2024年6月26日午後1時より、東京都千代田区の厚生労働省にて、子供の貧困問題などに取り組む、認定NPO法人キッズドアの主催による記者会見「2024年夏/困窮家庭アンケート調査結果と提言~子どもの夏休みに負担を感じる困窮家庭の親の声など発表」が行われた。
キッズドアは、5月27日から6月3日にかけて、キッズドアが支援を行っている世帯を対象に、生活実態の状況を調査するアンケートを行い、1821人からの回答を得た。
回答者の年齢は、40歳代が半分強、30歳代が3割弱、50歳代が約2割となっており、居住地は南関東を中心にほぼ全国に広がっている。
世帯は、母子家庭が9割で、世帯所得は200万円未満が半分強、300万円未満まで広げると約8割が該当する。
雇用形態は、パート、アルバイト、契約・派遣社員と、非正規雇用が最も多い。
- 2024夏「困窮子育て家庭アンケートレポート」報告および緊急提言(キッズドア、2024年7月1日)
キッズドア理事⻑の渡辺由美子氏は、この調査について、「これは毎年行っていますが、本当に物価高騰の影響で、年々厳しくなっております」と述べ、以下のように語った。
「賃上げのニュースもありますが、私達が調べたところでも、本当に、こういった(困窮子育て家庭の)方々には、賃上げの効果もなく、ただただ、物の値段が上がって、親も子も疲れ果てているような状況ですので、緊急の対策が必要だと思っております」。
続いて、キッズドア執行役員・調査室長の田中博子氏より、調査結果についての報告があった。
今年の調査では、アンケート項目として、「小中学生の夏休みについて」を新設した。その中で、保護者に夏休みの長さが適当かどうかについて、たずねたところ、「今より短くていい」という回答が全体の47パーセント、「夏休みはなくていい」という回答も、13パーセントを占めた。
夏休みに対して、否定的な回答をした理由としては、「子供が家にいることで生活費がかかる」というものが最も多く、全体の78パーセント。その他、「給食がないため、食事の準備に手間や時間がかかる」、「夏休みらしい特別な体験をさせる経済的な余裕がない」、「給食がないため、子供が必要な栄養を摂れない」などが続いた。
子供にとっては嬉しいはずの夏休みが、保護者にとってはまったく逆の、心配だらけの、悩ましいものとなっているのである。その原因は、「経済的困窮」である。そして、「物価高騰」が、その窮状にさらなる追い打ちをかけており、子供達のすこやかな成長すらも阻害しているのが現状である。
この危機的な状況に対して、キッズドアは「2024 夏 困窮子育て家庭を危機から救うための緊急提言」を起草した。
提言は、以下の4つの要求からなる。
1. 夏休みを迎える困窮子育て家庭に現金給付を
2. 困窮子育て家庭の体験格差を埋める支援を
3. 年収 300 万円未満の困窮子育て家庭へ緊急の支援を
4. 困窮子育て家庭にも賃上げを
渡辺氏は、次のように訴えた。
「今、困窮子育て家庭は、命をつなぐのが難しい。子供が、身長や体重を増やせない。ご飯を食べることができない。
そういう状況でありまして、まずはここに手当てをするということが、何よりも重要だと思っております。
少子化対策のことが言われておりますけども、こんな状況を放置しておいて、『子供を産もう』と、社会が思えるかというと、そんなことはないと思います。
本当に皆さん、一生懸命働いていらっしゃるのだから、まずは、誰でも、普通に働けば、普通に子育てができるような社会というものを実現して頂きたいと思います」。
記者会見の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。