帝国主義的なやり方で、さっそく実行に移したのです。

 グリーンランドを手に入れると執拗に主張しているように、南北の米大陸には、米合衆国以外、主権国家は存在しない、外部の干渉も、法の支配も、認めない、という姿勢です。これは、世界中に影響を与えることでしょう。

 トランプ大統領は、この2026年の年始早々の暴挙の前から、米海軍の大艦隊をベネズエラ周辺海域に展開させていました。

 麻薬密売船だときめつけて、臨検することも、拿捕して取り調べすることもなしに、複数の小型船舶を武力攻撃し、これまで約100名近くの乗組員を殺害しています。

 しかし、これらの船が麻薬を運んでいたという証拠や、殺害した船員らが麻薬密売に関わっていたという証拠は、一切、提示されていません。

 大統領夫妻の拉致という大胆な暴挙以前から、法の支配も司法手続きも、踏み倒してきたのです。

  • 米国の大艦隊によって威圧され、侵略されかけているベネズエラ! 同国のモンカダ国連大使は「国家による海賊行為!」だと、米国の「白昼堂々の強盗行為」を告発! 米国の真の目的は「麻薬取り締まり」などではなく、ベネズエラの「石油であり、鉱山であり、土地」を理不尽に奪うこと!! 米軍はカリブ海で電子戦という戦争行為をすでに仕掛けている! 他方、米国はベネズエラのマドゥロ大統領を、米国が外国テロ組織に指定している「カルテル・デ・ロス・ソレス」の首領だと決めつけ! さらに、グリーンランドを併合するために特使を任命!「21世紀型のモンロー主義」とは、南北の米州大陸を米国が好き勝手にすることなのか!?
    (日刊IWJガイド、2025年12月26日)
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 3日の、現地時間午前2時頃に開始されたベネズエラへの武力攻撃と、大統領夫妻拉致作戦には、「絶対的な決意作戦」という、大仰な名称がつけられています。

 しかもこれは、トランプ政権が、「麻薬密売組織の掃討」を名目とした、南米各国への威嚇、武力侵害、大規模な軍事・監視戦略である「南方の槍作戦(オペレーション・サザン・スピア)」の一環に過ぎません。

 まだまだ、これは、序の口であり、中南米から親米的ではない政権を一層し、資源の略奪を行い、パナマ運河の排他的な利権獲得も狙っているのだろうと容易に推測できます。

 3日付『ニューヨーク・タイムズ』は、8月から、CIAの秘密チームがベネズエラに潜入し、マドゥロ大統領に関する情報収集を始めていた、と報じています。

<「絶対的な決意作戦」の全容>

 3日、トランプ大統領は、マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官、統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍とともに、「絶対的な決意作戦」についての記者会見を、マール・ア・ラーゴで開きました。

 トランプ大統領らは、「絶対的な決意作戦」の進行を、マール・ア・ラーゴで見ていたと報じられています。

 会見で、ケイン将軍は、「絶対的な決意作戦」は「数ヶ月にわたる計画とリハーサルの集大成である。率直に言って、合衆国軍にしか遂行できない作戦だ」と自慢げに述べています。

 ケイン将軍は、複数の部門が連携して「絶対的な決意作戦」の準備を進め、航空、地上、宇宙、および海上作戦を統合し、特殊作戦部隊、陸軍兵、海軍兵、空軍兵、海兵隊、宇宙軍兵士、情報機関のパートナー(CIA、NSA、NGAなど)、法執行機関のチームメイトらが一致団結して取り組んてきたことを明らかにし、米国の統合軍による「前例のない作戦」だったと胸を張っています。

 法の支配を完全に踏みにじる作戦を、「法執行機関」も含めて、国家の機関あげて遂行した、というのですから、米国につける薬はもうないのかもしれません。

ケイン将軍「西半球全域から、150機以上の航空機が緊密な調整の下で発進した。

 戦術的な奇襲要素を維持しつつ、カラカスのダウンタウンに阻止部隊を送り込むという単一の目的のために、時間と場所を合わせてあらゆる効果を層状に重ねた。

 この精巧な機械の一つの部品でも故障すれば、任務全体が危険にさらされただろう。米国の統合軍にとって、失敗という選択肢はない。

 昨夜、カラカス上空にいた者達は、地上やヘリコプターにいる仲間達のために命を捧げる覚悟だった」

 ケイン将軍は、情報チームが数ヶ月かけて情報を集め、12月初旬に部隊を配置し、ベネズエラの天候などを注視しながら、クリスマスから新年にかけての数週間、トランプ大統領の出動命令を待っていたと明かしました。

ケイン将軍は、「昨夜、東部標準時午後10時46分、大統領は合衆国軍にこの任務の遂行を命じた。大統領は我々に『幸運を、そして神の御加護を』と述べた」と、作戦の始まりを説明しています。

ケイン将軍「夜間に、西半球の陸上および海上の20の異なる基地から航空機が発進し始めた。合計で150機以上の爆撃機、戦闘機、情報収集・監視・偵察機、回転翼機が昨夜、空にあった。何千、何万時間ものベテランが飛んでいた。最年少の乗組員は20歳、最年長は49歳。米国の軍事力に敵うものはない」

 ケイン将軍は、法執行官を含む特殊部隊を乗せたヘリコプターが離陸し、水面上100フィートの低高度でベネズエラへ飛行し、宇宙軍、サイバー軍、およびその他の部門が飛行を支援したと述べています。

 ケイン将軍は「部隊がカラカスに接近し始めると、統合航空部隊がベネズエラの防空システムの解体・無力化を開始し、標的エリアへのヘリコプターの安全な通過を確保するために武器を使用した」と述べており、空からピンポイントの精密攻撃とリアルタイムの最新情報で、マドゥロ大統領を狙う部隊を支援し、道を切り開いたことがわかります。

ケイン将軍「部隊は、東部標準時午前10時1分──カラカス現地時間午前2時1分、マドゥロの邸宅に到着した。

 拘束部隊はマドゥロの邸宅に降下し、迅速、精密、かつ規律を持って目標へと移動し、地上部隊の安全と保障を確保しながら、起訴された人物達(※マドゥロ大統領夫妻)を拘束するためにエリアを封鎖した。

 標的エリアに到着した際、ヘリコプターは射撃を受けたが、自衛のために圧倒的な火力で応戦した。我々のヘリコプター1機が被弾したが、飛行可能な状態を維持した」

 ケイン将軍は、マドゥロ大統領夫妻は投降し、「司法省によって身柄を拘束された」と述べました。

 ケイン将軍は、米軍が現地周辺にまだ留まっている、と付け加えました。

 「絶対的な決意作戦」の全容が明らかになったわけではありませんが、米軍は、マドゥロ大統領を拘束したカラカス以外の軍事施設や空港にも攻撃をかけています。

 3日付『フィナンシャル・タイムズ』によると、港湾都市のラ・グアイラ、フエルテ・ティウナ複合軍事施設、エル・ヴォルカンの通信施設、ラ・カルロタの空軍基地、ベネズエラ科学研究所などが爆撃を受けています。

 米軍機はベネズエラの防空システムを攻撃し、ヘリコプターと地上部隊がマドゥロ大統領の邸宅に接近できるようにし、カラカス市街を停電させ、米宇宙軍とサイバーコマンドは、航空機が接近する中、作戦の進路確保を支援しました。爆撃を受けて、炎と煙が次々と起こるカラカス市内の映像があります。

<マドゥロ大統領夫妻はニューヨークへと拉致される>

 ケイン将軍は、マドゥロ大統領夫妻は「司法省によって身柄を拘束された」と説明しています。

 米司法省は、マドゥロ大統領とその妻シリア・フローレス氏を含む複数の人物を、ニューヨーク州南部地区連邦地裁で起訴したと発表しています。

 どんな法律ならば、他国を問答無用で武力侵攻したあげく、その国の元首を拉致して、自国の法律で裁けるのか、理解に苦しみます。

 確かに現代に至っても、国際法は実効性に欠けますが、2つの世界大戦を経て、次第に確立し、戦争を防いできたものであり、国際連盟も、国際連合も同様です。

 しかも、そうした国際秩序は、他ならぬ米国自らが戦勝国として深く関わって確立してきたものです。

 対テロ戦争以降、米国は、自らが作ってきた国際秩序に、都合が悪くなったからと、自ら穴を開け続け、現在のトランプ政権に至って、ついに国際法など存在しないかの如く、軍を総動員し、自らのルールを押しつけて、恥じるところがありません。

 3日に公開された起訴状によると、麻薬テロリズムへの関与、コカイン輸入の共謀、暴力犯罪(殺人、誘拐など)や賄賂供与の疑い、政府機関と麻薬組織との共謀などがあげられています。

 どんな捜査が行われたのか、知りませんが、これらの起訴事実に一部、真実があったとしても、起訴はあくまで米国の国内法にもとづいています。国内法は、他国に適用できるものではありません。

 「言われなき侵略」を行使したあとに、あたかも、法の支配があるかのように装っていますが、これはとてつもなく大掛かりな茶番です。

 大前提として、ベネズエラが、米国から独立した主権国家であることを認めず、米国の国内法の及ぶ領域とみなしていることは明らかです。

 これを認めたら、世界は、第一次大戦以前にまで、引き戻されることになります。

 マドゥロ大統領夫妻は、自らの邸宅で拘束された後、米軍のヘリコプターで、米海軍の強襲揚陸艦「硫黄島(USS Iwo Jima, LHD-7)」に移送され、航空機でニューヨークへ送られました。正しくは、拉致された、というべきでしょう。

 マドゥロ大統領夫妻は、マンハッタンにある麻薬取締局(DEA)のニューヨーク本部で健康診断と生体認証手続きを受け、現在はメトロポリタン拘置所で勾留されています。

 マドゥロ大統領夫妻の裁判は、5日からニューヨーク南部地区連邦地裁で始まる予定です。

 いったい誰が、マドゥロ夫妻の弁護をするのでしょうか?

 日本を含め、国際社会は、この侵略と裁判の不当性を糾弾しないのでしょうか?

 であれば、いつ自国がベネズエラのような目にあっても文句も言えないということなのでしょうか?

<トランプ大統領は記者会見で何を語ったのか>

 トランプ大統領は、ケイン将軍らと開いた3日の記者会見で、以下のように切り出しました。

 トランプ大統領は、マドゥロ大統領のことを、「米国に向けて莫大な量の致死的かつ違法な麻薬を密輸した、巨大な犯罪ネットワークの首謀者」であり、「太陽カルテル」という麻薬組織犯罪を自ら統括し、「数え切れないほどのアメリカ人の死」を引き起こしたと、証拠を示すことなく、決めつけました。

 しかし、なんであれ、輸入する者がいなければ、輸出はできません。

 本来であれば、まず、国内の密輸組織や密売人を取り締まるべきです。

 米国の大都市の路上で、麻薬中毒者がゾンビのように彷徨っている映像が、YouTubeで全世界に流れています。米国の治安の悪化は、秘密でもなんでもありません。

 国内の治安維持や麻薬の取り締まりには予算もエネルギーも割かないで、輸出元とみなした国にいきなり攻め込むというのは、正気の沙汰ではありません。

 もちろん、こんなやり方で、麻薬の蔓延を防ぐことなどできないでしょう。

 トランプ大統領は、厚かましくも、「我々は、ベネズエラの偉大な国民に、平和と自由と正義をもたらしたい」と、自分達の行動を正当化しました。同時に、マドゥロ大統領夫妻の拘束によって生じるベネズエラの政治的空白を米国が担うとも、主張しました。

トランプ大統領「安全かつ適切で慎重な政権移行が実現するまで、我々がこの国を統治し続ける。誰か別の人物を政権に就けて、過去の長い年月と同じ状況を繰り返すようなことには関わりたくない。

 だから我々は、安全で適切かつ慎重な移行が実現できるまで、この国を統治するつもりである。慎重でなければならない。それが我々の本質だからだ。

 我々はベネズエラの偉大な国民に、平和と自由と正義をもたらしたい。それには、現在米合衆国に住んでいて、自分達の国に戻りたいと願っている、多くのベネズエラ出身者も含まれる。そこは、彼らの祖国である。

 ベネズエラ国民の利益を考えない人物が政権を掌握するようなリスクをおかすわけにはいかない。(中略)

 適切な移行が実現するまで、我々は留まり続ける。つまり、適切な移行が行われるまでは、基本的に我々がこの国を運営し続けるということである」

 トランプ大統領は、「私の後ろの2人」、つまり、ピート・ヘグセス国防長官と、マルコ・ルビオ国務長官が、ベネズエラの統治を担うと述べました。

 「適切な移行が実現するまで、留まり続ける」とは、米軍が駐留し続ける、ということでしょうか。

 戦後の日本がそうであったように、独立後も、占領軍は形を変えて居座り続ける可能性はないと言えるのでしょうか。

 トランプ大統領は、今回の攻撃はピンポイントだったが、「必要であれば、第2段階の、はるかに大規模な攻撃を実行する用意」もある、と付け加えました。

 そして、最も重要な点ですが、トランプ大統領は、ベネズエラの石油開発を、米国の石油メジャーが担うと主張しました。麻薬取り締まりなど、取ってつけた理由にすぎないことを、自ら明らかにしたのです。

トランプ大統領「ベネズエラの石油産業は、長い間、完全な失敗に終わってきた。本来掘削できたはずの量、実現できたはずの可能性と比べると、彼らはほとんど何も汲み上げていない。

 我々は、世界最大級の、どこにも負けない規模を誇る米国の巨大石油企業を投入し、何十億ドルもの資金を投じて、深刻に壊れたインフラ、石油インフラを修復し、そして国のために利益を生み出し始める」

 トランプ大統領は、ベネズエラは、一方的に米国の石油、米国の資産、米国のプラットフォームを押収し、売却した、と主張しています。

トランプ大統領「我々は、米国の才能、推進力、技術によってベネズエラの石油産業を築き上げた。

 それなのに、社会主義政権は、過去の政権下でそれを我々から盗み取ったのだ。彼らは力によってそれを奪った。

 これは、我が国史上、最大級の米国財産の窃盗だ。巨大な石油インフラが、まるで我々が赤ん坊であるかのように奪われたのに、我々(※これまでの米国政権)は何もしなかった」

 米国こそは、先住民が住んでいた土地に、ヨーロッパ人達がやってきて、侵略し、殺戮し、土地をまさしく窃盗して建国した国です。いわば「不法移民」によって建てられた国なのです。トランプ自身も、そのように「移民」してきたヨーロッパ人の子孫であるのに、先祖がやらかしてきたことは、まったく顧みようとしません。顧みることがないからこそ、他国の土地の埋蔵資源を、自分達のものとみなすことができるのでしょう。

 トランプ大統領は、「ベネズエラ産石油に対する全面的な禁輸措置は、引き続き完全に有効」だとし、米軍艦隊は展開し続けて、要求が完全に満たされ、完全に履行されるまで、「すべての軍事的選択肢を保持する」と述べました。

 さらに、ベネズエラを米国が統治する費用についての質問に対し、「地中から湧き出る金(※石油)が非常に莫大だから、我々には何の費用もかからない」と答えています。つまり、侵略したコストは、侵略された側の資産で賄うということです。21世紀の現代において、こんな理屈がまかり通るとは、開いた口が塞がりません。

 トランプ大統領は、自らが宣言した新たな「モンロー主義」について触れ、「我々の新たな国家安全保障戦略のもとで、西半球における米国の支配が再び疑問視されることは決してない」とその帝国主義的野心を隠すこともなく開陳しました。

 トランプ大統領は、ノーベル平和賞受賞者である野党指導者のマリア・コリーナ・マチャド氏が、ベネズエラの新政権を担う可能性について、「国内での支持も尊敬も得られていない。彼女はとても善良な女性だが、尊敬は得られていない」と否定しました。

 また、暫定大統領に就任したベネズエラ副大統領のデルシー・ロドリゲス氏については、「マドゥロによって指名された人物」だと否定的なニュアンスを見せつつ、「彼女は基本的に、ベネズエラを再び偉大にするために我々が必要と考えることを実行する意思がある」とも述べています。

 これは、事前に意思疎通していた可能性があるか、今後、取引きできると思っているか、そのどちらかでしょう。いずれにしても、圧倒的な米軍の武力行使の前に、後継者が反抗できるはずはないとみているのでしょう。

<ジェフリー・サックス教授「明らかにこれは露骨な違法行為」>

 トランプ政権は、先に述べた通り、「絶対的な決意作戦」を「法執行」であるとして押し通したいようです。

 しかし、大規模な軍事行動を「法執行」であると強弁するのは、無理があります。

 国際法から見ても、米国の国内法から見ても、違法だとする指摘はあります。

 グレン・ディーセン教授によるインタビュー番組に登場したジェフリー・サックス教授の意見をご紹介します。

 グレン・ディーセン教授は、トランプ政権が米連邦議会の承認もなく「絶対的な決意作戦」に踏み切り、主流メディアがトランプ政権を批判するどころか、「あらゆる報道機関が、米国の行為の合法性には触れず、マドゥロを独裁者と呼び、『自由が生まれるかもしれない』とほのめかしている」と批判しました。

 この指摘を受けて、ジェフリー・サックス教授は、「明らかにこれは露骨な違法行為」と述べ、「米国は憲法支配の終焉を迎えている」、米国は「憲法を超えた軍事国家」というべき状況にあると警告しています。

 サックス教授は、「世界の他の国々が国連の防衛に結束することを期待していたが、欧州は沈黙している」と述べ、「『この状態は許されない』という大義に世界が結束する姿が見えない」と、憂慮しています。

 サックス教授は、「絶対的な決意作戦」について、まだ政権転覆に成功したわけではなく、「こうした作戦の歴史は、長期にわたる混乱、クーデター、不安定、反乱、内戦が続くことを示している。ベネズエラで起こりうる事態は、まさにこのパターンに当てはまる」とも懸念しています。

<ラリー・ジョンソン「ベネズエラの石油掌握は、イスラム共和国を破壊するためのイラン攻撃準備」>

 また、元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏は、同じくグレン・ディーセン教授のインタビューに応じて、「西側諸国がマドゥロ大統領を非常に不人気な人物として描こうとしているにもかかわらず、マドゥロ大統領以上に国民からの支持を得ている人物はいない」と断言するとともに、この強引な作戦は、実は、イラン攻撃の準備ではないか、という重要な論点を示しました。

 トランプ大統領は、ベネズエラの石油権益を米国が掌握する意図を隠しもしませんが、実は米国はシェール革命以後、石油の純輸出国となっています。

 それでも、なお、石油が欲しいのは、イランとの緊張が極度に高まれば、イランがホルムズ海峡を封鎖するリスクがあるからだ、という指摘です。

 確かに、このベネズエラへの軍事侵攻の陰に隠れていますが、イランでの民衆の蜂起は全土に広がりを見せています。しかも、この事態に対して、米国も、イスラエルも、あかさらまに民衆をけしかけています。

ジョンソン氏「これ(ベネズエラへの軍事侵攻)は、より広範な計画の一環でもあります。

 ベネズエラの石油掌握は、イスラム共和国を破壊するためのイラン攻撃準備です。

 その緊急計画では、ホルムズ海峡が少なくとも一時的に封鎖される可能性を想定しています。だから、代替となる石油源が必要で、ベネズエラがそれです。(中略)

 月曜日(12月29日)に、米国はネタニヤフ首相と、イランへの新たな攻撃計画を最終決定したと思われます。

 今、まさにベネズエラの石油支配を掌握しようとしている目的の一つは、今後1~2ヶ月以内に実施されるであろう、このイラン攻撃計画と、密接に関連しています。

 米国はホルムズ海峡封鎖を想定し、代替石油供給源への支配権確保を図っています。トランプはここで止まりません。

 繰り返しますが、この背景には『我々がベネズエラを完全に掌握している』という前提があるのです」

 トランプ大統領は1月2日、イランで起きている大規模デモに対して、イラン当局が平和的な抗議活動を暴力的に鎮圧すれば、これに介入する意向を表明しています。

トランプ大統領「もしイランが平和的な抗議活動参加者を銃撃し、暴力的に殺害するならば、それは彼らの常套手段だ」「米合衆国は彼らを救出する。我々は準備万端で、いつでも出動できる」

 剥き出しになった、米国・トランプ政権の力による支配は、ベネズエラを大きな混乱に陥れるリスクがあります。それがイランなど他地域にも連動してくれば、南米、中東、欧州、そして東アジアでも、大規模な紛争や戦争が同時進行し、連鎖して、第3次世界大戦への引き金を引くことになるかもしれません。

 2026年、今年は戦争か、平和か、どちらを選ぶのか、正念場の年となりそうです。

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